4 / 13
4
しおりを挟む「奥様、この報告書ですが」
年配の執事は毎日私の私室へ来て侯爵家の仕事をさせる。私は女主人。これも初夜をしたから。
白い結婚の友達は初夜をしていない事で邸の使用人の裁量はするけど家の仕事はしなくていいと言っていた。
初夜をしたかしていないかで家への関わり方は変わる。後は旦那様次第。
私は本来当主がする仕事も使用人の裁量も全て任されている。
執事から預かった書類に目を通す。
学園を卒業していて良かったと実感する。学園の最終学年は経営を学ぶ。学園に通う間に婚約していなくても卒業する事で当主の補佐ができるだけの学力を学んだとの証明になるから。嫁に貰いたいと思う人は少ないけどいる。
アーロン様は毎日愛人達と邸で過ごす。時には出かけて行く時もあるけど相変わらず私と話すのは必要最低限の事だけ。
そんな毎日を過ごして1年が過ぎた。
アーロン様に抱いていた好意は等に無くなった。同居人、ただそれだけ。
私に好きに過ごせばいいと言ったはずなのに当主としての役目を果たさないアーロン様の代わりは誰がするの?私しかいないじゃない。私も好きに過ごして何もしなければ侯爵家は衰退する。船も他国との経路も人に譲る?そんな事をしたら借金だけ残るわ。
私は自分と使用人の生活さえ護れればいい。そのためだけにアーロン様の代わりに侯爵家を回している。
私は馬鹿な女よ。見た目、優しさ、誠実さ、そんなのに騙されて枷に掛けられた。一生鎖に繋がれ生きる屍のように生きてここから逃げ出す事も許されない。
頼みの綱の両親達ももう見てみぬふりをしている。私も両親達に頼むのは諦めたわ。
子供が出来たら少しは変わる?
ふっ、初夜のあの時以来何もしていないのに子供が出来る訳がないじゃない。
アーロン様の愛人達に嫌がらせをする?
そんな事をして何になるの?旦那様に愛されない妬みって嘲笑われるわ。
好きに過ごしていいと言ったのに友達と会うのは駄目だと言われる。それでも無視して友達に会いに行こうとしたら一緒に付いて行くと本当に付いてきた。私が余計な事を言わないか監視しているの?お互い愚痴とか言いたいのにアーロン様が側に居るおかげでたわいもない話しか出来なかった。
皆結婚しているの。久しぶりにようやく会えたのにどうして邪魔をするの?
貴方は私には何も言うな聞くな見てみぬふりしろって言うのに、自分は私に口出しするのね。行動を制限させるのね。
友達に相談しようと手紙を書けば「何だ!この内容は!」と久しぶりに会った私に投げ捨てた。友達に出す手紙も勝手に読むのね。ああ、貴方は友達から私宛に来た手紙も確認する人だったわ。
メイドが泣いて謝ってきたわ。辞めさせると脅させたら渡すしかないもの。メイドにだって生活があるの。辞めさせられたらこの子は次どこで働くの?
私の好きに、は何なら好きにさせてくれるの?愛人なら良いの?私に男性の友達はいない。どこで出会うの?なら出会い方を教えてよ!
夜会で?貴方は夜会には一人で行く。お茶会の誘いは勝手に断る。友達に会うことさえ許さない。
街で?外出を許されないのにどう出会うの?
邸で?この邸の男性の使用人はお父様と変わらない年齢の人達ばかりじゃない。
ねぇ、なら私の自由は?
この邸の中だって自由に過ごせない。部屋を出れば貴方と愛人達と鉢合わせ。
私の自由は私室だけ。
好きに過ごせって私室で好きに過ごせって事だったの?
ふっ、貴方は良いわね自由に好きに過ごせて。さぞ毎日楽しいでしょうね。
18
お気に入りに追加
990
あなたにおすすめの小説
旦那様と浮気相手に居場所を奪われた伯爵夫人ですが、周りが離縁させようと動き出したようです(旧題:私を見下す旦那様)
めぐめぐ
恋愛
政略結婚をした伯爵夫人フェリーチェはある日、夫レイジィと女中頭アイリーンの情事を目撃してしまう。
フェリーチェがレイジィの言いなりであるのをいいことに、アイリーンが産んだ子に家を継がせるつもりだということも。
女中頭アイリーンに自分の居場所をとられ、持ち物を奪われ、レイジィもアイリーンの味方をしてフェリーチェを無能だと見下し罵るが、自分のせいで周囲に迷惑をかけたくないと耐え続けるフェリーチェ。
しかし彼女の幸せを願う者たちが、二人を離縁させようと動き出していた……。
※2021.6.2 完結しました♪読んで頂いた皆様、ありがとうございました!
※2021.6.3 ホトラン入りありがとうございます♪
※初ざまぁ作品です、色々と足りない部分もありますが温かい目で見守ってください(;^ω^)
※中世ヨーロッパ風世界観ですが、貴族制度などは現実の制度と違いますので、「んなわけないやろー!m9(^Д^)」があっても、そういうものだと思ってください(笑)
※頭空っぽ推奨
※イラストは「ノーコピーライトガール」様より
二人の妻に愛されていたはずだった
ぽんちゃん
恋愛
傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。
二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。
アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。
アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。
何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。
全二十八話。
十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)
白い結婚がいたたまれないので離縁を申し出たのですが……。
蓮実 アラタ
恋愛
その日、ティアラは夫に告げた。
「旦那様、私と離縁してくださいませんか?」
王命により政略結婚をしたティアラとオルドフ。
形だけの夫婦となった二人は互いに交わることはなかった。
お飾りの妻でいることに疲れてしまったティアラは、この関係を終わらせることを決意し、夫に離縁を申し出た。
しかしオルドフは、それを絶対に了承しないと言い出して……。
純情拗らせ夫と比較的クール妻のすれ違い純愛物語……のはず。
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
旦那様に離縁をつきつけたら
cyaru
恋愛
駆け落ち同然で結婚したシャロンとシリウス。
仲の良い夫婦でずっと一緒だと思っていた。
突然現れた子連れの女性、そして腕を組んで歩く2人。
我慢の限界を迎えたシャロンは神殿に離縁の申し込みをした。
※色々と異世界の他に現実に近いモノや妄想の世界をぶっこんでいます。
※設定はかなり他の方の作品とは異なる部分があります。
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる