完結した作品の番外編特集

憎しみ合う番、この先は…

夢の中…

「レオン、ちょっと今から付き合え」

「またか？」

「体術はお前の方が強いんだからいいだろ？」

「いいけど、どうせ負けるんだ、やるだけ無駄だろ？」

「お！なら剣の勝負も後からやるか？」

「剣はお前の方が強いだろ？」

「そんなのやってみないと分からないだろ？やる前から諦めるな！」

「諦めてる訳じゃない。力の差を分かってるだけだ」

「レオン、力の差を分かってても挑む、それが勝負だろ？」

「それって勝負になるのか？」

「よし！なら今日の夕飯をかけようぜ！負けた方の奢りな？」

「よしのった！」


　◆～～◇


「やっぱり体術ではお前に敵わないな！」

「お前の奢りだぞ？」

「任せとけ！」

「おい、クロード、お前汗くらい拭け」

「そのうち乾くだろ？」

「お前な…、こっちへこい」

「ハハハッ、レオンは世話焼き女房だな～」

「クロード！」

「ハハハッ」


　クロード、クロード、クロード、

　お前の笑った顔が好きだ。

　お前と一緒にいるのが好きだ。

　お前と稽古するのが好きだ。

　クロード、

　お前が好きだ…。


　◆～～◇


「なあレオン」

「なんだ？」

「やっちまったよ」

「ああ」

「女の子の様子を見ようと一瞬目を離した、俺の隙だな」

「…ああ」

「あぁ、ディガにこのバカが！って言われるやつだ！」

「…ああ」

「なあレオン」

「なんだ？」

「俺はお前の手の温もりを感じて最期を迎えれた」

「…ッ」

「お前が側にいてくれて良かったよ」

「…ク…ロード……」

「レオン」

「………」

「許せ」

「………」

「憎むな」

「………」

「レオン、俺は……………」

「クロード？おいクロード！俺は何だ！おいクロード、」


　◆～～◇




「クロード！！」


　目が覚めるといつも左手が宙をさまよっている。

　何かを掴みたい、掴まないといけない、でも掴めない、


　俺は左手をきつく握る。


　なあクロード、お前のいない今は俺には空虚だ。


　お前の最期の時が昨日のように思える。


　俺が発情期じゃなかったら、

　俺が仕事を休んでなかったら、

　お前の仕事が休みだったら、



　お前は見て見ぬ振りをする事なんてしない。

　同じ国に暮らす者に剣を向けたりしない。


　お前はそういう奴だ…。