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71:――――テオ様。
しおりを挟む目が覚めると、全身が筋肉痛のようになっていて、痛さで動くことができなくなっていました。
「だ……れ、ヵ、ッ、ゲホゲホッ……」
手を動かすもの怠くて、ザラかリジーを呼ぼうとしましたが、声がきちんと出ません。
「…………ん」
「でぉ、ざま……?」
咳をして、やっと出せたのは、まるで、大声を出して喉を潰した後に、更に大声を出し続けた後、のような醜い声でした。
見覚えのない部屋をぐるりと見回したあと、ベッドの横に座っている、明らかに気まずそうなお顔のテオ様に視線を移しました。
「ごご、ど、ご、で……ずヵ?」
「船……」
――――船?
ということは、寝ている間に、乗せられた?
何故? と思っていたら、テオ様がチリンとベルを鳴らしました。
ドアから不安そうな顔をしたザラとリジーが入ってきて、私をベッドから起き上がらせて、身だしなみを整えてくれました。
「こちら湯薬です。熱いのでゆっくりと飲まれて下さい」
「ゔん……」
はちみつ入りで甘めに仕上げてあるけれど、結局は苦い湯薬をゆっくりと飲みました。
飲み終わると、またベッドに寝かせてもらいました。
テオ様が二人を部屋から下がらせ、ベッドの横に来ました。
テオ様のお顔がなんとなく、不安そうです。
それとは別に気になることもひとつ。
何だか船の様子がおかしい気がします。
窓の外を見る限り夜だと思うのですが、人々の足音や何かを言い争うような声が響いていて、騒然としています。
「ど、か、したの、ですか?」
「今夜はこの場所で停泊後、明日の朝に相手側と挨拶し、我が国の領域に入る予定なのだが、何故か追い抜かれた。今から甲板で指示を出してくる」
「がん、ば」
うまく声が出せなくて、ブカツドウを頑張る人みたいな応援になってしまいました。
「ん。ミラベルは、寝ておけ」
「ぁぃ……」
テオ様がキリリと表情を引き締め、部屋の明かりを落とすと、ざわ付く廊下へと出ていかれました。
「ん⁉ んむむっ?」
何だか息苦しくなり、目が覚めました。
暗闇の中で口を押さえられ、ゴソゴソと体を弄られています。
「んむぅ⁉」
テオ様がまた盛っていらっしゃるのでしょう。
しかし、ちょっと、本当に無理です。
全く抵抗する力も出ないのですけど、どうやったら止めていただけるのでしょうか?
暫くうんうんと唸ってみたりとしていましたら、テオ様のもう片方の手がするりと下着の中に入り、ツプリと中に指を入れられました。
「っ⁉ ん! んゔー! ゔー!」
指が入り込んできた刺激で目が冴えて、やっと、私を組み敷いているのがテオ様では無いことに気が付きました。
手が、体が、匂いが、テオ様じゃありません。
嫌です。
凄く嫌です。
触らないで下さい。
気持ち悪い!
嫌っ!
「んゔゔゔゔ! んー!」
「アンジェリカ、抗うな……ハッ! あの男と、こんなになるまでヤッていたとはな」
「ゔゔゔ! ゔー!」
指が……テオ様のではない指が、私の中に入ってしまっています。
テオ様だけが触っていい場所を、知らない男が、好き勝手に抜き差しし、蠢いています。
――――テオ様。
「ゔゔー! んむゔ!」
「チッ、煩い、黙れ」
「っ、わた、ぎゃ、ぐ……」
男の手が離れたので、『私は、アンジェリカ様じゃない』と、言おうとしたのですが、訳の分からない痛みが顔全体を襲いました。
口と鼻から熱い何かが溢れ出し、息が上手く出来ません。
痛くて、苦しくて、怖くて、体は硬直したように固まり、声が出せなくなってしまいました。
――――テオ様。
「そうだ、そうやっていつも静かにしていろ。気持ちいいほうが、いいだろ?」
テオ様に散々弄られて、腫れぼったくなっていた果実を乱暴に押しつぶされました。
「ぃ、ぁぁぁ…………」
「クッ、ハハハ! アンジェリカ、俺の指はそんなに美味いか? 食い千切られそうだ」
感じたくないのに。
ソコを触られれば、どうしても刺激が発生して、感じてしまう。
わけが解らなくて、怖くて、悔しくて、痛くて、恥ずかしくて、気持ち悪くて、苦しくて、情けなくて。
ただ、声を抑えて泣くことしか出来なくて。
気付けば、男のモノが、ピタリと、あてられていて。
――――テオ様、ごめん、なさい。
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