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ガネット・フォルンは愛されたい
if 違う未来 1
しおりを挟む❈ 本編とは違う未来です。
❈ ガネットがハルクではなく、ケイザックを選んだら
❈ 元サヤ地雷、ケイザックだけは地雷の人は読むのを止めて下さい。
ザックの傭兵契約が終わり、他の地へ行けば良いのに、辺境の街で暮らすと言っていたように今は辺境の街で暮らしています。
私は毎日砦から一軒の家を見つめます。
夕暮れ時灯りが灯り、
私は砦を後にします。
まだ気持ちがあるのか、
きっと気持ちはない、そう、思っていました。
それでも、「愛してる」「今でも愛してるのはガネットだけだ」そう言われるとあの頃のお付き合いした頃、結婚した頃の気持ちが思い出されるのです。
きっと貴方は女性の体に溺れなければ誠実な良い方です。
貴族の男性が愛人を持つ、それも普通の事。勿論持たない方もいます。それでも父のように愛人を囲う男性が大半なのも仕方がない事だと…分かってはいます。
なら、私はザックが囲った愛人達を許せるか、愛人を持ったザックを許せるか、
またザックを信用して、ザックが裏切らないと言えるか、
分かりません。
それでも毎日砦から貴方の家を見つめ、貴方の家の灯りが灯るのを安心するのは何故でしょう。
半年が過ぎた頃、
「ガネット」
「ハルク様、どうされました?」
「知らせるか迷ったんだが…」
「はい」
「だが、」
ハルク様の口調、態度が鬼気迫ってる感じに思えました。
「言って下さい」
「ガネットの元旦那だが」
「はい」
「重体の状態で運ばれて来た」
「はい?」
「街の医師では手に負えないとここの医師へ連絡があってな、ここに運ばれて来た。ここには医療設備が揃っているからだ」
「それで…どの、ような、」
「喧嘩に巻き込まれ刺されたらしい。今夜が峠だと医師が言っていた。どうする、会うか」
「え?」
「医師が言うには会わせたい人がいるなら会わせた方が良いと。どうする?別れた旦那だ、それもお前は傷つけられた。会いたくないならそれで良い。だが峠が越せなければ…」
「…はい」
「もし会う気があるなら早い方が良い。今は意識はとぎれとぎれだがまだある。だがそれも時間の問題だ」
「…分かりました」
ハルク様が私の元を去り、私は考えました。
彼を愛してはいません。
それでも、
死んでほしいか、と聞かれたら…
以前は死んでほしいと思っていました。
それでもこの半年、彼の家を見つめ、彼の家の灯りが灯るのを見ていて…
私は速歩きで向かいました。
騎士団の中にある医療室、
ベッドの周りには血の付いたガーゼが何枚も落ちています。部屋の中は血の匂いで充満しています。
ベッドの上で横たわる貴方の姿…
顔色は青白く…
私はベッドに少しづつ近付き、
貴方の手を握ります。
手を握れば力のない手に…
「ザック?」
目を開けない貴方…
「ねぇ、ザック、目を開けて?」
「……ネッ…ト…」
弱々しい声でした。
「……愛……し…て……る……」
「ザック」
「……ご……め…ん……な…」
「ザック!」
また貴方は目を閉じました。
このまま目を開けなかったら?
私は嬉しい?
私は悲しい?
「ザック!聞いて!貴方が生きてくれたら貴方ともう一度やり直す。だから生きて!」
貴方は目を開けなかった……
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