0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ

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48 気持ちの変化

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昇天させないといけなかったのは彼女の思いじゃなくて前の時の私。

未来を変えないと、って一番未来を変えないといけなかったのは私の未来。

私自身で私の未来を変えないと平和な日常にはならない。皆が平和な日常を送れれば平和な国になる。

だから私は幸せになる。


「フランキー聞いて、ルイが正式に私の護衛騎士に決まったわ」

「そうか、あいつ忠誠を誓ったのか」

「ええ、こんな嬉しいことはないわ」


私はフランキーに抱きついた。

私を抱き止めるフランキー。


「フランキーも嬉しい?」

「嫉妬もするけどルイ以上に信頼できる奴はいない。グレースを命懸けで護ってもらわないといけないからな」


そう言って笑ったフランキーは安心した顔だった。



隣国のお祖父様が亡くなった知らせを聞いた時は泣いてる私を抱きしめてくれた。私はフランキーの胸でおもいっきり泣いたの。

手は寂しい時じゃなくても繋ぐわ。私はフランキーと手を繋ぐのが好きだから。安心する、側にいてくれる、励ましてくれる、色々な意味はあるけど、それでもお兄様とは違う意味をフランキーには感じるの。それは幼い頃から。

私が気付いていなかっただけで、家族に囚われていただけで、私の気持ちが変わった今、フランキーと手を繋ぐのが恥ずかしい、そう思う時もあるの。

私の手を繋ぎ前を歩くフランキーの背中に抱きつきたいと思う時もある。抱きしめられると離れた時に残る温もりに寂しいと感じる時もある。

何もない時に抱きしめてほしい、そう思う事はよくあるのよ?

前は言えた『手繋いでよ』それが言えないの。手ではないけど、抱きしめて、それが恥ずかしくて言えないの。

フランキーの優しさも男らしらも、今までずっと見てきたつもりだった。それでも見ようとしなかったものが見えた時、私の心に変化が現れたの。

手を繋ぐのは好き、前は簡単に言えたわ。家族として好き、それも簡単に言えた。

でもその『好き』って言葉が今は簡単に言えないの。フランキーを男性と見ているから言葉に出すことが恥ずかしいの。


フランキーはずっと待っててくれてる。私の気持ちが育つまで問い詰めずそっと見守ってくれてる。

お兄様も私の心の変化は気付いたわ。

『お前が幸せなら俺は見守るだけだ』

今は邪魔をせず見守ってくれてるの。

お兄様の前で手を繋いでいてもフランキーを睨むけど何も言わないわ。フランキーもお兄様に睨まれても私の手をギュッと握って離さないわ。

お兄様とフランキーって案外似てるのよね。本人達は嫌がるけど。自分が愛し護るものへの執着?そこは同じだもの。それに言い争いをしても仲がいいの。

この前なんて二人で仲良く話してたわ。最後は握手なんかしてたのよ?二人して私を見て笑っていたの。


本当に少しずつ 少しずつ好きが溜まっていくのが分かるの。

フランキーが私を愛しいと見つめる視線に恥ずかしくて顔が赤くなるけど嬉しかったり、フランキーが嬉しいとか好きだと思った時は繋いだ私の手をギュッと握ったり。

今までは励ましだと思っていたけど、励ましだけじゃなかった事に気付いたの。それにじっと私を見ていた時の視線も今思えば私を好きだと見つめていたんだなって。

今私を見つめる時と同じ目をしてるから。

気付かなかったその一つ一つに気付いて、また嬉しいと思うの。

私の頬に触れる手にドキンと胸が高鳴ったり、抱きしめられる腕に心臓が壊れるんじゃないかと思うほど鼓動が早くなったわ。それにフランキーの背に手を回して抱きしめ返した時、フランキーが私をギュッと抱きしめたわ。フランキーの腕の中で私は幸せ、そう思ったの。

言葉だけじゃなくて行動でも好きと伝わる。気持ちが溢れて無意識に体が動く。自然と手を繋いだり、ギュッと力が入ったり、その行動からフランキーの思いが流れてくる。

嬉しそうににこにこしているフランキーの顔をずっと見ていたい。

私はフランキーの隣で。


そうそう、この前初めてやきもちを焼いたのよ?

フランキーがレーナレーナってレーナの事ばかり話すから。稽古仲間なのも知ってるわ。

でもやきもちは別でしょ?

私はフランキーと繋いでいた手を離して

『そんなにレーナと稽古したいならしてくれば?フランキーなんてもう知らない』

私は早足で歩いたわ。私ってこんなに早く歩けるのねって思ったほどよ?

突然腕を掴まれて気付いたらフランキーの胸が目の前にあったわ。

『グレースごめん…怒ったのか?』

私は何も答えなかったわ。フランキーと話したくなかったの。

『俺が好きなのはグレースだ。だから許してくれないか?グレース?』

フランキーはずっと『ごめんグレース。俺はグレースが好きだ』って何度も言っていたわ。

『………フランキーは、レーナが、好きなんでしょ?』

『俺が好きな人はグレースだけだ。信じてくれ』

『レーナの事好きにならない?』

『当たり前だろ』

『これからも?ずっと?』

『これからも好きにならない。俺が一生好きなのはグレースだけだ。これからも愛し続けたいと思うのもグレースしかいない。

グレース好きだ、愛してる……』

フランキーは私をギュッと抱きしめた。

私もフランキーに手を回そうと思ったのよ?

『グレースもレーナにやきもち焼いてくれたんだな。まさかあのグレースがな…』

だから回すのを止めたわ。

そうよ?やきもちよ?

それにあのって鈍感なって事でしょ?

そうよ、鈍感よ、悪い?

『俺だけじゃなかった…、俺だけじゃなかった…』

嬉しいような切ないようなフランキーの声を聞いて私はフランキーを抱きしめた。

『私はフランキーが好きよ』

好きって自然に出たの。

フランキーを抱きしめたい、そう思ったら私はフランキーを抱きしめていたわ。



フランシスという一人の人として向き合ってみたら私だけに見せる優しさも私だけに向ける好意も私だけに心を許してる姿も、幼い頃から変わらないフランキーを私は信じられる。

触れたくて触れてほしくて、でも少し恥ずかしくて、でも触れられると嬉しくて、夜寝る前までフランキーの事を思ってるわ。

フランキーは寝たかな?

フランキーと早く会いたいな

明日は抱きしめてって言おう

でも恥ずかしいわ

いつかは口付けも、してみたい…

好きな人とする口付け…

やっぱり恥ずかしいわ

でも唇にする口付け…

私は何度も自分の唇を触ったわ。

キャー、想像するだけで…


……早く婚約しようって言ってくれないかな?



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