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55 未来へ
しおりを挟むロザンヌお義姉様は男児を出産し、ウルーラお義姉様も男児を出産した。リリーも男児を出産した。
可愛い甥っ子の誕生に私は毎日甥っ子に会いに来てるわ。
「グレースここに居たのか。家にいなくて心配したんだぞ」
「ここに居る方が気が紛れるもの」
「無理はするなよ」
「大丈夫よ」
可愛い甥っ子はベッドの上で眠っている。
小さい手で私の指をギュッと握るの。それがもう本当に可愛くて可愛くて。
フランキーは私を自分の膝の上に座らせた。そして後ろから抱きしめるようにお腹に手を回した。
「まだ目立たないな」
「そんなに早く大きくならないわよ」
「そうだな。グレースの腹の中で大きくなれよ」
フランキーはお腹を優しく撫でる。
ロザンヌお義姉様の第一子誕生に国中がお祭り騒ぎ。次代の王太子になる男児だったこともあるけど一週間お祭りは続いたわ。私達も王宮でお祝いに来た貴族達の相手をしていたの。
一週間後ようやく落ち着いてきてフランキーに言われたの。
『もういいよな?』
フランキーと婚姻して決めた事がある。
男児でも女児でもフレディ義兄様とロザンヌお義姉様の第一子が誕生するまで私達は子を作らない。あと、婚姻して3年経ってもロザンヌお義姉様に子が授からない場合は子を作ろうって。
ロザンヌお義姉様が子が授からないと悩んでいたのもあるし、もし先に私達の子が産まれてそれが男児だった場合、それがこの後の争いになるのは避けたいと思ったから。
王族同士の婚姻、そして大国の王族を親類に持ちルータン国の元王女ウルーラお義姉様と義理の姉妹になった事で私はロザンヌお義姉様より更に立場が上になった。それはフランキーにも言える事。
だから第一子が無事産まれるまでは夫婦の営みの時子種を外に放っていたの。
男児が産まれるまで、私達も始めはそうしようと話してたの。でも女児しか産まれなかったら?もし子が授からなかったら?
私達だって子は欲しいもの。
それに時代は変わるわ。女性が騎士になる事だって、女王になる事だって出来る時代になるかもしれないわ。
だから子種を外に放っていてももし私達に子が授かったらその時はその時。また何か対策を考えればいい。私達に手を貸してくれる家族がここにいる。
その晩、初夜の時以来初めてフランキーは私の中で果てた。
ずっと私の中にいたフランキーの秘部。フランキーはそのまま幸せを噛みしめるかのように私を抱きしめた。
月の物の日以外は毎晩営みはするのよ?中で果てるか外で果てるかの違いだけ。でも私だってフランキーの子供を産みたいと思うわ。だからフランキーが中で果てた時嬉しいと思ったの。これで子供を授かれるかもしれないって。
それから数ヶ月後私の体調が悪くなり医師に診てもらったら子が出来たことが判明したの。
今はほんの少しだけお腹も膨らんできて体調も落ち着いたけど、悪阻もひどくて寝たきりだったわ。夜中に嘔吐する私の背中をフランキーはさすってくれたり、少し暇を見つけては家に戻って来てくれた。家に居る時はずっと付きっきりで私の世話をしてくれたの。
湯浴みが出来なかった時は体を拭いてくれたわ。飲み物しか飲めなかった時はオレンジを絞って飲ませてくれたわ。
悪阻が落ち着いたら今度は動く私が心配みたい。家の中を歩いていても走ってくるわ。甥っ子を見にこっちへ来る時なんてここは王宮なの?って思うくらい私の周りにメイドや騎士がいるの。
「家に帰るか?」
「そうね、でも帰る前に庭を散歩しましょ?」
「そうするか」
フランキーと手を繋いで庭を散歩する。優しい風が私達を通り過ぎる。
今はまだ小さいけど、ここで走り回る次代へ繋ぐ子達。あなた達の世代では女性が活躍する姿も、秘し隠す言葉も、第二王子だから女児だからそんな定めに振り回されない未来であってほしい。
愛する人と愛を紡ぎ夫婦になり家族になる。
そんな当たり前の世になってほしい。
「男の子かな?女の子かな?どっちでも俺達の元に産まれてきてくれるだけで嬉しいけどな。
でも男の子なら剣を教えたいし女の子なら……、いずれ嫁に出すのか…。
それでも愛する人と幸せになってほしい」
「そうね。この子にも愛を知ってほしいと思うわ」
数年後
「オスカー、ライリー、ここに居たのね」
「母上」
「ルーナがお兄様達はどこって探していたわよ」
「それは大変だ、すぐに帰らないと」
オスカーは10歳の長男、ライリーは8歳の次男。そしてルーナは3歳の長女。
オスカーもライリーも午前中は王子教育を受ける為に王宮へ行き午後からは訓練場で剣を振ってるわ。
フレディ義兄様には第一王子と第一王女が産まれたわ。
「兄上、まっ、待ってよ」
私の横を走って通り過ぎる子供達。
「アルバン、イザベラ、ルーナから離れろよ」
「俺達はルーナを愛でてるだけだ」
アルバンはお兄様の長男、イザベラは長女よ。
「アルバンは妹のイザベラを愛でればいいだろ?」
「イザベラは妹ではあるが同士だ。俺達はルーナを愛でる会を発足した」
「そんな会作るなよ」
「オスカー達は毎日会えるだろ」
「アルバンもイザベラも毎日会ってるだろ」
「当たり前だ、ルーナは俺達の女神だ」
「そうよそうよ」
アルバンもイザベラもルーナが産まれてから毎日家に来るわ。
なんか懐かしい光景よね?
「ほらほら言い合いしてるからルーナが驚いてキョトンとしているわよ」
「兄様達は喧嘩してる訳じゃないからな?」
「なかよち?」
「ああ、仲良しだぞ」
「うん」
本物の笑顔で笑い合う子供達の姿。
あなた達の笑顔がこれからもこの国に平和と幸せを運ぶわ。
完結
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