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ガネット・フォルンは愛されたい

ハルク編 6 完

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ガネットと結婚して10年。

息子が産まれ、娘が産まれた。

俺は今日、ガネットに指輪を贈る。

首には夫婦と言う鎖で縛りつけた。

だから

今度は

俺と言う鎖で縛りつける為に指輪を贈る。

一生はずさせない鎖だ。

一生はずせない鎖だ。

結婚して10年、

俺の愛、全てを注いできた。

抱きしめ、口付けし、ガネットを求める。

時に言葉より雄弁に語る。

「愛してる」

を百回言うより、

「ガネットを抱きたい」

とガネットの体をくまなく愛しく触れ、愛を囁やき、体中に口付けを落とし、俺の後を残す。

着替える時に必ず見える胸には重点的にキスマークを残した。
これを見る度、俺との情事を思い出し、淫らに乱れた己自身を思い出し、

「愛されてる」

と耳からと目から俺の愛を感じるはずだ。

俺からの一途な愛を10年間受け取り続けたガネット。


ようやくお前は俺に落ちてきたな。





「ハンス、俺が良いと言うまで剣を振っていろ。闇雲に振るな!一振り一振り丁寧にだ、良いな」

「はい父様」

「最近のお前の振りは雑になってきてるぞ」

「分かりました」


俺はガネットの手を繋ぎ家の中に入る。

一時間後

ガネットの手を引いて庭に出る。

ガネットを抱きしめ、


「俺の子種、出すなよ?」

「もう」


艶っぽい顔をしているガネットに口付けを何度もする。


なあガネット、俺はガネットに内緒で作者に昼ドラ版を見せて貰った。別に脅した訳じゃないぞ?快くな?快く見せて貰った。

ネイソンが「ガネットはやると言ったらやる!」と言っていた意味が分かったよ。

だけどな、何でだろうな、俺はそれ程驚いていない。

「流石ネイソンの妹だけある」

と思ったよ。

俺が今でもネイソンと友でいられるのはネイソンの闇の部分も含めて認めているからだ。

俺にも闇はある。

だからネイソンと気が合うんだ。

お前の闇の部分は俺の心の中だけに閉まっておけば良い。

俺の闇の部分を俺はお前に見せるつもりはないしな。


だけどな、

お前が直接元旦那と言葉を交わしたら…



俺はお前を本物の鎖で縛りつけるかもしれない。

ようやく俺の手元に落ちてきたお前を俺が離すと思うか?

元旦那と言葉を交わして俺が許すと思うか?

お前は俺だけを見つめ、俺だけから愛され、俺の愛を受け取れば良い。

俺はお前が俺の手元にいるなら、俺の愛情はお前にだけ注ぐ。

一生お前だけを愛するよ。

愛しいガネット、

俺だけの

愛しいガネット。



「愛してる。一生ガネットだけだ」

「私もよ。一生ハルクだけ愛すわ」


俺はギュッとガネットを抱きしめる。

ガネットの俺への愛を疑った事は一度もない。





お前は一生そこで見ていろ。

俺の愛を受け取るガネットを、

ガネットから愛を受け取る俺を、

この艶っぽい顔も本当ならお前に見せたくない。

だけどな、

少し気だるい雰囲気で頬を赤らめ、俺に全てを預けてるガネットの姿を、

俺の子種を腹に残し気恥ずかしそうにしているガネットの姿を、

俺に抱きしめられて幸せそうな顔をしているガネットの姿を、

俺と何度も口付けするガネットの姿を、


お前に見せつけてやる。

だからお前は

そこで指を加えて見ていろ。


俺はガネットを抱きしめ

目線の先

ガネットの背を見てる

お前から目を離さず

ガネットに口付けする





「ガネット、もう一度ガネットを抱きたい」

「もう」

「そうだよな…」

「ふふっ、もうしゅんとしないで」

「悪い」

「もう一度だけなの?」

「良いのか!」

「良いわ」


俺はガネットをお姫様抱っこをして、


「ハンス、今日はローゼとアンネの所で泊まってこい」

「は~い」


走って行くハンスを見送り、

俺とガネットは家の中へ入った。


「フッ」

「ふふっ」





             完


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