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48:語感がおかしい。
しおりを挟むソファに座って私から顔を逸らしているテオ様をじっとりと見つめました。
「テオ様…………」
「……ごめん」
「はぁぁぁ」
明らかに計画的犯行です。
ぽやぽやと熱に浮かされていて気付かなかった私も悪いですが、テオ様のコレはやり過ぎです。
「そこまでヤってない」
「語感っ!」
「…………」
「なぜそこでいじけるのですか! 反省して下さい!」
そもそもが、勘違いなのに。完全に巻き込まれ事故のロブに申し訳ないです。
「おま、勘違いって――――」
「反省っ!」
「いや、流石に――――」
「言い訳無用です!」
テオ様がプチプチと何か言っていましたが、言い訳は聞きたくありませんので、まるっとするっとスルーしました。
部屋で軽食をいただきつつ、明日のご予定をお伺いしました。聞き方にちょっと棘があるのは許して欲しいです。
だって、既に外が暗いんですもの。完全に強制お泊りになってしまいました。
「明日の予定を包み隠さず話してください」
「明日……も、シたい」
「…………何を」
「ナニを」
「……」
――――頭の中で、何か涌いていらっしゃいますの?
「ミラベルへの愛が湧いているのだ」
「え、あ、どうも」
「「……」」
何故だかテオ様がガックリと肩を落とされています。
どうやら思い描いた事がうまくいかずに凹んでいるようです。
仕方ないので、テオ様の計画を聞いてあげることにしました。
「二人で、体と気持ちと熱を高めあっただろう?」
「え、ええ、まぁ」
多少一方的なうえに、妙な牽制トラップを仕掛けてはありましたが。
「疼くだろう?」
「……」
ザラとリジーがいますので、ノーコメントとさせていただきました。
なるべく聞こえないように小声で話されてはいますが……リジーがニヤニヤとしていますので、間違いなく聞こえているはずです。
テオ様は何故か鼻を押さえていらっしゃいますが、どうされたのでしょうね?
「で?」
「ミラベルは結婚してからじゃ無いと本番は駄目って言うから、早く結婚したいと言わないかなぁ……と」
「婚約式さえも予定していないのにですか?」
「……」
あら、何故に視線をそんなにずらされますのでしょうか? ちょっと、私の目を見ましょうか?
「来月……」
――――来月?
「来月、城内の聖堂で予定している」
「いつの間に……」
「大丈夫だ、手配はちゃんと済ませている」
そういう事ではないのですが、テオ様がドヤ顔で言うもので、ついついありがとうございます、と言ってしまいました。
夜も更けてきましたので、テオ様とベッドに並んで寝そべり、この五年間にあった事を話しました。
テオ様は、ちょいちょいと余計な動きをしてはいましたが、手の甲をつねると直ぐに止めてくださいました。
ちなみに、別部屋を提案しましたが、物凄い勢いで却下されてしまいました。
「文官を三名も⁉ テオ様がぁ⁉」
「その驚き方はちょっと傷付くぞ」
だって、テオ様がですよ? いえ、実はちゃんと出来るというのは理解しましたが……でも、文官三名と執務にあたっていると言われると何だが意外です。
私のことも話しました。
チーズなどでいろんな『B級グルメ』を開発したことは、何故かテオ様が異常に知っていてちょっと引きました。
お父様が乳牛を愛でて、撫で擦っていることは知らなかったらしく、息切れするほど笑われていました。
「うふふ、変でしょう?」
「義父上は、変な趣味を持っているのだな! くくくっ」
こういう風に話しながら眠りにつくのは、とても穏やかで、幸せだなぁと思いました。
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