ちょっとおバカな私の婚約者

６ 完

「リップ聞いて」

「何？」

「ようやく仲間を集められたよ」

「そう」

「今日の夜はついに鬼退治だ」

「頑張って」

「うん」

「さあ、領地の書類読んできびきび働く！」

「分かってるよ。だから後でお腹触らせてね？本を読んだら話しかけるのは良いって書いてあった。これは実際に体験していい事だよね？」

「そうね」


ケーニスはあれから本を読んでも頭の中で想像の世界を楽しんでるみたい。

結婚する時に約束した。

本を読むのは、１日５０ページ！

本を読んで実際に体験していい事か私に聞くこと！

ケーニスはきちんと約束を守ってる。

頭は賢いから領地経営も難なくこなしてる。書類も本と変わらない、っていうより字が書いてあれば良いらしい。毎日ワクワクした顔で書類を見てるわ。



初夜の時も…


「リップ、僕ね本を読んだよ？」

「そ、そう」

「これは実際に体験していい事だよね？」

「そ、そう、ね、」


なんか凄くワクワクした顔してるけど…。初夜まで私からしないといけないの？って少し思ってたから、そこは、良かったけど…、良かったの？


「リップ愛してる。僕を見捨てず僕の話を聞いてくれて、僕のバカを許してくれる。それに僕を怒ってくれる。そんな優しいリップを僕は愛してる」

「私もケーニスを愛してるわ」

「初めて会った時からリップを離す気なんて無かった。僕にはリップしかいない」

「うん。ケーニスの思いや言葉は疑った事なんてないわよ？」

「リップ、僕の愛しい奥さん」

「ちょっとおバカな私の旦那さま。でもそこが好きよ」

「リップ」


ケーニスの唇が私の唇と重なる。
ケーニスは初めてと思えない程私をトロトロにし、半分朦朧としてる間に破瓜を破り奥へ入ってきた。




こういう本は読むな！と言いたいけど、それでもケーニスは私の嫌な事はしないって知ってる。



ケーニスの実際に体験してきた失敗談、本当は聞いてて楽しかったの。私まで冒険に出掛けたみたいで。私は想像の中だけで楽しんだけど！

ケーニスは毎日本の世界を教えてくれるわ。それもまた楽しいの。

今日はようやく鬼退治だわ！
さあ、やっつけないと！私は青鬼をやっつけるわ！





　　　　　　　　　　　　完