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182 チャーリー視点
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「君さ、今迄貴族で何不自由ない生活をしてきたよね?食べたいと言えば直ぐに温かい料理が出てきたし、洗濯や掃除だってメイドがやってくれた。移動するのだって馬車だ。
それが急に平民に落とされてどう生活していけば良いか分からず結局何もせずに今に至る。
今いるこの場所だって流れてここに行き着いただけだ。ここは地獄だろ?
どうして俺が、何で俺が、俺が何をした、好意を抱いただけだ、そもそもエミリーヌが婚約者として俺を扱わなかったからだ、俺のせいじゃないエミリーヌのせいだ、エミリーヌが全て悪い、あいつのせいで俺は兄上に見捨てられた、こんな所にいるのも俺がこんなになったのも全て悪いのはエミリーヌだ、憎い、そんな所か?」
「煩い」
「まだお前はましだよ」
「はあ?何がましだよ」
「まだ本当の地獄を見ていない。本当の絶望をあじわってない。ここは地獄だ。死にたいと思っても簡単に死なせてくれない。息をしてただ生かされてる。生きたいのか死にたいのか分からず、それでも一日が過ぎる。あぁ明日は死んでるかなぁと思いながら目を閉じる。目が覚めると生きてる事に絶望する。死んでも良いと思っていても目の前に食べ物があれば無我夢中で我武者羅に食べる。体は生きたい、生き続けたいと自分の意思とは反対の行動をする。
お前はまだそこまでいってないだろ?」
「はっ、自分はさも知ってますって言いたいのか」
「ああ、俺は知ってる。ここで地獄の様な絶望をおくっていた。それを救ってくれた人がいた。俺に手を差し伸べてくれた人がいた。
俺も人の事は言えないけど、お前さ、平民になったからって何もかも失ったって思ってないか?」
「失っただろ」
「それは貴族としての生活を失っただけだ。何もかもしてもらえる環境を失っただけだ。
お前も元貴族なら文字を読んだり書いたり出来るだろ?平民より頭も良い」
「何が言いたい」
「貴族は幼い時から家庭教師を付けられ、学園にも通う。貴族としては頭が悪い奴でも平民よりは頭が良い。それに文字を読めて書ける。計算だって出来る。それだけで平民より働く場所が増える。
平民に落とされたというだけでどうして働かない。働く場所はいくらでもある。頭を使う事務仕事だって元貴族ならお手の物だ。この国の言葉だけでなく隣り合わせの国の言葉も貴族ならバカでも多少は分かるだろ?なら商人に重宝される。酒場で働いたって計算が出来れば雇って貰える。
貴族だったからこそ働く場所は探せばいくらでもあるんだ。
平民に落とされた俺も全てを失くしたと思った。平民になった事が貴族の矜持が許さない、それは俺も思った。
それでも今なら分かる。平民より優れている元貴族なら働く場所はいくらでもあるという事が。働き稼ぐという事が平民よりも簡単に出来るという事が。
ならどうすれば良いか。
お前はエミリーヌとの婚約ではお前にも責任がある。その責任をまず背負え。
お前を貴族から平民に落としたのはお前の兄上だ。お前の家族がお前に下した。お前はもう貴族には戻れない。それを諦めろ。
お前は平民になったんだ。それを認めろ。
お前は文字が読めて書ける。計算だって出来る。多少の言葉は話せる。それを感謝しろ。
お前は平民よりも働く場所がある。あたりを良く見てみろ。
お前に残された道は2つだ。聞くか?」
「何だ」
「一つはこのままここに居着いてただ死ぬのを待ってろ。
もう一つは平民になった事を自分で認め、働き稼ぐ事だ。
働き稼ぐ事は大変な事だ。平民に馬鹿にされるだろう。平民なら簡単に出来る事が貴族は出来ない。それでもどれだけ馬鹿にされても耐えて働くしかない。同じ平民に威張り散らす事は出来ない。自分も同じ平民になったんだからな。それでも働き稼げば生きる事が出来る。
お前ならどっちを選ぶ」
「俺は、……死になくない」
「それなら働き稼げ」
「……分かった」
「お前がきちんと働き稼ぐと言うのなら家の確保と職の紹介は保証する」
「分かった」
「その上で平民が数ヶ月暮らせるだけのお金を渡す。だけどお前が貴族のつもりで使えば1ヶ月も持たない。平民には平民の生活があるときちんと把握するんだ」
「分かった」
「どうする、差し出した手を取るか?」
「ああ」
「分かった。なら伝えておくよ」
「は?」
「お前に手を差し出すのはエミリーヌだ。お前を助け出すのはエミリーヌだ」
「エミリーヌがどうして」
「これはお前に対しての償いも入ってるがそれだけじゃない。エミリーヌは見て見ぬ振りをする事が出来ないんだ。自分が関わった人を見て見ぬ振りをする事はしない。俺もエミリーヌに助けられた一人だ。ここから救い出して貰った。エミリーヌは俺の恩人だ。
お前はエミリーヌの何を見てきた。これからはきちんと見るんだな。そうすればエミリーヌがいかに慈悲深い女性か分かる。
あっ、でもエミリーヌは俺の愛しい婚約者だから」
「分かってるよ」
それが急に平民に落とされてどう生活していけば良いか分からず結局何もせずに今に至る。
今いるこの場所だって流れてここに行き着いただけだ。ここは地獄だろ?
どうして俺が、何で俺が、俺が何をした、好意を抱いただけだ、そもそもエミリーヌが婚約者として俺を扱わなかったからだ、俺のせいじゃないエミリーヌのせいだ、エミリーヌが全て悪い、あいつのせいで俺は兄上に見捨てられた、こんな所にいるのも俺がこんなになったのも全て悪いのはエミリーヌだ、憎い、そんな所か?」
「煩い」
「まだお前はましだよ」
「はあ?何がましだよ」
「まだ本当の地獄を見ていない。本当の絶望をあじわってない。ここは地獄だ。死にたいと思っても簡単に死なせてくれない。息をしてただ生かされてる。生きたいのか死にたいのか分からず、それでも一日が過ぎる。あぁ明日は死んでるかなぁと思いながら目を閉じる。目が覚めると生きてる事に絶望する。死んでも良いと思っていても目の前に食べ物があれば無我夢中で我武者羅に食べる。体は生きたい、生き続けたいと自分の意思とは反対の行動をする。
お前はまだそこまでいってないだろ?」
「はっ、自分はさも知ってますって言いたいのか」
「ああ、俺は知ってる。ここで地獄の様な絶望をおくっていた。それを救ってくれた人がいた。俺に手を差し伸べてくれた人がいた。
俺も人の事は言えないけど、お前さ、平民になったからって何もかも失ったって思ってないか?」
「失っただろ」
「それは貴族としての生活を失っただけだ。何もかもしてもらえる環境を失っただけだ。
お前も元貴族なら文字を読んだり書いたり出来るだろ?平民より頭も良い」
「何が言いたい」
「貴族は幼い時から家庭教師を付けられ、学園にも通う。貴族としては頭が悪い奴でも平民よりは頭が良い。それに文字を読めて書ける。計算だって出来る。それだけで平民より働く場所が増える。
平民に落とされたというだけでどうして働かない。働く場所はいくらでもある。頭を使う事務仕事だって元貴族ならお手の物だ。この国の言葉だけでなく隣り合わせの国の言葉も貴族ならバカでも多少は分かるだろ?なら商人に重宝される。酒場で働いたって計算が出来れば雇って貰える。
貴族だったからこそ働く場所は探せばいくらでもあるんだ。
平民に落とされた俺も全てを失くしたと思った。平民になった事が貴族の矜持が許さない、それは俺も思った。
それでも今なら分かる。平民より優れている元貴族なら働く場所はいくらでもあるという事が。働き稼ぐという事が平民よりも簡単に出来るという事が。
ならどうすれば良いか。
お前はエミリーヌとの婚約ではお前にも責任がある。その責任をまず背負え。
お前を貴族から平民に落としたのはお前の兄上だ。お前の家族がお前に下した。お前はもう貴族には戻れない。それを諦めろ。
お前は平民になったんだ。それを認めろ。
お前は文字が読めて書ける。計算だって出来る。多少の言葉は話せる。それを感謝しろ。
お前は平民よりも働く場所がある。あたりを良く見てみろ。
お前に残された道は2つだ。聞くか?」
「何だ」
「一つはこのままここに居着いてただ死ぬのを待ってろ。
もう一つは平民になった事を自分で認め、働き稼ぐ事だ。
働き稼ぐ事は大変な事だ。平民に馬鹿にされるだろう。平民なら簡単に出来る事が貴族は出来ない。それでもどれだけ馬鹿にされても耐えて働くしかない。同じ平民に威張り散らす事は出来ない。自分も同じ平民になったんだからな。それでも働き稼げば生きる事が出来る。
お前ならどっちを選ぶ」
「俺は、……死になくない」
「それなら働き稼げ」
「……分かった」
「お前がきちんと働き稼ぐと言うのなら家の確保と職の紹介は保証する」
「分かった」
「その上で平民が数ヶ月暮らせるだけのお金を渡す。だけどお前が貴族のつもりで使えば1ヶ月も持たない。平民には平民の生活があるときちんと把握するんだ」
「分かった」
「どうする、差し出した手を取るか?」
「ああ」
「分かった。なら伝えておくよ」
「は?」
「お前に手を差し出すのはエミリーヌだ。お前を助け出すのはエミリーヌだ」
「エミリーヌがどうして」
「これはお前に対しての償いも入ってるがそれだけじゃない。エミリーヌは見て見ぬ振りをする事が出来ないんだ。自分が関わった人を見て見ぬ振りをする事はしない。俺もエミリーヌに助けられた一人だ。ここから救い出して貰った。エミリーヌは俺の恩人だ。
お前はエミリーヌの何を見てきた。これからはきちんと見るんだな。そうすればエミリーヌがいかに慈悲深い女性か分かる。
あっ、でもエミリーヌは俺の愛しい婚約者だから」
「分かってるよ」
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