厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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82:今後どうしたいか。

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 私がどうしたいか、とブラッドフォード王太子殿下に聞かれました。
 きっと、『今後どうしたいか』という事でしょう。

「…………修道院に入りたいです」
「ミラベル……」

 テオ様のお顔が見れません。
 とても悲しい声を出されている事には気付きましたが、どうしても、見ることが出来ませんでした。

「ミラベル嬢、そうした場合の、皆の認識がどうなるかは考えたかい?」

 ブラッドフォード王太子殿下が少し心配そうな声で訪ねてこられました。
 皆の認識。それは、よくよく考えました。

「はい」
「聞いても?」
「……きっと、今回の事は、事実で……事後で…………私は穢れていると、思われるでしょう」

 議事堂内が静寂に包まれました。
 声が震えそうです。
 ゆっくりと深呼吸して、話を続けました。

「っ……実際に、私は穢されました。私は、セオドリック殿下に相応しくはありません」
「穢れてなどいない! 穢されてなどいないっ! 未遂だったと――――」
「セオドリック!」

 陛下のお声が議事堂内に響き、テオ様がグッと黙られました。

「ミラベル嬢を追い詰めるな」
「っ、私は――――」
「ミラベル嬢、もう少し、ゆっくりと考えなさい。その時間はある。いいね?」
「っ、はい。陛下」



 今の会話は内密にするように。部屋に戻って良いが、事が終わるまでは誰とも面会をしないで欲しい。とブラッドフォード王太子殿下に言われました。
 全てが終わったら、今回の件については、国王陛下とエゾノイ王国王太子殿下の名において、内容の訂正を行うとも約束してくださいました。
 了承して、皆様に挨拶をし、外で待っていてくれたザラとリジー、そして、ずっと側にいてくれたロブとともに部屋に戻りました。

「お嬢様、お疲れのようですが、何があったのですか?」
「私からは話せないわ。侍女長から通達が出るまで待ってちょうだい」
「「……かしこまりました」」

 部屋に戻り、誰も通さないで欲しい、とお願いして、ソファに体を投げ出しました。
 


 部屋に戻って何時間か経った頃、部屋のドアがノックされました。
 外が薄暗くなって来ているので、ザラかリジーが灯りを点けに来てくれたのだと思いました。

「開いてるわよ」

 ドアがゆっくりと開き、そこから現れたのは、仄暗い顔をしたテオ様でした。

「っ!」
「…………行くの?」
「え?」

 テオ様の透き通るようなスカイブルーの瞳が、段々と濁って行っているような、そんな気がします。

「修道院に、行くの?」
「はい」
「いなくならないで、って言った!」
「……返事はしていません」

 すとん、とテオ様から表情が抜け落ちたように見えました。
 怒らせてしまった、と思った次の瞬間、テオ様が私を無理矢理抱え、夫婦の寝室に入り、私をベッドの上にそうっと、置きました。

「きゃっ、テ、テオ様っ⁉」

 テオ様が全ての鍵を閉め、誰も入っては来られないようにすると、のっそりと私に近付いて来ました。

「テオ様っ、何を……」
「この部屋にずっといて。私がミラベルの世話を全部する。私以外、この部屋には来させない。もう怖いものは来ない。だから、いなくならないで……嫌いでいいから、いなくならないで」

 ベッドの側に立ち、懇願するように、そう言われました。
 私の話を聞こうともしないテオ様に、何だかイライラしてきました。
 
 私だって、テオ様のお話や言い分など聞きもしなかったのに。この時は、自分のことでいっぱいいっぱいになっており、様々なことに気付けませんでした。

「……本当に、心の底から嫌いになりますよ」
「構わない。私は、愛しているから」
「私は、嫌いです」
「ん」

 この日から、私とテオ様の変な日常が始まりました。


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