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しおりを挟む来月に喪があける。
レオは子爵の伯父様の養子になり、今はお父様の跡を継ぐために伯爵家の事を教えてもらっている。
家を出てきたレオとお義母様は子爵家には行かず、今、私の家の離れで暮らしている。
「どうせ後数ヶ月でこっちに越して来るんだから今でも同じじゃない。離れに住みなさいよ」
お母様の一声で決まった。結婚式を挙げたら私も離れで一緒に暮らすことになる。
お義父様と離縁が成立したらお義母様は子爵家の領地へ行き一人で暮らすつもりでいたらしいけど、私が一緒に暮らしたいとお願いした。
お義母様は
「新婚の邪魔はしたくない」
と言っていたけど、お母様が
「ならこっちで暮せば?こっちには部屋が余ってるんだから」
って。新婚の間だけお義母様は本邸で暮らすことになった。
今はお母様とお義お母様と一緒に庭でお茶を飲んでいる。
「ドレスも出来上がったし後は婚姻式だけね。エリザも楽しみでしょ?」
「はい、お母様」
「エリザちゃん、レオをよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「エリザももっと早くレオ君を問い正せば良かったのよ?」
「そうですが、嫌われると思っていたので」
「本音を言えない夫婦になっては駄目よ」
「はい」
「私ももっとあの人に本音を言えば良かったわ」
「本当よ。もっと文句言ってやれば良かったのよ。何だったら一発ひっぱ叩いてくれば良かったのよ」
「本当よね。一発叩いてくれば良かった。もう今更顔も見たくないけど」
お母様とお義母様はお義母様が離れで暮らし始めてから仲が良くなり、今では友達のように過ごしている。
お義母様に離縁されたお義父様は子爵家からの援助が無くなり、今、伯爵家は火の車らしい。今迄付き合いのあった貴族も離れていき、実質爪弾き状態。没落寸前だと噂で聞いた。1年保てば良いほうだと。
伯爵家で働いていた使用人達の給料も払えず次から次へと辞めていき、今は執事とメイドが一人だけ残っている。
イザベラお姉様はノアお兄様の子、女児を産んだ。
今も伯爵家に住んでいる。
あの日、お父様はお義母様に話し合いの話しを聞かせる為にお義母様のお友達経由で手紙を出した。そして子爵家にも手紙を出し、レオを養子にしてほしいと頼んだそう。
ノアお兄様が亡くなってからお義母様が寝込んでいるのは知っていた。離れで療養していたお義母様はレオの現状を知らなかった。お父様の手紙で始めて知り、あの話し合いを扉の向こうで聞いていた。
レオはお父様から、
「回りは君を不貞した男だと思っている。事情がどうであれ目で見たものが全てだ。分かるな?」
「はい」
「君はこれから自分が被った己の印象を挽回しないといけない。たやすく挽回できるとは思っていないだろ?」
「はい。何を言われても受け止めるつもりです」
「君のこれからの態度、対応で直ぐに認めてもらえるさ。それに妻もお茶会や夜会で義理のお姉さんが記憶を混濁していて君をお兄さんだと思っていたと広めてくれる。君はお父上に無理矢理強いられていたとね。それで少しは軽減されるだろう」
「義母上にもご迷惑をおかけします」
「なに、妻は少し勝気でね、義理姉もだが、君のお父上の事は一生許せないそうだ。義理の息子を傷つけた罪はしっかりと償わせるって息巻いていたよ。
これから俺と一緒に伯爵家を護っていこう」
「はい、よろしくお願いします」
お義父様とお義母様の離縁の理由が子の虐待だと貴族皆が知っている。お母様がレオの置かれていた現状も傷もお茶会や夜会で広めている。
それに私達の仲もあの日から変わった。
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