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4 何が変えたの?

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5歳になり私も王宮で教育が始まった。

お兄様も5歳からフレディと一緒に教育が始まった。だから覚悟はしていた。

お兄様は王位継承権三位、だから分かるけど…、女の私には王位継承権はない。国王の伯父様の娘ではない私は王女でもない。

伯父様には女児が産まれなかった。だから王弟のお父様の娘として他国に人質として嫁ぐ事はあり得る、だから教育が必要だと言われた。まぁ人質としてとは言われなかったけどその場合人質としてよね。

でもこれは王子妃教育も兼ねているのは知ってる。

うーん、いざという時の為に教育は必要。王族と貴族では教育が少し違うから。何かあれば唯一の女児として他国へ、その選択を捨てる事はできない。

前の時はフレディが12歳で私が8歳の時に婚約が決まった。でも未来を変えるなら私の未来がどう転ぶか分からない。その為の準備はやっぱり必要よね。


それに、フレディが10歳の時に出会ったのよね。フランキーの遊び相手として王宮へ来たロザンヌ様に。そこでフレディは一目惚れをした。

私もフランキーの遊び相手として参加していたから毎度ロザンヌ様の様子を教えていた。

伯父様はこの頃からフランキーとロザンヌ様を婚約させるつもりでいた。させるつもりだけで実際に婚約したのは二人が15歳の時。


「グレース?」


私を覗き込むのは一緒に勉強をしているフランキー。


「どうしたの?つかれちゃった?」

「うん、すこし…」

「せんせい、10ぷんだけきゅうけいにしませんか?」

「では10分だけ休憩にしましょう」


フランキーは私の手を引っ張り中庭まで連れて来た。


「グレースみて、グレースとおなじいろのはな。かわいいね」


幼さが残る笑った顔は変わらない。


家庭教師の先生に叱られながらフランキーと一緒に勉強をした。常に横に座って私が泣きそうになるとそっと手を繋いでくれた。

『ぼくがいるよ』

それがとても心強くて安心した。でも次第に競うようになって…、それはそれで楽しかったんだけど。


「べんきょう、たのしくない?」

「なんで?」

「ぼくはたのしくないから。べんきょうよりグレースとずっとあそんでいたい」

「わたしも。でもべんきょうしないと」

「そうだね。じゃあいこうか。もうだいじょうぶ?」

「うん、ありがとうフランキー」


フランキーは私の手を離さず握ってくれていた。

勉強はいいの。だって一度習っているから。聞いてるふりをすればいいだけ。聞いてるふりは得意よ、だから大丈夫。

それよりも考えないといけない。

フランキーは元々優しい男の子だった。それが、どうしてフランキーは変わったの?

そういえば、フランキーって誰が好きだったのかしら。ロザンヌ様の事は好きではなかったの?確かに冷たい態度で好きなようには見えなかった。

でも遊んでいた時はあそこまで嫌っていなかったような…。もしかしてフランキーはロザンヌ様を好きで、でもロザンヌ様はフレディが好きで、だからわざと冷たくしていた?自分を見てほしくて?

でも、婚約してからフランキーは女癖が悪くなったのよね。よく私室に女性を連れ込んでいたのを見たわ。

そうよ、閨教育が終わってからよ。

男性は15歳で閨教育を教わる。恙無く営みを行えるように。娼婦を呼んで手取り足取り教えてもらうらしい。

女性は本を読んで終わりよ?後は男性に任せなさい、そう言われるだけ。

実際私も本を読んでフレディに任せたわ。痛みは付き物、そう言われていたから思わず蹴りそうになったけど耐えたわ。

それからも痛みを伴う行為に、痛くないふりをしていた。メイドに借りた本の中では思わず漏れた声『あぁん、はぁん』なんて書いてあったけど、思わず漏れた声は『ヴッ』だったわ。

流石にこれは違うと思って『あぁん、はぁん』と声を出したわよ。天井をじっと見つめ『早く終わって』何度も心の中で唱えたわ。

終わった時は『ようやく終わった』って脱力したわ。途中から痛くて冷や汗は出るしどうしてこんな事を世の男女はしたがるのか本当に分からなかった。

だからフランキーは何が楽しくてしているのか分からなかったの。咎めたり責めたりはしなかったわよ?

でも一度だけ聞いた事があった。

あれはフランキーが18歳になりロザンヌ様と婚姻式を迎える少し前。

『ねぇフランキー、そんなに良いものなの?』

『なにが』

『ほら、その、男女のあれよ』

『は?そんな事お前の方が知ってるだろ。兄上とお前も、…してるだろ』

『まあ、ね…』

『フッ、気持ちいいもんだろ?』

『そう?』

『気持ちいいだろ』

『そうなんだ』


フランキーは私と話す時は砕けた口調になる。それはずっと一緒に過ごしてきた私達の間柄だから為せる事。

ロザンヌ様と婚姻してからもフランキーの女癖は治らなかった。

よく泣いてるロザンヌ様を見かけ、その傍らにはいつもフレディがいた。慰め、抱きしめ、そしていつしか二人で部屋に入っていくのを見かけた。

その頃から?違うわ、フランキーとロザンヌ様が婚姻式を挙げてから夫婦の営みはしなくなった。

私は良かったと胸を撫で下ろしたわ。痛みに耐える行為はもう苦痛だったもの。

ロザンヌ様にフレディの子供かフランキーの子供かどちらの子供か分からなくても子供が出来ればそれはそれでいいと思っていたし、どちらの子供でも王族の血を継ぐ子供なのは変わらないじゃない?

なら誰が産もうがいいか、って思っていたの。



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