厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
上 下
14 / 196

14:春は遠い。

しおりを挟む



 デビュタントボールに参加する為、王都のタウンハウスに来ました。

「「ミラベルお嬢様、おかえりなさいませ」」

 タウンハウスを管理している家令やメイド達が歓迎してくれました。

「この五年間、全く顔を出さなくてごめんなさいね」

 皆に挨拶しつつ、ロブの紹介をしました。
 そしてメイド達には今回の計画と、ロブを磨き上げてとお願いもしました。

「まぁまぁまぁ! 腕によりをかけて!」

 なぜだか皆がやる気になったのでおまかせすると、ロブが絶望に近い何かを瞳に乗せ、ドナドナされて行きました。
 家令によると、最近の王都では騎士とお嬢様の身分違いな恋愛小説が流行っているとの事でした。

「あら、まるで私達のようなのね?」
「おや? 本当にそのような関係でしたか……」
「一ミリもそんな雰囲気にはならないわ」
「お嬢様に春はまだまだ遠いようですなぁ」

 何故か家令が残念そうにしています。
 孫の顔が――――などと、どこ目線か解らない家令の小言はまるっと無視しました。いいのです、私はB級グルメと共に生きるのです!

 デビュタントボールは明日の十八時からなので、今日は王妃殿下に頂いたというドレスの確認と明日の髪型やジュエリーを決めようと自室に向かいました。
 ドレスはクリームイエローで、胸元が真っ直ぐに作られているベアトップのエンパイアラインでした。とてもしっとりと柔らかな印象でとても気に入りました。

「――――え? ジュエリーも頂いてるの?」
「はい」

 侍女のザラから見せられたのは、ライトブルーの少しネオンのような輝きを感じられるドロップ型のイヤリングと、ビブネックレス――肩から後ろはチェーン、肩から前は三日月型に宝石を繋いでいるゴージャスなタイプ――でした。

「こちら、パライバトルマリンと言いまして、銅を多く含んだ鉱石で、中からライティングされたような輝きを放つ希少なものとの事です」

 トルマリン……水色。また、水色ですか。

「ドレスの形と合わないわね。それにデビュタントが着けるには少々高価すぎるわ。これは本当に王妃殿下が下さったものなの?」
「ドレスと一緒に届いたと伺いましたが……もう一度確認して参りますか?」
「……いえ、いいわ。これは片しといてちょうだい。明日は手持ちのジュエリーを着けるわ」
「かしこまりました」

 ストレートに裁断された胸元に合うのは、もう少し大人しめのデザインで、形はラウンド型が良いです。
 確か手持ちの物にブラウンダイヤモンドのプリンセスネックレスがあったはず、それを着けましょう。



 夕食の時間になり、食堂に向かおうと部屋から出ると、廊下の向こうから小綺麗なロブが早足でこちらに近付いて来ているのが見えました。何だか顔が険しいです。

「あら、どうしたの?」
「どうしたのじゃありませんよ! 見てくださいよ」

 ロブが自分の髪の毛をピンピンと引っ張って何かを主張して来ます。

「あまり引っ張るとハゲるわよ?」
「まだ若いんでハゲません! っ、じゃなくて! 何か髪の毛に塗り込まれたんですけど⁉ 体中触られまくったんですけど⁉」
「まぁ、良かったわね!」

 ロブが日頃から騎士団にいると女性と知り合えない、ときめく触れ合いが無い、とかグチグチグチグチと言っていましたので、夢が叶って良かったわねと思っていましたが、どうやらそうじゃなかったようです。

「完全に野良犬を洗うみたいにされましたけど⁉ ときめきとか全くありませんでしたけど⁉」
「これからよ、これから! 頑張りなさい!」
「いや、何を『チャンスはまたある』みたいな言い方で誤魔化そうとしてるんですか! そういう話じゃ無いでしょうが!」

 どうやら男なのに女性に良いように扱われ、エステまでされて、自尊心などがズタズタになった、という主張だったようです。

 ――――分かり辛いわねぇ。


しおりを挟む
script?guid=on
感想 6

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
 大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。  うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。  まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。  真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる! 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう ※2022/05/13  第10回ネット小説大賞、一次選考通過 ※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...