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妹がいなくなった
私はやっぱり無理かも…
しおりを挟む子が宿った時はあんなに嬉しかったのに…。
「ぎもぢわるい、うっ」
悪阻が始まり、食べ物の匂いもダメ、食べる事も出来ない、横になってても気持ち悪い。それでも横になってる方がまだ楽だから横になり眠る。
眠っている時ももやもやして寝た気がしない。
トイレに動くのも気持ち悪くて動くのも億劫になった。
「どうして私ばっかり…」
最近はこの言葉しか言ってない気がする…。
コンコン
「エリー」
「チャーリー」
「どう?」
「もう嫌!」
「うん」
「気持ち悪いし動けないし」
「うん」
「可愛いとも思えない」
「そうか」
「……憎くなる時があるの」
「そうか」
「この子に愛情なんて持てない」
「エリーの分も俺が愛情を注ぐから大丈夫だよ?」
「なんで私ばっかり苦しい思いしないといけないの?」
「ごめんね。俺が代われればいいけど」
「代われるなら代わってほしいわよ!」
「そうだね。ごめん…」
「…もう嫌」
「ごめんね」
「きっと私もお父様のように自分の子じゃないって思うのよ」
「そしたら俺が産まれた子にきちんと言うよ。エリーから産まれ父様と母様の宝物だ、って、何度も伝える」
「私もお母様のように産み落とすだけなんだわ」
「産み落とすって。そうだね、確かに君の母親は君を産み落としただけだ。だけどエリーは違う」
「そんな事、」
「エリーには俺がいる。俺が愛情を注いで育てる。大丈夫だよエリー、前にも言っただろ?俺が二人分愛す、二人分の愛情を注ぐ、俺がエリーも子供も護る」
「チャーリー…」
「エリーが愛せないなら俺がエリーの分も愛す。それでも産むのはエリーにしか出来ない。この子だけは産んでくれないかな、ごめん」
「……私こそごめんなさい」
「苦しい思いをしてるのはエリーなんだ。エリーが謝る事ないよ?」
「ちゃんと産む。宿った子の命を粗末になんてできないもの」
「ごめんねエリー」
「私こそごめんなさい」
「俺がたくさん愛情を注ぐから」
「…うん」
「エリーの分も可愛がる」
「…うん」
「エリー、俺の子を宿してくれてありがとう」
「チャーリー」
「愛してるよエリー」
「私も弱音はいてごめんなさい」
「弱音を隠して我慢させるより俺にぶつけてくれた方がいい」
「うん」
「さあ少し横になって?」
「ありがとう」
チャーリーは私が眠るまで側にいてくれ頭を撫でてくれた。
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