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約束の日、私は午前中に使いを出し、昼からセイリーン孤児院へお邪魔する事を伝え、今は孤児院へ向かう馬車の中。
「グレンとこうして乗るのも久しぶりね?」
「当たり前だろ?普段なら俺も騎乗する。だけど今から向かう孤児院は平民が住む所にあるんだ。何かあったらお前を護らないといけないからな」
「兄さんが馬車に乗ってる所、初めて見ましたよ」
「ガインも鍛えるか?お前が剣の腕をあげて強くなれば俺も馬車に乗らなくて済む」
「俺に期待するのは止めて下さい。今以上剣の腕があがる事はありません」
馬車の中は私とグレン、それからガインが乗ってる。
「ガインは私の補佐として頭を使うんだから、身体を使うのはグレンで良いのよ」
「はぁぁ、俺は馬車は嫌いだ。馬に乗ってる方が性に合ってる」
「もうグレン、仕方ないでしょ。諦めて」
「諦めてるからこうして乗ってるだろ?」
「それもそうね」
私は馬車の外を覗き、
「ねえグレン」
「何だ」
「あの子達どう?」
「まあ頑張ってるぞ?」
「そう」
「馬に乗るのも何とか慣れたしな」
「そう」
今日は騎士になりたい子達も一緒に連れて来ている。騎乗する騎士の前に跨がり馬に乗っている。
「それでどうするつもり?」
「彼奴等か?」
「うん」
「一応騎士団には話し付けてきた。騎士見習いとして試験を受けさせて貰うように」
「それで?」
「試験は受けさせて貰える事になった」
「そう」
「受かるかは別だからな」
「それはあの子達次第でしょ?後数ヶ月でどれだけ努力するか」
「まあな」
「それでも見込みは?」
「まあ大丈夫じゃねえ?」
「そう、なら良かった」
「そろそろ着くぞ」
馬車の速度が落ち、孤児院の門を入る。
馬車が止まり、外から扉を開けて貰い、ガインが先に降りて孤児院の中に入って行った。私はグレンに手を借りて馬車を降りる。
ガインとシスター一人が来て、グレンは私の後ろに控える。案内されシスター長の部屋に通された。
中にはシスター長が居て、
「ようこそお出で下さいました」
「こちらこそ急に申し訳ありません」
「いえ、それより今日はどの様なご要件でしょう」
「はい、お願いと報告、それから少し子供達と話をさせて頂きたいと思っています」
「分かりました。ではお話をお聞かせ下さい」
私は進められた椅子に座り、
「シスター長、まず一つ目、セシルですが、私が後見人になります。その上でお願いがあります」
「はい」
「セシルをこちらの孤児院で働かさせて頂きたいのです。シスターと言う訳ではなく、あくまでも手伝いとしてです」
「私もセシルは孤児院から出すつもりはありませんでした」
「それではご了承頂けたと言う事でよろしいですか?」
「はい。セシルには私達の手伝いを今迄通りして貰います」
「ではお願いします。セシルの給金は私の方で用意します」
「分かりました。お願いします」
「では2つ目、マークとマークの妹さんと弟さんを我がキャメル侯爵家の領民として受け入れます。よろしいでしょうか」
「はい、それもマークから聞いております。こちらとしては何も言う事はありません」
「分かりました。領地の準備が整い次第私共で引き取らさせて頂きます」
「はい、お願いします」
「では3つ目、今回卒院する子達の中で私共が手を出さない子達も勿論おります」
「はい」
「シスター長からすれば納得がいかない事もお有りでしょうが、我々も慈善事業ではありません。先日の話し合いの中でやる気が見られない子達には本人にも伝えてありますが、我々は手を貸さないと決めました。その点はご納得頂きます」
「はい、それは仕方のない事です」
「ありがとうございます」
「では4つ目、こちらから書簡が届いてお知りだと思いますが、来年度より勉強を教える者と剣を教える者が入ります。ですが我々が目指す所は本来の孤児院の形です。本来孤児院ではシスター長始めシスター達と年長者が下の子達に本を読んだり文字を教えたり、刺繍を教えたり剣を教えたりしていました」
「はい」
「ですがシスターの皆様の仕事が多く、また年長者の子達が勉学が出来ない。その為下の子達に教える事が出来ず、また下の子達も年長者になっても教える事が出来ない」
「はい、情けない事です」
「ですから数年他に教える者を我々が雇います。数年の内に本来の形になる様にしたいと思っております。ですが、教える者を頼りにされては困ります。あくまでも補強としてです。数年後には撤退させて頂きます」
「はい」
「ではご理解頂けましたか?」
「はい、分かりました」
「では5つ目、平民の子達が通う無料の学校へ必ず通わせて下さい。これからは通うまでに文字の読み書きは出来る様になります。確かに孤児院育ちとからかわれたり嫌がらせをされるでしょう。ですが、手に職を付けて働き場所を見つけるには学校へ通うのが必須です」
「分かりました」
「では6つ目、孤児院で育つここの子達には自分で働きお金を稼ぐしかない事を教えて下さい」
「はい」
「ですが自分で働きお金を稼ぐ、これは孤児院で育った子達だけではありません。我々貴族も同じです。シスター長、貴女もですよね?生活の為に働き稼ぐ、これは人として産まれた宿命です」
「はい」
「その事を子供達に教えて下さい」
「分かりました」
「グレンとこうして乗るのも久しぶりね?」
「当たり前だろ?普段なら俺も騎乗する。だけど今から向かう孤児院は平民が住む所にあるんだ。何かあったらお前を護らないといけないからな」
「兄さんが馬車に乗ってる所、初めて見ましたよ」
「ガインも鍛えるか?お前が剣の腕をあげて強くなれば俺も馬車に乗らなくて済む」
「俺に期待するのは止めて下さい。今以上剣の腕があがる事はありません」
馬車の中は私とグレン、それからガインが乗ってる。
「ガインは私の補佐として頭を使うんだから、身体を使うのはグレンで良いのよ」
「はぁぁ、俺は馬車は嫌いだ。馬に乗ってる方が性に合ってる」
「もうグレン、仕方ないでしょ。諦めて」
「諦めてるからこうして乗ってるだろ?」
「それもそうね」
私は馬車の外を覗き、
「ねえグレン」
「何だ」
「あの子達どう?」
「まあ頑張ってるぞ?」
「そう」
「馬に乗るのも何とか慣れたしな」
「そう」
今日は騎士になりたい子達も一緒に連れて来ている。騎乗する騎士の前に跨がり馬に乗っている。
「それでどうするつもり?」
「彼奴等か?」
「うん」
「一応騎士団には話し付けてきた。騎士見習いとして試験を受けさせて貰うように」
「それで?」
「試験は受けさせて貰える事になった」
「そう」
「受かるかは別だからな」
「それはあの子達次第でしょ?後数ヶ月でどれだけ努力するか」
「まあな」
「それでも見込みは?」
「まあ大丈夫じゃねえ?」
「そう、なら良かった」
「そろそろ着くぞ」
馬車の速度が落ち、孤児院の門を入る。
馬車が止まり、外から扉を開けて貰い、ガインが先に降りて孤児院の中に入って行った。私はグレンに手を借りて馬車を降りる。
ガインとシスター一人が来て、グレンは私の後ろに控える。案内されシスター長の部屋に通された。
中にはシスター長が居て、
「ようこそお出で下さいました」
「こちらこそ急に申し訳ありません」
「いえ、それより今日はどの様なご要件でしょう」
「はい、お願いと報告、それから少し子供達と話をさせて頂きたいと思っています」
「分かりました。ではお話をお聞かせ下さい」
私は進められた椅子に座り、
「シスター長、まず一つ目、セシルですが、私が後見人になります。その上でお願いがあります」
「はい」
「セシルをこちらの孤児院で働かさせて頂きたいのです。シスターと言う訳ではなく、あくまでも手伝いとしてです」
「私もセシルは孤児院から出すつもりはありませんでした」
「それではご了承頂けたと言う事でよろしいですか?」
「はい。セシルには私達の手伝いを今迄通りして貰います」
「ではお願いします。セシルの給金は私の方で用意します」
「分かりました。お願いします」
「では2つ目、マークとマークの妹さんと弟さんを我がキャメル侯爵家の領民として受け入れます。よろしいでしょうか」
「はい、それもマークから聞いております。こちらとしては何も言う事はありません」
「分かりました。領地の準備が整い次第私共で引き取らさせて頂きます」
「はい、お願いします」
「では3つ目、今回卒院する子達の中で私共が手を出さない子達も勿論おります」
「はい」
「シスター長からすれば納得がいかない事もお有りでしょうが、我々も慈善事業ではありません。先日の話し合いの中でやる気が見られない子達には本人にも伝えてありますが、我々は手を貸さないと決めました。その点はご納得頂きます」
「はい、それは仕方のない事です」
「ありがとうございます」
「では4つ目、こちらから書簡が届いてお知りだと思いますが、来年度より勉強を教える者と剣を教える者が入ります。ですが我々が目指す所は本来の孤児院の形です。本来孤児院ではシスター長始めシスター達と年長者が下の子達に本を読んだり文字を教えたり、刺繍を教えたり剣を教えたりしていました」
「はい」
「ですがシスターの皆様の仕事が多く、また年長者の子達が勉学が出来ない。その為下の子達に教える事が出来ず、また下の子達も年長者になっても教える事が出来ない」
「はい、情けない事です」
「ですから数年他に教える者を我々が雇います。数年の内に本来の形になる様にしたいと思っております。ですが、教える者を頼りにされては困ります。あくまでも補強としてです。数年後には撤退させて頂きます」
「はい」
「ではご理解頂けましたか?」
「はい、分かりました」
「では5つ目、平民の子達が通う無料の学校へ必ず通わせて下さい。これからは通うまでに文字の読み書きは出来る様になります。確かに孤児院育ちとからかわれたり嫌がらせをされるでしょう。ですが、手に職を付けて働き場所を見つけるには学校へ通うのが必須です」
「分かりました」
「では6つ目、孤児院で育つここの子達には自分で働きお金を稼ぐしかない事を教えて下さい」
「はい」
「ですが自分で働きお金を稼ぐ、これは孤児院で育った子達だけではありません。我々貴族も同じです。シスター長、貴女もですよね?生活の為に働き稼ぐ、これは人として産まれた宿命です」
「はい」
「その事を子供達に教えて下さい」
「分かりました」
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