すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
3 / 20

しおりを挟む

俺の初恋の女の子は公園で出会った女の子。目を瞑り横になっていた時、誰かの気配がして目を開けた。そしたら可愛い女の子が俺の目の前にいた。

近付いてくる顔に俺は胸が高鳴った。

俺の唇が女の子の頬に当たり、女の子はそのままどこかへ走っていった。


それから学園で同じクラスにいた時は嬉しかった。どうやって話かけようか、俺の事覚えているか、だけどどうやって話しかけて良いのか、彼女を目の前にすると緊張して言葉が出ない。

そんな時、父上に婚約の話を聞かされた。俺も次男だ、どこかの家の婿養子になれれば良いな、くらいに思っていたが、正直婚約するなら彼女とが良かった。

俺の初恋で好きな女性

そしたら婚約するのが彼女だと、エリザだと聞かされ俺は直ぐに返事した。父上を催促して直ぐに返事を出してくれと頼んだ。


婚約しても緊張してまともに話せない。それでもエリザは俺に話しかけてくれる。だから俺は行動で示す事にした。

風よけになったり、エリザが嫌いなトマトをこっそり食べたり、クッキーを作ってくれた時なんか勿体なくて食べず飾りたかった。だけどエリザが申し訳なさそうな顔をしたから俺は目の前で食べたんだ。固くて美味しくないって言ってたが、俺には美味しかった。エリザの手作りってだけで、それだけで何でも美味しい。エリザが失敗したけどって刺繍をしたハンカチをくれた。俺は毎日持っていた。エリザの手作りでそれも刺繍入りのハンカチだぞ!持つに決まってる!

俺は気の利いた言葉を話をする事ができない。エリザに会えば、エリザの手を繋ぎたくなるし、抱きしめたい。常に膝の上に座らせ、キスだってしたい。毎日会いたいし、できれば帰したくない、そう思う。

でもエリザに嫌われたらと思うと何も出来ない。言葉で傷つけたらと思うと上手く言葉が出てこない。

俺は初恋だけどエリザは違うだろ?

婚約者として俺に接してくれるだけだろ?

好きだって言った時、「私も」とは言ってくれたけど「好き」とは言ってくれなかった。

今は好きじゃなくてもいつか、

婚約者なら、結婚すれば、子が出来たら、

そしたら俺を愛してくれるか?



兄上とイザベラの二人を見ていると羨ましいと思う。お互いに愛し合い、仲良く手を繋ぎ、座る時は膝の上にイザベラを座らせ、仲良く話をしている。兄上達のような関係になりたいと、エリザとそうなりたいと兄上達を見ながらいつもそう思う。

俺も兄上のような社交性があれば、

俺も兄上のように面白い会話ができたら、

そしたらエリザも俺を好きになってくれるかもしれない。

エリザの前では格好つけて紳士ぶってるが、本当の気持ちを言ったら、

エリザに嫌われるだろうな…。

俺はエリザを思うと、思い浮かべると、

可愛い、愛しい、

俺の初恋で愛する人、その思いだけだ。


兄上達を俺とエリザに置き換えて、俺は兄上達を見つめる。


卒業したら直ぐに結婚の準備に移る、俺としては卒業したら直ぐに結婚したい。


そんな時…、

兄上が馬から落ち、打ちどころが悪くこの世を去った…。

兄上の埋葬が終わり母上は倒れそのまま寝込んでしまい離れで療養中だ。義姉上、イザベラは精神的に病んだ。

メイドの叫び声で向かえばナイフを片手に持っているイザベラの姿が、俺はナイフを取り上げた。


「私もノアの元へ行かせてよ!何で止めるのよ!」


これで何度目か分からない。多い時は1日に何度もだ。

父上から、


「ノアの死が受け入れられないのだろう。レオ、お前がイザベラを護れ!常に一緒にいてイザベラを止めろ!良いな!

それと喪があけるまで婚姻は延期にする」


喪があけるまで、それは俺も納得はしている。兄上が急に亡くなり俺だって未だ信じられない。ふっと兄上が帰ってくるような、レオと呼ぶ声が今も聞こえる。

俺だって兄上の死が未だ信じられない。兄上の死から立ち直った訳じゃない。俺だってまだ悲しみの最中なんだ…。


こんな時だからこそ、エリザに側に居てほしい。

こんな時だからこそ、エリザに癒やしてほしい。


エリザ………

会いたい………


1ヶ月、イザベラを見張りイザベラは何とか落ち着きを取り戻した。


ようやく愛しのエリザに会えると家を出ようとした時、イザベラが意識を失い倒れた。父上も居ない、母上は療養中で頼めない、執事に頼めば「勝手な事など使用人の私共では出来ない」と言われた。俺は医者を呼び、父上が帰ってくるのを待った。時間だけが過ぎていき、メイドに待っているエリザに言付けを頼んだ。


「イザベラが倒れた。今日は行けないが明日会いたい。今日と同じ時間、同じ場所で待ってる」


次の日俺はエリザを待った。

エリザが待ち合わせに来る事はなかった。



しおりを挟む
感想 139

あなたにおすすめの小説

【本編完結】独りよがりの初恋でした

須木 水夏
恋愛
好きだった人。ずっと好きだった人。その人のそばに居たくて、そばに居るために頑張ってた。  それが全く意味の無いことだなんて、知らなかったから。 アンティーヌは図書館の本棚の影で聞いてしまう。大好きな人が他の人に囁く愛の言葉を。 #ほろ苦い初恋 #それぞれにハッピーエンド 特にざまぁなどはありません。 小さく淡い恋の、始まりと終わりを描きました。完結いたします。

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。
恋愛
「すまないが僕は真実の愛に目覚めたんだ。ああげに愛しきは君の妹ただ一人だけなのさ」  公爵令嬢の主人公とその婚約者であるこの国の第一王子は、なんでも欲しがる妹によって関係を引き裂かれてしまう。  それだけでは飽き足らず、妹は王家主催の晩餐会で婚約破棄された姉を大勢の前で笑いものにさせようと計画するが、彼女は自分がそれまで周囲の人間から甘やかされていた本当の意味を知らなかった。  そして実はそれまで虐げられていた主人公こそがみんなから溺愛されており、晩餐会の現場で真実を知らされて立場が逆転した主人公は性格も見た目も醜い妹に決別を告げる――。  ※本作は過去に公開したことのある短編に修正を加えたものです。

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た

ましろ
恋愛
──あ。 本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。 その日、私は見てしまいました。 婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

処理中です...