18 / 20
番外編 レオの父親視点
しおりを挟む妻と離縁が成立し子爵家からの援助が無くなり伯爵家は火の車だ。ほとんどを援助金で賄ってきたんだ、当たり前と言えば当たり前なんだが…。
幼い頃からノアとイザベラを見て、俺とマリベルの幼い頃のようだと思った。俺の初恋はマリベルだ。俺とマリベル、マリベルの夫ザイルは幼馴染みで幼い頃から遊ぶのはいつも一緒だった。マリベルがザイルを好きなのも、俺に何の感情も持っていないのも知っていた。
俺の片思い
成長しマリベルとザイルは婚約し俺は恋心を隠すのが上手くなった。
そんな時俺も子爵家の令嬢だった妻と婚約した。傾きかけた伯爵家の為に子爵家の財力と婚約し婚姻した。
そこに愛はない
それでも俺は妻を愛してるふりをした。夫婦仲が良く見えるように、伯爵家の跡継ぎを産む為に、
心で誰を思おうが妻に隠し通せば分からない。
俺の夢はマリベルと婚姻し、マリベルに似た子を産み幸せに暮らす。
妻を抱きながらマリベルを思い浮かべる。そして出来た子がノアだ。俺と同じ場所に黒子を持つ可愛い我が子だ。俺は子はノアだけで良いと思っていたが、俺も若い、欲は溜まる。そして出来た子がレオだ。レオも我が子だがレオは俺と同じ場所に黒子が無かった。ノアとは双子かと思う程似ているが…。
俺は幼いノアとイザベラを俺とマリベルの子だと思い成長を見てきた。
幼いノアとイザベラはお互いに恋をした。本来なら俺とマリベルが恋をするはずだった。
ザイルは俺の恋心を知っていた。だが妻と婚姻してから仲の良い夫婦を見せていたからかまた交流が始まった。夫婦同士で食事をしたり子が産まれればお互いの子を遊ばせた。
そんな時、酒の席で二人を結婚させようと話になった。その時、俺はまた違う夢を見つけた。この二人を結婚させ俺とマリベルとの結婚生活をこの二人に実演してもらい俺はそれを側で見つめる。
それに親戚とはいえマリベルは身内になった。
マリベルと身内になれたそれだけで俺は天にも昇る心地だ。
俺は幼いノアとイザベラに何度も言い聞かせた。「お前達は婚約者だ。婚約者を大事にし愛し合いお前達は婚姻するんだ」幼いノアとイザベラは俺の言葉を素直に受け取りそれからお互いを婚約者と疑わず愛し合った。ノアに「イザベラと結婚したい」と言われた時は嬉しかった。
俺の夢が現実になる
婚約者だと思ってる二人は愛し合い結婚した。仲睦まじい二人を見て、愛し合う二人を見て、俺はマリベルを思い、マリベルも俺を思い、俺達は愛し合う。
最高だ
これから子もという時、ノアが死んだ。
ノアはイザベラを愛しているが、レオが愛しているのはエリザだ。
これでは俺の夢は潰えてしまう
俺は考えた。妻は倒れ離れで療養していて本邸には来ない。口煩いメイド長は妻に付きっきりだ。今本邸にいる使用人は執事はじめ全員俺の指示を聞く。俺は執事に「レオをノアと呼ぶように」と指示を出した。有り難い事にイザベラが記憶の混濁でレオをノアだと思っているし、イザベラの腹にノアの子がいる。医師も不安を与えないようにと言っているしこの際レオで我慢するしかない。
レオは幼い頃から俺の顔色を伺う。俺に嫌われないようにしているのは知っている。自我が芽生え始めた頃はよく一人で家を抜け出していたがそれも直に落ちついた。あのレオが婚約者の名前を聞いた時だけは俺を急かし返事を早くしてほしいとせがんだ。
レオがエリザを愛しているのは知っている。それでもノアが死んだ今、もうお前しかいないんだ。
子が親の犠牲になるのは当たり前だ
俺も妻を愛してるふりをずっとしたきたんだ
今度はお前の番だ、レオ
エリザと婚約を解消したくなるように、もしくはエリザから婚約を解消されるように俺は指示を出した。
執事は手紙を全て捨て、レオからの言付けもエリザには伝えなかった。イザベラに付いてるメイドもレオに頼まれてもエリザには伝えなかった。そしてエリザが待ってる喫茶店にイザベラを導きレオとイザベラの姿をエリザに見せつけた。
俺はレオを精神的に追いやる。エリザと結婚したいならと、レオを言い聞かせるにはエリザの名前を出すのが一番だ。
レオが勘当してくれと言いだした。いずれ言うだろうとは思っていた。イザベラからお茶会の様子も聞いた。ノアが他の女性を抱きしめていたと。レオがエリザを抱きしめていたのだと知ってこれはまずいと、俺は執事に指示を出した。
勘当してくれと言ったレオが部屋に入ったと同時に俺はレオを監禁した。何度も何度も鞭で打ち「イザベラと結婚し子を育てろ」と、レオの心が壊れるまでやり続けるつもりだった。
あと少しで
あと少しでレオは心を病むはずだった
それをエリザの父親が!
心を病んだレオなら俺の言う事を聞く。俺の操り人形にもう少しでなっていたんだ。
レオの価値などそのくらいだ
ノアの替え
それだけだ!
妻から離縁通知が来た。離縁の理由が子への虐待、貴族には直ぐに伝わった。
子爵家の援助を打ち切られ、妻からはレオへの虐待の慰謝料、エリザの父親からはエリザへの精神的苦痛の慰謝料を請求された。
俺は親戚筋から仲の良かった友人にお金の工面をお願いしたが誰一人として会ってはくれなかった。友人達からは抗議文が届いた。
「本来なら目に入れても痛くない愛しい我が子を虐待するような人と友人と思われるのも嫌悪する。今後一切友人とは呼んでほしくない。もしまた連絡を取ろうとするのならこちらにも考えがある」
お金の工面をするために夜会に出かけても遠巻きに白い目で見られ誰も寄って来なければ誰も話すらしてくれない。俺が歩けば道が出来るように皆が避けていく。当然お金の工面など出来る訳がない。
イザベラはノアを探して邸の中を徘徊する。子が産まれても子には興味も示さずノアをただ探し求める。
明日、滞った支払いが払えなければこの邸は売却される。何代も続いた伯爵家を俺の代で潰すとは……。
没落はもう免れない……
最後まで残ってくれた執事ももう辞めて数ヶ月、没落しこの邸を出たら…。
俺は浮浪者になり最期を迎える。その時ザイルの言葉が俺の耳から離れない…。それにザイルの最後の言葉が胸に突き刺さる…。
ノアの子をザイルが引き取りに来た。
「イザベラは勘当した子だ、引き取るつもりはない。だが赤子には罪はない。それと金輪際私達は無関係の人間だ。
最後に良いか?
お前はレオを虐待してまで得たかったものは得られたのか?」
レオを虐待してまで得たものは…
何もない………………
207
お気に入りに追加
1,698
あなたにおすすめの小説
【本編完結】独りよがりの初恋でした
須木 水夏
恋愛
好きだった人。ずっと好きだった人。その人のそばに居たくて、そばに居るために頑張ってた。
それが全く意味の無いことだなんて、知らなかったから。
アンティーヌは図書館の本棚の影で聞いてしまう。大好きな人が他の人に囁く愛の言葉を。
#ほろ苦い初恋
#それぞれにハッピーエンド
特にざまぁなどはありません。
小さく淡い恋の、始まりと終わりを描きました。完結いたします。
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
【完結】私が貴方の元を去ったわけ
なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」
国の英雄であるレイクス。
彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。
離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。
妻であった彼女が突然去っていった理由を……
レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。
◇◇◇
プロローグ、エピローグを入れて全13話
完結まで執筆済みです。
久しぶりのショートショート。
懺悔をテーマに書いた作品です。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる