厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
上 下
4 / 196

4:殿下、懐きました。

しおりを挟む



 殿下のになってから一年が経ちました。
 今日も今日とて殿下とお茶会です。

「ごきげんよう、セオドリック殿下」
「今日も来たか、赤き果実よ」

 最近の殿下は、私の髪色と名字であるアップルビーを揶揄って、『赤き果実』と呼ぶことにハマっていらっしゃいます。

「早く座れ」
「はいはい」
「不遜なやつめ! 我が赦していなければ万死に値するぞ。そのような態度は我が前以外では絶対にするなよ!」
「はいはい」

 最近のセオドリック殿下は私にとても懐いています。
 転機は私が殿下のとしてお茶会に同席した時でした。
 私が殿下の発言を通訳する事によって、他の方達と意思疎通が取れるようになったので、殿下は私の有用性に気付いたようです。
 ここ最近では、私の後押しもあり、この十三年間いなかった友達作りに邁進されています。
 それを知った時の王妃殿下の咽び泣きは、ちょっとやそっとでは忘れられそうにありません。

「それで、昨日の成果はどうでした?」
「宰相の末息子に我が下僕しもべにしてやると言った!」
「……で?」
「泣き叫ばれた」
「……」

 ――――またか、またなのか。

 殿下は十三歳の子供にしては百七十センチと身長が高く、全身黒ずくめの軍服(趣味)を着て、右手にガントレット(趣味)を嵌めていらっしゃいます。……未だに。
 それが、ドン近で仁王立ちして、左手は腰に、右手は顔半分を隠すようにして、『弱き立場の子羊よ、我に命を捧げよ! 我が下僕となれば、相応の叡智を授けてやらん事もない!』と叫ぶのです。
 私よりも年下の少年なら間違いなく泣く!
 例え意訳が『僕と友達になってくれないかい? 友達になってくれたら文官になる手助けが出来ると思うんだ』という下心を擽る甘言マックスな内容だろうと、伝わらなければ意味が無いのです。

「何で普通に『友達になって』と言えないのですか」
「言っているであろうが」
「どこがですか、馬鹿ですか。宰相閣下の末のご子息様はまだ六歳でしょう⁉ トラウマ案件ですよ」
「馬鹿と言うな!」

 馬鹿に馬鹿と言って何が悪いのでしょう。
 この友達を作ろう計画ですが、同年代は全滅しました。年下も七歳までは全滅です。最近は六歳の子に手を出しています。
 第二王子という立場を持ってしても、この厨二病言動のおかげで誰もが近寄ろうとしてくれないのです。

「もう諦めて年上の友達探しにしましょうよ」
「だっだだだだがっ……お前は我の下僕になったではないか!」
「下僕ではありませんけどね。我が家は家族全員が王妃殿下に陥落されてしまいましたので。仕方なくです」
「ぐっ……くそぅ…………我はペルソナ・ノン・グラータ。闇の中、孤独に苛まれながら消えゆくデスティーノを背負っているのだな」

(意訳:僕は必要とされない人間なんだ。きっと死ぬまで友達が出来ないんだ)

 そもそも、セオドリック殿下の見た目と言動から考えるに、年下の友達探しは間違っているのです。
 何度も年上をと勧めるのですが、年上は怖いとチキンな事を言われるのです。
 それに私という成功事例がある、と。

「殿下、何度も申しましたが、私は例外です。私はただの通訳者です。今度は必ず年上の方に、普通に、声をお掛け下さいね?」
「ぅぐぅぅ……赤き果実がそこまで言うのならば……いくらこの身がルプスの呪いに侵されようとも耐えてみせよう」

(意訳:ミラベル嬢がそう言うのなら頑張るよ)

 はいはい、頑張って下さいね、と適当に返事をしてこの日は家に帰りました。


しおりを挟む
script?guid=on
感想 6

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

異世界は獣人の国!?番に求められて逆ハー状態!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界に入ってしまった主人公『ルア』。本名は『弓波紫月(ゆみなみしづき)』。男は獣人、女は人間の世界に入り込んだ彼女は前の世界のしがらみから解き放たれ、自由に暮らすことを決めた。日々暮らしていけるだけのお金を稼ぎ、やりたいことをする生活を過ごすうちに、あるきっかけで国の揉め事に巻き込まれていく。そこで獣人たちが『番』を求める理由を知って・・・・ 「俺の番になって欲しい。」 そんな言葉をあちこちから言われて困るルア。ただ一人しか選ぶことができない番を、ルアは誰を選ぶのか。 ※お話は全て想像の世界です。現実とは何の関係もありません。(できれば異世界に行ってみたいです。) ※誤字脱字があると思います。なるだけ無いようにチェックはしてるつもりですが思い込みでスルーしてしまってる部分があると思います。(よければスルーしてください。) ※メンタルが薄い薄い氷でできてるため、ほんの少しの衝撃(暴言)で粉々になりますのでコメントはオフにしてあります。すみません。 ※コンテスト用に書き始めてるので貯文字が全くありません。完結までは持っていけると思いますが、いつものように毎日公開は難しいかもしれません。すみません。 いつも読んでくださってる方々、本当にありがとうございます。 それではレッツゴー。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

我が家の会話を全て厨二病全開にしてみた結果

海林檎
恋愛
父親の一言で負けじと厨二病全開で会話してみた。 内容は本編で ジャンルが謎なので目がついたものにしてます

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...