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しおりを挟むレオには2歳年上のお兄様がいた。双子と間違われる程似ていて、レオの方が少し背が高く、少し声が低い。
学園を卒業する少し前にお兄様は馬から落ち、打ちどころが悪くて亡くなられた。
葬儀の時、イザベラお姉様はノアお兄様の棺から泣いて離れず、その姿を見ている人達の悲しみを誘った。お母様は泣き崩れお父様が支えていた。そんな中レオは悲しみをこらえ気丈に振る舞っていた。
私は婚約者としてレオを支えようと思っていた。
レオがお兄様を慕っていたのも、お兄様を尊敬していたのも良く知っていたから…。レオだって悲しむ所が必要だし、弱い所も見せてほしい。何より私がレオの気持ちに寄り添いたかった。
それから私とレオの関係が変わった。
待ち合わせもそう、
今日の夜会もきっと…、
お父様とお母様、私と妹で侯爵家の夜会へ来た。
妹は友達を見つけて友達の元へ行き、私は壁の花になった。
ちょうどその時、侯爵家の夜会に来たレオが目に入った。レオがエスコートするのはレオのお兄様、ノアお兄様の奥様のイザベラお姉様。仲良く話しながら入ってきた。
レオ、嬉しそうね…。
そりゃあそうよ、初恋のイザベラお姉様をエスコートしているんだもの。
イザベラお姉様はノアお兄様とレオと幼馴染みでレオより1つ年上。ノアお兄様とは幼い時に婚約したらしい。イザベラお姉様が学園を卒業と同時に結婚し、約1年の結婚生活だった。新婚でこれから子もって時に帰らぬ人となった。
イザベラお姉様は今もレオと同じ家で暮らしている。ノアお兄様が居た頃ならまだしも、居ない今、レオにしたら好きな人と一緒に暮らせ、もしかしたら…イザベラお姉様と結婚を考えていてもおかしくない。
婚約してレオの家に遊びに行った時、レオの視線の先にいたのはイザベラお姉様だった。
とても愛おしそうな瞳で、
とても熱のこもった視線で、
ノアお兄様と一緒にいるイザベラお姉様を見ていた。
それでもお兄様の婚約者、そして奥様になった人、
私との婚約もイザベラお姉様を諦める為に都合が良かっただけ。お兄様とお姉様とそれから子が産まれたら、レオはその光景を見たくなくて……。
私から婚約を白紙にしようと言えば…、
だけど私はレオが好きなの。レオを愛しているの。
レオの愛が例え私に向いていなくても、婚約者なら、結婚すれば、
そんな考えだから…、
私はボーっと二人を見ていた。
お互い視線を絡め、愛しいとそう瞳は語っている。それに、体を寄せ密着している。
ふっ、レオ嬉しそう。
私にはあんな顔を見せてくれないのに。私にはいつも…、
口数が少ないレオだけど、優しい視線は向けても愛しい視線は向けられた事がない。
あんな笑顔も見たことないわね。
ノアお兄様が亡くなって少し落ち着いた頃レオと会った日に言われた、
「兄上が急に亡くなったから、今はイザベラの側から離れられない。兄上の代わりにイザベラを護らないといけないんだ。すまない。1ヶ月もすれば落ち着くと思う。それまでエリザとは会えないけど、俺が好きなのはエリザだけだから、それだけは信じてほしい。また連絡する」
口数の少ないレオにしては良く喋ったわね。それにイザベラお姉様をイザベラと昔呼んでいた呼び方で呼んでいたわ。お兄様と結婚してからは義姉上って呼んでいたのに。
1ヶ月後連絡が来た。私は待ち合わせの喫茶店でずっと待っていた。来るはずの人が来るまで。でもその日、レオは来なかった。
そうね、
貴方の役目だものね、
お兄様の代わりに初恋の人を護るのは、
貴方の役目だものね。
婚約者なのに、私って、なんて惨めなの……。
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