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23 最後のお茶会

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「フランキー、私は応援するわ。だから頑張ってね」


伯父様も伯母様も認めない人。

そうよね、年上過ぎるもの。

フランキーが幸せなら年なんて関係ないと思うわよ?でも親からしたら…、反対はするかもしれないわ。

でもいずれ伯父様も伯母様も認めてくれるわ。

私は応援しかできないけど、私だけはフランキーの味方になるから。


「お前さ、何か勘違いしてないか?」

「え?伯母様の侍女じゃないの?」

「侍女の誰だよ」


呆れた顔をして呆れた声で私を見るフランキー。


「なによ、」

「別に」

「なら誰か教えてくれてもいいでしょ」

「その時が来たらな」

「あっ!私分かったかもしれないわ。

ほら、最近騎士団の調理場に来るあの女性じゃないの?」


騎士団の調理場には平民の女性が来てるの。元々街の食堂で勤めていたんだけど、料理人になりたいと街の騎士団で勤めていたの。腕を買われて王宮の騎士団の調理場で最近働くようになったのよ。

王宮の騎士団って貴族ばかりで男性だけだから未婚の女性は働けないの。

王宮内で働くメイドは未婚の女性も勿論いるわよ。でも教育されるし貴族の推薦がないと入れないの。

王や王族が暮らすから当たり前なんだけど。過ちがあっては駄目でしょ?

メイドが愛妾に、もしくは前の時のフランキーがそうだったように遊び相手にはもってこいだもの。

でもそれは職を失うわ。フランキーが手をつけたメイドは全員辞めさせられた。それが合意じゃなくてもね。

フランキーは無理矢理メイドに手をつけた時もあったから。その時辞めさせられたメイドは泣いていたわ。

王宮で働く、彼女にとってそれは彼女の誇りだったから…。


王宮で働くメイドは皆誇りを持って働いている。それは今も前も。

仕える主が快適に過ごせるように、安らげるように、きめ細やかに心配りをしていたわ。

実際私に仕えるメイド達に私は支えられてきた。私室はいつも清潔に保たれ、使いやすいように置かれた紙とペン。取りやすいように置かれた本。寒い日は膝掛けが置いてあったし、雨の日は華やかな花が活けてあった。

だから優秀なメイドがフランキーの行いで辞めさせられるのは許せなかった。


でも伯父様もフレディも今のフランキーもそこは弁えてる。

だから誰もメイドに手を出す人はいないわ。勿論近衛隊の騎士達も。

平民は平民同士、メイドと王宮内の調理人、侍従や従者や庭師、そこで夫婦になる人達はいるわ。でも貴族と夫婦になる人はいないの。

それはメイドも弁えてるから。


でも騎士団の騎士って全員が全員ではないけど、継ぐ爵位もなくてとりあえず騎士になったっていう人がいるのよ。そういう人は平民の女性に手を出す人もいるの。

メイドには相手にされないわ。でも騎士団の調理場で働く女性を口説くの。男性だから女性を口説くのは分かるの。可愛い女性がいたら話をしたいもの。

口説いて遊んで責任を持つならいいわ。でも責任は放棄するの。

平民の女性と恋をしても認めてもらえないと愛人にするしかないわ。それに継ぐ爵位がなければ婚姻しても平民になるじゃない?

だから騎士団の調理場は男性しか働けないの。

でも騎士って令嬢に人気がなのよ?助けた時に恋に落ちた、夢物語みたいな話でも実際にあるのよね。


でもあの女性は別。腕を買われたのもあるけど調理人になりたいと強い意思を持っているから。

でも彼女は平民。

フランキーが平民の彼女と婚約を、それは認めてもらえないわ。

後ろ盾は必要ないと言ってもね…。

フランキーは王子だから。この先フランキーが王位継承権を放棄すると言ってもフランキーの子供には王位継承権が付く。

もしフレディの子供が女児ばかりならフランキーの子供が王に、その可能性は無しではないわ。

平民の彼女との子を王に、反発は出るわね…。

お兄様と隣国の王女のお姉様の子が男児ならその子を、と言う貴族が現れるかもしれない。


「フランキー、成果を残すのよ。もうそれしかないわ。皆を黙らせるほどの成果よ、いい?

それなら伯父様も伯母様も認めるわ」

「成果か…」

「成果を残した褒美を貰えばいいのよ。私も幼い頃に貰ったでしょ?」

「自分の為の時間な」

「ええ、お菓子作りの時間ね」

「最近作ってないのか?」

「作ってるわよ?」

「俺貰ってないぞ」

「あげてないもの」

「どうして」

「最近は家で作ってるからよ。だから最近はルイが食べてるわ」

「どうしてルイなんだよ」

「ルイしかいないから」

「俺に持ってこいよ」

「でももうここに来ないもの、無理よ」

「取りに行く」

「お兄様に許しをもらったらいいわよ?」

「ロニー兄上が許すと思うか?」

「それだってフランキーの為だからよ?私達はいとこだけど周りはそう見ないわ。

だからねフランキー、今日が最後の二人だけのお茶会なの。もう私達は子供じゃないわ。許される時は終わったの。

寂しいけど、フランキーと会えなくなるの寂しいけど、私はフランキーの味方だから。何があってもフランキーの味方だから。だから頑張って、ね?」


フランキーは馬車まで送ってくれた。

背が伸びたフランキー。幼かった顔もいつの間にか青年の顔つきになった。少し低くなった声、逞しくなった体つき、

男児から男性へ

少年から青年へ

子供から大人へ

ここ数年で見違えるほど成長した。でもそれは私も同じ。

私達は成長し大人になる…

それは違えた道を歩くという事。

同性なら良かった…

でも私達は異性。

いつか離れる時がくる…

そのいつかがきた。


フランキー、ありがとう。

ずっと私の側にいてくれて、ありがとう…。



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