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51:女は度胸。
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目覚めの一発、眼球へのキラキラご尊顔攻撃。
寝顔が眩しいほどに美しいとか、どんな特技でしょうか。
昨夜は遅くまでおしゃべりしていたので、ちょっと遅めに起きてしまいました。
テオ様は一昨日から徹夜されてありましたので、昨日はちゃんと寝たのでしょう。
そして、どうやら今日はお寝坊さんのようです。
そっとテオ様の胸に耳を寄せると、トクントクンと緩やかな鼓動が聞こえて来ました。
規律正しいその音に段々と目蓋が重くなって来て、自然と眠りに落ちてしまったようです。
――――落差が激し過ぎますわ。
再度目を覚ますと、テオ様が私の胸を弄っている最中でした。
「睡姦は犯罪ですわよ?」
「人聞きの悪い事を言うな!」
「では、この行為は何とお呼びすればよろしいのですか?」
「…………愛しき妖精の体が冷たかったのでな。温めていた。あれだ、手当て療法」
――――なるほど?
「ひーたひ! ひたひひたひぃ!」
何故だかテオ様の形の良い鼻が真っ赤になっていらっしゃいました。
テオ様を部屋から追い出し、着替えと化粧を済ませて部屋から出ると、ロブが廊下にいました。
「ロォブッ、お、おはよう」
昨日の事を思い出してちょっと恥ずかしくなり、声がひっくり返ってしまいました。
「おはようございます」
「? ……うん」
何となく、ロブの様子が変です。が! 昨日のことを考えれば、余所余所しくもなるかと納得して、さささっと歩いて食堂へ向かいました。
「我が赤き果実よ、此処へ降り立ち、共に大地の恵みを糧とせん」
(意訳:ミラベル、ここに座って、朝ごはんを一緒に食べよう)
テオ様が自分の隣の席に座れと言っています。普通は向かい側で食べるのですが?
そして、何故か使用人全員がニコニコしています。微笑ましいモノを見るような、生ぬっるーい笑顔です。
これ、断ったらテオ様のご機嫌がドン底になりますよね? 座るべきなのですよね? 嫌な予感しかしていなくとも。
「は……い、失礼いたします」
――――近い近い近い!
十人は座れそうなほど大きなテーブルで肩を寄せ合うほど近くに座られました。
わざわざイスを動かして。
「赤き果実よ、何が食べたい?」
朝食はビュッフェ形式になっており、目の前に焼き立てのパンやスコーン、サラダ、スクランブルエッグ、ベーコン、フルーツなどが沢山並んでいます。
どうやらテオ様が自ら取り分けて下さるようです。
前世の記憶に引っ張られ、もったいないと思うのですが、余った分は使用人達の朝ごはんに追加されるとの事なので、気にするなと言われました。
食べ残しを、と申し訳なくなるのですが、やはりそれもこの世界では普通の事なのですよね。
何年経っても慣れません。
「えぇっと、取り敢えず全部少しずつお願いいたします。お替りは後で考えます。あ、パンは二つで」
「ふふっ、相変わらず良く食べるな」
ぽそりと小さな声で食欲旺盛さを笑われてしまいました。
朝ごはんはちゃんと食べないと、日中の行動が辛くなるのですよと言っても、テオ様はクスクスと笑うばかりでした。
「いじけるな。ほら、口を開けて」
取り分けて下さった私のお皿を何故か自分の前に置いたテオ様が、サラダのミニトマトをフォークに刺して、私の口元に持って来られました。
――――こっ、これは!
あーん、しろという事なのでしょう。
人目の多いこの場所で、付き合いたてのバカップルのように……あ、一応付き合いたてでしたわ。
取り敢えず、ミニトマトに罪は無いですし、食べましょう。テオ様の眉毛がへにょんとなってきて、何だか泣きそうですし。
――――女は度胸ですわ!
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