厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
上 下
64 / 196

64:『え゛』とか言わないで。

しおりを挟む



 ドフリとベッドに押し倒されました。
 テオ様は、相変わらず私が嫌いな種類の笑顔のままです。
 スカートの中に手を入れ太股を撫でながら、テオ様が覆い被さって来ました。

「テオ様」
「黙って?」

 テオ様の顔が徐々に近付き――――。

「セオドリックさまぁぁ」
「「……」」

 微かに、シェンオー・ノイモート・マゴームスゥメェ様の声が聞こえました。

「セオドリックさまぁぁ⁉」

 何だかシェンオー……言い辛いですわねっ! 
 先王の妹の孫娘様の声が、段々と近付いて来てます。

「何よ⁉ 私の邪魔をするというの⁉」
「――――、――」
「煩いわよ!」

 何か、誰かと、モメているようです。
 そして、声がテオ様の部屋から聞こえるような……?

「セオドリックさ……あら? あ! こちらのお部屋ね!」
「えっ⁉」

 テオ様に鍵は閉まっているのかと聞こうとしましたら、無情にも扉が開かれてしまいました。
 そもそも続き扉なのですから、開いてしまいますわよね。

「きやぁぁぁぁぁ!」
「「……」」

 扉に視線を移していたテオ様が、先王の孫娘様が寝室に入って来た瞬間、大きな溜め息を吐いて、とても悲しそうな顔になっていました。

「きやぁぁぁ! セオドリック様が、セオドリック様が襲われているわ! 誰か、誰かー!」

 どう頑張って見ても、私が襲われているのですが。
 テオ様の手が、スカートをたくし上げ、中で蠢いていたのですが……。

「…………殺す」
「テ、テオさまっ! 騎士様、そ、そうです、騎士様に任せましょう! 私達は続きを……ね? ね! 騎士様、お願いしますね!」 
「え゛、あ、は……い」

 先王の妹の孫娘様の後ろに、テオ様付きの騎士様が見えましたので、丸投げをしました。
 だって、テオ様がダークサイドに落ちそうなんですもの! 何か変なオーラが出ている気がするんですもの!
 テオ様は、きっとあの御方とは関わらない方がいい気がします。
 だから、騎士様も『え゛』とか言わないで!

「まぁぁぁ! なんて低劣で汚らわしい女なのっ」
「……おい」

 テオ様がのそりと起き上がって、剣を掴んでしまいました。
 あぁ、もう駄目な気がしてきました。
 何故に先王の妹の孫娘様は焚火にゴンゴンと薪と燃料を焚べて下さるのでしょうか。

「あぁ、こんなとこにいた」

 急に、落ち着いた男性の声が聞こえて来ました。
 ちょこっとだけ、テオ様に似ている声。
 続き扉から予想はしていたけれど、予想外の人物、王太子殿下が入って来られました。

「おや、邪魔してすまないねぇ。アンジェリカ、何をしているんだい? 私との約束は? 本国に追い返されないとでも思っているのかな?」
「あ――――」
「あぁ、本当は彼に迎えに来てほしいのかな? ならば呼び寄せてあげよう。きっと、何隻もの戦艦を引き連れて迎えに来てくれるだろうね」
「え――――」
「でも、そんな事になったら、我が軍は戦争と勘違いしてしまうかもしれないねぇ。ねぇ、アンジェリカ。君の国と、この国、どっちが強いだろうねぇ?」
「そ――――」
「私は彼と力比べしてみたいんだけどね。国を挙げて、となると、この国が圧倒的に優位なんだよね。あーあ、君のせいで一国が滅ぶのかぁ。愛って、なんて残酷で、残忍で、甘く、愚かなんだろうね? ねぇ、アンジェリカもそう思わないかい?」
「お、おにぃぃさまっ」
「おや? 私はいつから君の兄になったのかなぁ? まぁ、小さい頃は、そう呼ぶ事をけどね。私も君も……セオドリックも。もう大人だ、いつまでも癇癪を起こして我儘を通せると、思うなよ?」
「「……」」

 王太子殿下の激流のような恫喝に、誰も何も言えなくなりました。
 先王の妹の孫娘――アンジェリカ様は、なんとか口を挟もうとしていらっしゃいました。
 ですが、王太子殿下の方が何枚も上手うわてのようで、全く追随を許さず、笑顔でぶちのめしていらっしゃいました。


しおりを挟む
script?guid=on
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

責任を取らなくていいので溺愛しないでください

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。 だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。 ※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。 ※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

処理中です...