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しおりを挟む「父上話があります」
「言ってみろ」
「俺を勘当して下さい」
「お前、自分が何を言っているか分かっているのか!」
「はい、もう俺には限界です。兄上になれないなら勘当すると父上は言いました。
俺はもう兄上になりたくない!」
「お前ーー!!」
ボコッ!
「ッ!」
「勘当したらお前はエルザと婚姻できないんだぞ、良いのか!」
「平民になった俺が婿養子にはなれません」
「お前はエルザと婚姻したいのだろ!」
「エルザを愛しているからこそ結婚したかった。エルザと結婚出来る為ならと今迄我慢してきました。ですが、もう限界です。父上も俺が死んだ方が良かったと言ったではありませんか。死んだと思って勘当して下さい。平民になっても父上にも伯爵家にもご迷惑はかけませんから」
「どうしてだ!」
「俺はノアではありません、レオだからです。レオとして生きたい、それだけです」
「イザベラはどうする!子は!」
「イザベラは兄上の嫁です、俺の嫁ではない!それに子も俺の子ではありません、兄上の子だ!」
「許さん!許さん!許さんぞ!」
「今日エリザに会って全て話してきます。勘当され平民になる俺では婿養子にはなれないと、婚約を解消して貰うように頼んできます」
「あと数ヶ月がなぜ待てん!」
「数ヶ月待って、今度は父親として子を護れと、兄上の代わりに父親になれと言うのでしょう。喪があけてから、今度は子が成長してから、最後はイザベラと結婚しろですか?
もううんざりだ!!
明日にはここを出て行きます。今迄お世話になりました」
俺は父上の書斎から出て行った。
「待て!まだ話は終わっていない!待たんか!」
父上が叫んでいるけど知ったことか!
自室へ戻る途中、
「ノアどうしたの?またお義父様と喧嘩?」
「俺はレオだ、ノアじゃない」
「何を言っているの?レオは死んだじゃない。一緒に埋葬したでしょ?忘れたの?」
「イザベラはレオが好きだったんだな」
「何を言っているの?私はノアを愛しているわ。レオは弟じゃない」
「弟の亡骸に縋りついて離れなかっただろ?好きでもないのにどうして縋りついた?どうして離れなかった?
レオが死んでからもお前はナイフを振りかざして後を追おうとしただろ?違うか?」
「それは…」
「イザベラはレオを愛していたからだろ?」
「違うわ!私はノアを愛しているわ!」
「俺はレオだ、兄上じゃない。イザベラは兄上の子を伯爵家の跡取りを大事に育てくれ」
「ノア?何を言ってるの?私と一緒に育てるんでしょ?貴方の子よ?私達の赤ちゃんじゃない」
「ああ、兄上の子だ。兄上の忘れ形見だ」
「何を言ってるの?貴方はノアよ?レオじゃないわ。それにこの子は私達の赤ちゃんよ?私と貴方の子よ?この子は私と貴方の赤ちゃんよ?」
まだ話していたイザベラの前から自室に戻り出掛ける準備をした。
部屋を出ようと、
扉が開かない!
ドンドンドン!!
「ノア様、旦那様からの伝言です。反省するまでこの部屋から絶対に出さないとの事です」
ドンドンドン!!
「何をしても無駄です。騎士達が貴方をこの部屋から出しません」
「退いてくれ!俺は行かないといけないんだ!エリザと約束したんだ!」
「知っています。だからこそ行かせない為に塞いだんです」
「退け!」
「この家の主は旦那様です。旦那様の言う事が全てです」
「頼む、退いてくれ!行かせてくれ!」
「大人しくして下さい。部屋から一歩も出れません」
「頼む!行かせてくれ!エリザが待っているんだ!行かせてくれーーー」
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