厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
上 下
24 / 196

24:ミラベルの私室。

しおりを挟む
 


「ミラベル様、こちらのお部屋です」

 残念な表情のままのリジーが殿下の部屋の二つ隣の扉を開けてくれました。
 ここが私の私室になるそうです。

「まぁ! 思っていたより……」

 とてもシンプルにまとめてある可愛らしい雰囲気のお部屋でした。
 カーテンは白から黄緑へとグラデーションに染めてあるもので、とても爽やかな印象です。
 家具は木の色を活かしたナチュラルカラーの猫脚家具で統一されており、私の好みど真ん中でした。

「ぜひ、殿下にそれを伝えて下さいませ」
「……考えとくわ」
「はい!」

 リジーが満面の笑みで返事をしたのを眩しく思いつつ、とてつもなく気になっていたことを聞いてみました。

「で、そっちの扉はバスルームやトイレよね?」
「はい!」
「で……そっちは?」

 殿下の隣の部屋だと聞いていたのに、二つ隣だったうえに、殿下の部屋がある側の壁に内扉がありました。
 これは明らかに…………。

「夫婦の寝室ですわ」

 ――――ですわよね!

 はぁ、嫌な予感とは当たるものですわね。まぁ、これは明らかに分かりやすかったですが。

 取り敢えず、扉には鍵を掛けました。

「それから、『本日の晩餐は皆で一緒に』との伝言が王妃殿下より届いております」
「わかったわ。装いは? イブニングドレスは持ってきていなかったけれど……」
「ザラがアップルビー家のタウンハウスに取りに行っております」

 ――――なるほど?
 
 まぁ、お母様あたりの何かしらね。ということで諦めましょう。イブニングドレスが届くのね。良かったわ、えぇえぇ、良かった良かった。ザラもこちらにいてくれるみたいだし? 良かった良かった。

 だいぶイライラしつつ自分を慰めながら室内を確認したりして時間を潰しました。



 晩餐の二時間ほど前にザラとリジーにドレスを着せてもらい、髪を整え、お化粧し、準備万端です。
 殿下は少し遅れるとの事で先に王族専用のダイニングに向かいました。

「ミラベルちゃん! 昨日はごめんなさいねぇ」

 入った瞬間に王妃殿下が駆け寄って来られて、謝られました。

「いえ、真犯人はセオドリック殿下だと解っています……が、あのような場では二度とやめていただきたいです」
「ええ、陛下にも怒られてしまいましたわ」

 王妃殿下が思いのほかシュンとしていらっしゃったので、少しだけ溜飲が下がりました。

「アナスタシア、席に着きなさい。ミラベル、私からも謝ろう。すまなかったね」
「陛下……」

 公式でなくとも陛下が謝ることは望ましくないとされているはずなのに……。有り難いと共に、怒りに任せて会場を逃げ出して申し訳無かったなと、反省しました。
 ……ですが、殿下への怒りはまだまだ収まりそうにありません。

「三人とも、給仕達が困ってるから。席について夕食にしよう」
「うふふ、ごきげんよう、ミラベル様。晩餐にいたしましょう?」

 いつの間にか現れたブラッドフォード王太子殿下とマリー王太子妃殿下に席に着くように促されました。
 セオドリック殿下はまだ執務をしているらしく、そのうち来るか、来なければ執務室で食べるだろうと言われました。
 王族用の食事は全てが上品かつ繊細な作りで、私が開発していた『B級グルメ』はもちろん、普段食べているものとも全く違いました。

「んっ、こちらのポワレ、外はカリッと芳ばしいのに、中はふわふわでとても美味しいですね」
「まぁ! ミラベルちゃんが気に入ってくれて嬉しいわ」

 皆様と歓談しつつ楽しく食事しました。
 結局、セオドリック殿下は晩餐の席には現れませんでした。

 ――――セオドリック殿下は、ちゃんとご飯を食べているのでしょうか?


しおりを挟む
script?guid=on
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

責任を取らなくていいので溺愛しないでください

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。 だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。 ※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。 ※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています

21時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。 誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。 そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。 (殿下は私に興味なんてないはず……) 結婚前はそう思っていたのに―― 「リリア、寒くないか?」 「……え?」 「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」 冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!? それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。 「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」 「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」 (ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?) 結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

処理中です...