186 / 187
185
しおりを挟む
その後、どうなったかと言うと、
チャーリーと私は結婚式を挙げ、今は離れで暮らしている。チャーリーはミリー商会とブラウニー侯爵家と婿に入ったキャメル侯爵家を走り回りながらやってる。私の補佐は良いって言ってるのに、「婿に入った以上きちんとやる!」と。まあ程々に頑張ってほしいと思う。
我が家で勉学を教えたユシュは文官見習いとして王宮に勤めてるいる。いずれチャーリーが宰相になれたら、チャーリーの補佐になると意気込んでる。
セナンはグレンの紹介で入った食堂で怒られ何度も辞めたいと泣いていたけど、今は看板娘として張り切って働いている。店主さんの息子さんと今度結婚するみたい。10歳年上の息子さんの一目惚れだって。
役者になりたいと言ったセナミは看板女優になるには数年後になりそうだけど、舞台女優として頑張っている。私もチャーリーと時々観に行くの。
お祖父様とチャーリーで始めた孤児院の問題も10年かかった。今年から教師も騎士の指導者も一応撤退した。騎士団を引退した騎士の方々が奉仕でこれからも孤児院で指導してくれるみたい。
孤児院の卒院した子達はそれぞれ職に就けるようになり、学校での差別も、働きだしてからの差別も無くなった。それでも職に就けない子達は他の貴族の方々の協力もあり領地で働かせて貰えるようになった。
お祖父様が言っていた「チャーリーを宰相にする」は、来年度から宰相補佐としてほぼ決定した。チャーリーは夢で終わっても良かったのに…とぼやいていたけど…。
お父様とお母様は今は辺境で頑張っているらしい。私の耳には入らないけど、お祖父様とお祖母様がたまに会いに行ってると風のうわさで聞いた。
サラは旦那様とミリー商会が新たに起ち上げたミリー商店、平民向けの商店で旦那様はアクセサリーをサラは売り子として働いている。売り子をしてるサラは活き活きとしていた。もうあの子は大丈夫。
元婚約者のジェフ様も商店街の経理や事務仕事をして頑張っている。恋人と近々結婚するらしい。彼には幸せになってほしい。本来の彼はとても優しく愛情深い人だと思うから。サラに対する態度はいつも紳士だった。それからお兄様のジークリード様とは数年前からお酒を飲んだり食事をしたりしているそう。
私は彼を平民にした罪を背負い続けないといけない。これからも力を貸せる時は迷わず貸すつもりだ。
私は今日も領地からくる書類を見て国へ報告する書類を作成する。
「母様~」
「お母様、聞いて~」
息子と娘の声に手を止め、子供達の話を聞く為に書類を机に置いて、扉から入って来た愛しい可愛い子供達を抱き締める。
「ハリー、フィーナ、私の愛しい子供達」
子供を愛せないと思っていたはずなのに、フィーナが宿った時、とても嬉しかった。悪阻の時は「何で、子供なんか」と何度も思った。それでもチャーリーはいつも側に居てくれ、私の不安や愚痴を聞いてくれた。「俺がエリーの分も愛すから大丈夫」と何度も何度も言ったくれた。
だんだん膨らみ出したお腹、お腹の中で動く我が子が愛おしくなり、痛い思いをして産んだフィーナを見た時、純粋に「可愛い」と思った。なれない赤子の世話もお祖母様やメイ、ローラ母様の手を借りた。
日に日に愛おしくなる我が子、あやすと笑って、機嫌が悪くなると泣く。それでも愛せないとも嫌と放棄する気にはなれなかった。
フィーナがまだ幼い時にハリーが宿ったけど、フィーナへの愛情は無くならなかった。悪阻の時は寝込んでいたけど、安定期に入れば抱っこもしたし、一緒に遊んだりした。こんなに可愛い子を邪険になんて私には出来ない。
ハリーが産まれ、フィーナはまだ自分も幼いのにお姉さんをしていた。泣けば頭を撫で、ハリーが寝れば側で寝ていた。
私もサラの面倒を見ていたら姉妹の関係は違ったのかしら…。
「お母様、聞いてよ~ハリーが、」
「母様、姉様が、」
「ふふっ、はいはい。一人づつ話を聞かせて?」
「なら私から」
「僕だよ」
「姉に譲りなさいよ」
「可愛い弟からだよ」
「愛しい子供達は何を揉めてるんだい?」
「お父様~」
「父様~」
フィーナとハリーはチャーリーに飛びついた。
「おかえりチャーリー」
「ただいま、愛しいエリー。今日は無理しなかっただろうね」
「今日は書類作業だけよ」
「根は詰めないでよ?」
「分かってるわ」
「ただいま、俺の愛しい赤ちゃん。母様が無理をしていたらお腹を蹴って教えてあげてね」
「もう」
「さあ愛しいフィーナ、愛しいハリー、二人の揉めてる話を父様に聞かせて」
他愛のない何気ない家族の会話に幸せを噛み締めながら、今日も愛しい家族達と一緒にすごす。
愛してる。
愛してる愛しいフィーナ。
愛してる愛しいハリー。
愛してる赤ちゃん。
愛してくれてありがとうチャーリー。
愛してるわチャーリー…。
完
チャーリーと私は結婚式を挙げ、今は離れで暮らしている。チャーリーはミリー商会とブラウニー侯爵家と婿に入ったキャメル侯爵家を走り回りながらやってる。私の補佐は良いって言ってるのに、「婿に入った以上きちんとやる!」と。まあ程々に頑張ってほしいと思う。
我が家で勉学を教えたユシュは文官見習いとして王宮に勤めてるいる。いずれチャーリーが宰相になれたら、チャーリーの補佐になると意気込んでる。
セナンはグレンの紹介で入った食堂で怒られ何度も辞めたいと泣いていたけど、今は看板娘として張り切って働いている。店主さんの息子さんと今度結婚するみたい。10歳年上の息子さんの一目惚れだって。
役者になりたいと言ったセナミは看板女優になるには数年後になりそうだけど、舞台女優として頑張っている。私もチャーリーと時々観に行くの。
お祖父様とチャーリーで始めた孤児院の問題も10年かかった。今年から教師も騎士の指導者も一応撤退した。騎士団を引退した騎士の方々が奉仕でこれからも孤児院で指導してくれるみたい。
孤児院の卒院した子達はそれぞれ職に就けるようになり、学校での差別も、働きだしてからの差別も無くなった。それでも職に就けない子達は他の貴族の方々の協力もあり領地で働かせて貰えるようになった。
お祖父様が言っていた「チャーリーを宰相にする」は、来年度から宰相補佐としてほぼ決定した。チャーリーは夢で終わっても良かったのに…とぼやいていたけど…。
お父様とお母様は今は辺境で頑張っているらしい。私の耳には入らないけど、お祖父様とお祖母様がたまに会いに行ってると風のうわさで聞いた。
サラは旦那様とミリー商会が新たに起ち上げたミリー商店、平民向けの商店で旦那様はアクセサリーをサラは売り子として働いている。売り子をしてるサラは活き活きとしていた。もうあの子は大丈夫。
元婚約者のジェフ様も商店街の経理や事務仕事をして頑張っている。恋人と近々結婚するらしい。彼には幸せになってほしい。本来の彼はとても優しく愛情深い人だと思うから。サラに対する態度はいつも紳士だった。それからお兄様のジークリード様とは数年前からお酒を飲んだり食事をしたりしているそう。
私は彼を平民にした罪を背負い続けないといけない。これからも力を貸せる時は迷わず貸すつもりだ。
私は今日も領地からくる書類を見て国へ報告する書類を作成する。
「母様~」
「お母様、聞いて~」
息子と娘の声に手を止め、子供達の話を聞く為に書類を机に置いて、扉から入って来た愛しい可愛い子供達を抱き締める。
「ハリー、フィーナ、私の愛しい子供達」
子供を愛せないと思っていたはずなのに、フィーナが宿った時、とても嬉しかった。悪阻の時は「何で、子供なんか」と何度も思った。それでもチャーリーはいつも側に居てくれ、私の不安や愚痴を聞いてくれた。「俺がエリーの分も愛すから大丈夫」と何度も何度も言ったくれた。
だんだん膨らみ出したお腹、お腹の中で動く我が子が愛おしくなり、痛い思いをして産んだフィーナを見た時、純粋に「可愛い」と思った。なれない赤子の世話もお祖母様やメイ、ローラ母様の手を借りた。
日に日に愛おしくなる我が子、あやすと笑って、機嫌が悪くなると泣く。それでも愛せないとも嫌と放棄する気にはなれなかった。
フィーナがまだ幼い時にハリーが宿ったけど、フィーナへの愛情は無くならなかった。悪阻の時は寝込んでいたけど、安定期に入れば抱っこもしたし、一緒に遊んだりした。こんなに可愛い子を邪険になんて私には出来ない。
ハリーが産まれ、フィーナはまだ自分も幼いのにお姉さんをしていた。泣けば頭を撫で、ハリーが寝れば側で寝ていた。
私もサラの面倒を見ていたら姉妹の関係は違ったのかしら…。
「お母様、聞いてよ~ハリーが、」
「母様、姉様が、」
「ふふっ、はいはい。一人づつ話を聞かせて?」
「なら私から」
「僕だよ」
「姉に譲りなさいよ」
「可愛い弟からだよ」
「愛しい子供達は何を揉めてるんだい?」
「お父様~」
「父様~」
フィーナとハリーはチャーリーに飛びついた。
「おかえりチャーリー」
「ただいま、愛しいエリー。今日は無理しなかっただろうね」
「今日は書類作業だけよ」
「根は詰めないでよ?」
「分かってるわ」
「ただいま、俺の愛しい赤ちゃん。母様が無理をしていたらお腹を蹴って教えてあげてね」
「もう」
「さあ愛しいフィーナ、愛しいハリー、二人の揉めてる話を父様に聞かせて」
他愛のない何気ない家族の会話に幸せを噛み締めながら、今日も愛しい家族達と一緒にすごす。
愛してる。
愛してる愛しいフィーナ。
愛してる愛しいハリー。
愛してる赤ちゃん。
愛してくれてありがとうチャーリー。
愛してるわチャーリー…。
完
194
お気に入りに追加
2,372
あなたにおすすめの小説
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
田舎者とバカにされたけど、都会に染まった婚約者様は破滅しました
さこの
恋愛
田舎の子爵家の令嬢セイラと男爵家のレオは幼馴染。両家とも仲が良く、領地が隣り合わせで小さい頃から結婚の約束をしていた。
時が経ちセイラより一つ上のレオが王立学園に入学することになった。
手紙のやり取りが少なくなってきて不安になるセイラ。
ようやく学園に入学することになるのだが、そこには変わり果てたレオの姿が……
「田舎の色気のない女より、都会の洗練された女はいい」と友人に吹聴していた
ホットランキング入りありがとうございます
2021/06/17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる