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しおりを挟む私はジュリア。伯爵家に産まれた。16歳の時、3歳年上の侯爵家のアーロン様と婚約した。家と家の繋がりの政略。
貴族なら仕方がない事よ。恋愛結婚なんてほとんど無いに等しいもの。私の友達も政略結婚で嫁いでいった。
初顔合わせの時アーロン様は言った。
「政略結婚になるけどこれからお互い知っていこう。そしたらいつかこの結婚が幸せだと思えるようになるよ」
アーロン様は私と過ごす時間を大事にしてくれた。庭でお茶をしたり、観劇に行けば帰りは一緒に食事をする。薔薇園へ行けば手を繋いだ。
婚約して1年が過ぎた頃、もうそろそろ結婚かと思っていたら、
「姉上は学園を卒業出来なかった事を今でも後悔しているみたいなんだ。卒業パーティーに出たかったと未だに言っているんだ。だからジュリアには後悔してほしくない。ジュリアの卒業パーティーは俺にエスコートさせてくれないか?」
「お願いします。私も卒業パーティーが楽しみになりました」
「ジュリアが学園を卒業したら直ぐに俺と結婚しような」
アーロン様のお姉様は学園を途中で辞めて嫁いだ。結婚が決まると学園を辞める女生徒は多い。卒業するまで残っている女生徒は半分以下。嬉しいような悲しいような。それでもアーロン様の優しさが私は嬉しかった。
卒業まで学園にいると売れ残りと言われているのは知っている。それでも私のように婚約者がいる人は少し違うけど。
それに卒業パーティーはとても華やかと聞いた。婚約者にエスコートされ一緒にダンスを踊る。卒業パーティーを楽しみにしている女生徒は多い。私も卒業パーティーが楽しみになった。
私は優しくて誠実なアーロン様に好意を持った。
私の誕生日の日は朝早くに来て、
「誕生日おめでとう。一番初めに俺が祝ってあげたかったんだ。それにジュリアの顔を朝一番で見たかった」
可愛い髪飾りを貰い、花束を貰った。
その日は学園まで迎えに来てくれてそのままデートへ出かける。一緒にケーキを食べ話をする。
「ジュリア、俺達は政略結婚だ。それでも俺を一生愛してくれるか?」
「はい、私はアーロン様を一生愛します」
「どんな俺でもか?どんな俺でも一生側に居てくれるか?」
「はい、アーロン様は優しい方です。誠実な方です。私は一生アーロン様の側に居たいです」
「そうか、良かった。なぁジュリア、俺は愛する人との子が欲しい。ジュリアは子供何人欲しい?俺は出来れば愛する人に良く似た女の子が欲しい。絶対可愛い子になる。絶対に嫁には出さない」
「男の子かもしれませんよ?」
「男の子か…、そしたら格好いい子になるだろうな…、それはそれで心配だ。女性に誠実な子になってほしい」
「私はアーロン様に似た子が欲しいです。産めるなら何人でも…」
私は顔を赤らめて俯いた。
「ジュリアは本当に可愛いな。早く結婚したいよ」
アーロン様と将来の話をする。アーロン様の優しく私を見つめる瞳に、優しい態度に私はどんどんアーロン様を好きになっていった。
学園を卒業する1ヶ月前、
「ジュリア、ようやく卒業だな。約束通り卒業したら俺と結婚してほしい。俺と夫婦になってくれるか?」
「はい」
「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ。一生大事にする。幸せになろうな」
「はい、お願いします」
私は毎日ウエディングドレスを見ていた。これを着てアーロン様に嫁ぐ日を夢見て。
婚約して2年、私は幸せだった。アーロン様に恋をした。
アーロン様の優しさに、誠実さに私は幸せな結婚生活が送れると疑わなかった。政略結婚でも幸せになれると疑わなかった。
アーロン様にエスコートされ一緒に踊ったダンス。楽しみだった卒業パーティーも無事に終わり婚姻式の一週間前、
「ジュリアと結婚したら俺は父上から当主を受け継ぐ。当主夫人としてジュリアも俺を助けてくれないか」
「私で出来る事なら」
「賢いジュリアなら大丈夫だ」
私は当主夫人としてアーロン様を助けようと、私に出来る事なら何でもやろうと、そう心に誓った。
愛する人を一生側で支える、そう心に誓った。
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