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しおりを挟むレオをずっと待っていたけどレオは公園に現れなかった。
「お父様…」
「レオ君の話しは何だった」
「それが…、レオは来ませんでした…。きっと何かあったんです!」
「来ないのが返事だ。婚約は解消する」
「お父様!」
「お前には別の人を探す。明日あちらと話しをしてくる」
お父様は書斎から出て行った。
レオ…どうして来てくれなかったの?ずっと待っていたのに。
次の日、レオの家から帰って来たお父様に呼ばれ、
「婚約は破棄した」
「そんな!」
「あちらは、」
お父様の話しを聞いた。
「今日は申し訳ない。後数ヶ月で喪があける。レオ君には今から少しづつ教えたいと思ってね、レオ君に会わせてくれないか。それにレオ君の気持ちも確かめたい」
「レオは出掛けていて家にいないんだ。申し訳ない」
「いつ帰って来るだろうか」
「いつ帰って来るか分からない。もしかしたら今日は帰って来ないかもしれない」
「そうか。喪があけたら婚姻に移るが、問題はないだろうか」
「その事だが、婚約を白紙に戻してもらえないだろうか」
「ほう、理由を聞いても?」
「レオが婚約を白紙に戻したいと言っている。亡くなった嫡男の妻が懐妊しているんだ。レオは義理の姉と一緒に兄の忘れ形見の子を育てたいと言っているんだ。
私としては嫡男が亡くなりレオに跡を継いでもらい、そちらが良ければエリザ嬢を嫁にと思っていたんだが」
「確かにこちらはもう一人娘がいるからエリザを嫁に出しても問題はないが」
「エリザ嬢には申し訳ないが、レオがどうしても兄の忘れ形見を兄嫁と育てたいと言っているんだ。私は反対したんだがレオは聞く耳を持たないんだ。そこまで言うのなら私もレオの気持ちを尊重したいと思っている」
「ほう。婚約を止めるのは良いが白紙ではなく破棄だ。その場合そちらの有責になり慰謝料を請求させて頂く。本来なら婚姻も済んでいるはずだった。不慮の事故で婚姻は延期になったが、婚姻準備も始めていた。それに、最近レオ君はあまり良い噂を聞かなくてね。義理の姉と不貞をしているとか」
「それはありえない」
「私も噂話だと思っていたが、そちらは兄の子を育てる為と言っても、婚約を破棄すればエリザは傷物だ。今後誰かと婚約できるかも分からない。その分も慰謝料として加算させて貰うつもりだ」
「忘れ形見の子だ」
「それでも子を育てる為に婚姻させるつもりなのだろ?それにこう言っては悪いがエリザには関係ない事だ。そちらには忘れ形見でもこちらには関係ない。義理の姉と婚姻するから婚約を破棄する、それが事実だ。
慰謝料などまたおって連絡する。今日は時間を取らせ申し訳なかった」
馬車に乗り込む時、邸の2階を見上げればレオ君が窓からこちらを見ていた。その顔が俺に縋るような、それから頭を下げ続けていた。
頬には殴られた跡があった。それに当主は今は家にいないと言っていた。
それに何だ?この騎士の人数は。邸の周りにはやたらと騎士がいた。
「多分だが、レオ君は今父親に監視されていると思う」
「監視、ですか…?」
「ああ、部屋に監禁されているのだろうな」
「お父様、どうにか助けられませんか」
「他家の問題に首を突っ込む事はできない。家の問題は家の者しか無理だ。後は婚約を破棄する時くらいだが。その時はお前達も同席させサインをしないといけないからな」
「ならその時にどうにかレオを助けたいのですが」
「その時なら話ができるだろ、その時に何とかするしかないな」
「はい」
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