すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
2 / 20

しおりを挟む

レオには2歳年上のお兄様がいた。双子と間違われる程似ていて、レオの方が少し背が高く、少し声が低い。

学園を卒業する少し前にお兄様は馬から落ち、打ちどころが悪くて亡くなられた。


葬儀の時、イザベラお姉様はノアお兄様の棺から泣いて離れず、その姿を見ている人達の悲しみを誘った。お母様は泣き崩れお父様が支えていた。そんな中レオは悲しみをこらえ気丈に振る舞っていた。

私は婚約者としてレオを支えようと思っていた。

レオがお兄様を慕っていたのも、お兄様を尊敬していたのも良く知っていたから…。レオだって悲しむ所が必要だし、弱い所も見せてほしい。何より私がレオの気持ちに寄り添いたかった。



それから私とレオの関係が変わった。

待ち合わせもそう、

今日の夜会もきっと…、


お父様とお母様、私と妹で侯爵家の夜会へ来た。

妹は友達を見つけて友達の元へ行き、私は壁の花になった。

ちょうどその時、侯爵家の夜会に来たレオが目に入った。レオがエスコートするのはレオのお兄様、ノアお兄様の奥様のイザベラお姉様。仲良く話しながら入ってきた。


レオ、嬉しそうね…。
そりゃあそうよ、初恋のイザベラお姉様をエスコートしているんだもの。


イザベラお姉様はノアお兄様とレオと幼馴染みでレオより1つ年上。ノアお兄様とは幼い時に婚約したらしい。イザベラお姉様が学園を卒業と同時に結婚し、約1年の結婚生活だった。新婚でこれから子もって時に帰らぬ人となった。

イザベラお姉様は今もレオと同じ家で暮らしている。ノアお兄様が居た頃ならまだしも、居ない今、レオにしたら好きな人と一緒に暮らせ、もしかしたら…イザベラお姉様と結婚を考えていてもおかしくない。


婚約してレオの家に遊びに行った時、レオの視線の先にいたのはイザベラお姉様だった。

とても愛おしそうな瞳で、

とても熱のこもった視線で、

ノアお兄様と一緒にいるイザベラお姉様を見ていた。

それでもお兄様の婚約者、そして奥様になった人、

私との婚約もイザベラお姉様を諦める為に都合が良かっただけ。お兄様とお姉様とそれから子が産まれたら、レオはその光景を見たくなくて……。

私から婚約を白紙にしようと言えば…、

だけど私はレオが好きなの。レオを愛しているの。

レオの愛が例え私に向いていなくても、婚約者なら、結婚すれば、

そんな考えだから…、


私はボーっと二人を見ていた。


お互い視線を絡め、愛しいとそう瞳は語っている。それに、体を寄せ密着している。

ふっ、レオ嬉しそう。

私にはあんな顔を見せてくれないのに。私にはいつも…、

口数が少ないレオだけど、優しい視線は向けても愛しい視線は向けられた事がない。

あんな笑顔も見たことないわね。



ノアお兄様が亡くなって少し落ち着いた頃レオと会った日に言われた、


「兄上が急に亡くなったから、今はイザベラの側から離れられない。兄上の代わりにイザベラを護らないといけないんだ。すまない。1ヶ月もすれば落ち着くと思う。それまでエリザとは会えないけど、俺が好きなのはエリザだけだから、それだけは信じてほしい。また連絡する」


口数の少ないレオにしては良く喋ったわね。それにイザベラお姉様をイザベラと昔呼んでいた呼び方で呼んでいたわ。お兄様と結婚してからは義姉上って呼んでいたのに。

1ヶ月後連絡が来た。私は待ち合わせの喫茶店でずっと待っていた。来るはずの人が来るまで。でもその日、レオは来なかった。


そうね、

貴方の役目だものね、

お兄様の代わりに初恋の人を護るのは、

貴方の役目だものね。


婚約者なのに、私って、なんて惨めなの……。



しおりを挟む
感想 139

あなたにおすすめの小説

【本編完結】独りよがりの初恋でした

須木 水夏
恋愛
好きだった人。ずっと好きだった人。その人のそばに居たくて、そばに居るために頑張ってた。  それが全く意味の無いことだなんて、知らなかったから。 アンティーヌは図書館の本棚の影で聞いてしまう。大好きな人が他の人に囁く愛の言葉を。 #ほろ苦い初恋 #それぞれにハッピーエンド 特にざまぁなどはありません。 小さく淡い恋の、始まりと終わりを描きました。完結いたします。

クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た

ましろ
恋愛
──あ。 本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。 その日、私は見てしまいました。 婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。
恋愛
「すまないが僕は真実の愛に目覚めたんだ。ああげに愛しきは君の妹ただ一人だけなのさ」  公爵令嬢の主人公とその婚約者であるこの国の第一王子は、なんでも欲しがる妹によって関係を引き裂かれてしまう。  それだけでは飽き足らず、妹は王家主催の晩餐会で婚約破棄された姉を大勢の前で笑いものにさせようと計画するが、彼女は自分がそれまで周囲の人間から甘やかされていた本当の意味を知らなかった。  そして実はそれまで虐げられていた主人公こそがみんなから溺愛されており、晩餐会の現場で真実を知らされて立場が逆転した主人公は性格も見た目も醜い妹に決別を告げる――。  ※本作は過去に公開したことのある短編に修正を加えたものです。

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

処理中です...