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バタバタと足音が聞こえ、
バタン
「おい!エミー!俺を走らせるとはな!そんで何の用だ」
「グレン、街の食堂に伝手はない?」
「唐突だな」
「あるの?ないの?」
「あると言えばある。無いと言えば無いな」
「どっちよ!」
「知り合いのおっちゃんが食堂をやってるけど」
「そこって雇って貰える?」
「やる気のある奴ならな」
「どう言う意味?」
「安くて美味い、そんな所は繁盛するに決まってるだろ」
「そうね」
「安く出すって事はケチる所はケチる。従業員の金はそのケチる所だ。何人も辞めていく」
「そう言う事ね」
「だけどおっちゃんも人でなしじゃないからな、根性ある奴には金を出す」
「働きぶりを見て出すって事?」
「まあそうだな。ただし口は悪い。良い人なんだが自分の腕に誇りを持ってる。作る料理にも自信を持ってる。だからどうしても従業員には厳しい事を言う」
「そこ以外は?」
「後は酒場だな」
「酒場か…。酒場も危険よね…」
「まあ酔っ払い相手だからな。ケツは触られるだろうな」
「そう…」
「おまけに酒場は男の憩い場だ」
「そうよね…」
「で?何?」
「この子の働き口を探そうとね。孤児院から紹介された所が街の騎士団の皿洗いなの」
「あ~、この子か。まあ食われるわな」
「食われる?」
「チャーリーなら分かるだろ?」
「え?あっはい」
「エミーいいか」
「何よ」
「猛獣の中に好物の餌を投げ入れたらどうなる?」
「奪い合う?」
「奪い合って?」
「食べる」
「猛獣が騎士なら餌はこの子だ。なら?」
「皆で奪い合って食べる」
「その時の食べるの意味は?お子ちゃまのお前には分からないか?」
「そのくらい分かるわよ!」
「酒場も同じだ。どっちもどっちだな」
「そうよね…」
「根性があるならおっちゃんの所の方がいいかもな」
「どうして?」
「従業員に対して確かに口は悪いし厳しい人だけど、従業員は護る。客が手でも出してみろ、出入り禁止だ。ケツでも触ったもんなら殴り飛ばされるぞ」
「従業員にとっては安全な職場って事?」
「まあそうだな。この子なら特にな。お前、根性あるのか?」
「え?」
「バカ野郎とかまあ大声で怒られるけど耐えれるのか?」
「それは…」
「お前さぁ今迄怒鳴られた事や罵声浴びた事ないだろ」
「はい」
「だろうな。エミーちょい無理だと思うぞ?」
「そうね」
「女には耐えられる所じゃない。まぁ女の子も働いてるけどな」
「その子も耐えてるの?」
「今は怒鳴られる事ないからな。昔はよく怒鳴られてたよ」
「そう」
「俺も人の事言えないけどさ、騎士になって働く場所は決まってたしよ、それでもエミーを護れるだけの努力はしてきた」
「うん」
「こいつ等はいいな、努力せずに職を探してくれてよ」
「まあそうだけど」
「通える学校に通わず、孤児院育ちだからって全てから逃げて、挙げ句職を探して貰えて。自分達で探させたのか?
確かに孤児院育ちは軽蔑されやすい。それはな捻くれるからだ。どうせ自分には親がいない、どうせ誰もやりたがらない下働きしかさせて貰えない、どうせ直ぐ辞めさせられる、どうせどうせって直ぐに諦めて逃げてるだけだ。
孤児院育ちは事実なんだから仕方がないだろ。何を言われても何をさせれてそれでも頑張り続ける事が大事なんだ。孤児院育ちだから何だ、親がいないから何だ、下働き上等だ、辞めさせられないようにしがみつけ、孤児院育ちだからって逃げるんじゃない。
親がいても耐えて耐えて己を犠牲にして諦めず働いてきた奴もいるんだ。自分には働くしか価値がないって頑張ってきた奴もいるんだ。
もしお前が何があっても諦めず逃げ出さず頑張るって言うなら口は聞いてやる。だけどな、その後はお前次第だ」
「グレン!」
「用はそれだけか?」
「ええ」
「なら俺は行くぞ」
「うん、ありがとう」
グレンが出て行き、
「ごめんなさいね。厳しい事を言うけどとても優しい人なの。許してね」
「それは、何となく分かりました」
「そう、なら良かったわ」
「お姉さん、私に勤まると思う?」
「それは貴女次第よ」
「私次第?」
「ええ。諦めず逃げ出さず頑張り続けるってとても大変なの。自分が何の為に働いているのか自分で分からなくなり自分を見失うわ。きっと貴女が思う何十倍も辛くて大変な事。それでも頑張り続けてればいつか誰かの目に止まるわ。頑張り続ける人を孤児院育ちだからと幼稚な言葉で侮辱する事なんて出来なくなるわ。
私達はただ職を紹介したいだけじゃないの。諦めず逃げ出さず頑張ってほしいと願い、頑張ろうとする貴女達の背中を押してあげたいの。
今の現状、どれだけ貴女達が頑張ろうと思っても孤児院育ちだからと軽視されがちなのも事実よ?だから私達が職を紹介してるの。貴女達がこれから頑張ろうと思う気持ちを大事にしてほしいから、その為の後押しを私達が手助けするのよ?分かる?」
「うん」
「シスターの紹介の所に行ってもいいし、さっきの食堂に行ってもいいし、貴女の行きたい方で良いのよ?」
「分かった。もう少し考えてもいい?」
「そうね、余り時間はないから明後日、私が孤児院に行くわ。その時聞かせて貰える?」
「分かったわ」
バタン
「おい!エミー!俺を走らせるとはな!そんで何の用だ」
「グレン、街の食堂に伝手はない?」
「唐突だな」
「あるの?ないの?」
「あると言えばある。無いと言えば無いな」
「どっちよ!」
「知り合いのおっちゃんが食堂をやってるけど」
「そこって雇って貰える?」
「やる気のある奴ならな」
「どう言う意味?」
「安くて美味い、そんな所は繁盛するに決まってるだろ」
「そうね」
「安く出すって事はケチる所はケチる。従業員の金はそのケチる所だ。何人も辞めていく」
「そう言う事ね」
「だけどおっちゃんも人でなしじゃないからな、根性ある奴には金を出す」
「働きぶりを見て出すって事?」
「まあそうだな。ただし口は悪い。良い人なんだが自分の腕に誇りを持ってる。作る料理にも自信を持ってる。だからどうしても従業員には厳しい事を言う」
「そこ以外は?」
「後は酒場だな」
「酒場か…。酒場も危険よね…」
「まあ酔っ払い相手だからな。ケツは触られるだろうな」
「そう…」
「おまけに酒場は男の憩い場だ」
「そうよね…」
「で?何?」
「この子の働き口を探そうとね。孤児院から紹介された所が街の騎士団の皿洗いなの」
「あ~、この子か。まあ食われるわな」
「食われる?」
「チャーリーなら分かるだろ?」
「え?あっはい」
「エミーいいか」
「何よ」
「猛獣の中に好物の餌を投げ入れたらどうなる?」
「奪い合う?」
「奪い合って?」
「食べる」
「猛獣が騎士なら餌はこの子だ。なら?」
「皆で奪い合って食べる」
「その時の食べるの意味は?お子ちゃまのお前には分からないか?」
「そのくらい分かるわよ!」
「酒場も同じだ。どっちもどっちだな」
「そうよね…」
「根性があるならおっちゃんの所の方がいいかもな」
「どうして?」
「従業員に対して確かに口は悪いし厳しい人だけど、従業員は護る。客が手でも出してみろ、出入り禁止だ。ケツでも触ったもんなら殴り飛ばされるぞ」
「従業員にとっては安全な職場って事?」
「まあそうだな。この子なら特にな。お前、根性あるのか?」
「え?」
「バカ野郎とかまあ大声で怒られるけど耐えれるのか?」
「それは…」
「お前さぁ今迄怒鳴られた事や罵声浴びた事ないだろ」
「はい」
「だろうな。エミーちょい無理だと思うぞ?」
「そうね」
「女には耐えられる所じゃない。まぁ女の子も働いてるけどな」
「その子も耐えてるの?」
「今は怒鳴られる事ないからな。昔はよく怒鳴られてたよ」
「そう」
「俺も人の事言えないけどさ、騎士になって働く場所は決まってたしよ、それでもエミーを護れるだけの努力はしてきた」
「うん」
「こいつ等はいいな、努力せずに職を探してくれてよ」
「まあそうだけど」
「通える学校に通わず、孤児院育ちだからって全てから逃げて、挙げ句職を探して貰えて。自分達で探させたのか?
確かに孤児院育ちは軽蔑されやすい。それはな捻くれるからだ。どうせ自分には親がいない、どうせ誰もやりたがらない下働きしかさせて貰えない、どうせ直ぐ辞めさせられる、どうせどうせって直ぐに諦めて逃げてるだけだ。
孤児院育ちは事実なんだから仕方がないだろ。何を言われても何をさせれてそれでも頑張り続ける事が大事なんだ。孤児院育ちだから何だ、親がいないから何だ、下働き上等だ、辞めさせられないようにしがみつけ、孤児院育ちだからって逃げるんじゃない。
親がいても耐えて耐えて己を犠牲にして諦めず働いてきた奴もいるんだ。自分には働くしか価値がないって頑張ってきた奴もいるんだ。
もしお前が何があっても諦めず逃げ出さず頑張るって言うなら口は聞いてやる。だけどな、その後はお前次第だ」
「グレン!」
「用はそれだけか?」
「ええ」
「なら俺は行くぞ」
「うん、ありがとう」
グレンが出て行き、
「ごめんなさいね。厳しい事を言うけどとても優しい人なの。許してね」
「それは、何となく分かりました」
「そう、なら良かったわ」
「お姉さん、私に勤まると思う?」
「それは貴女次第よ」
「私次第?」
「ええ。諦めず逃げ出さず頑張り続けるってとても大変なの。自分が何の為に働いているのか自分で分からなくなり自分を見失うわ。きっと貴女が思う何十倍も辛くて大変な事。それでも頑張り続けてればいつか誰かの目に止まるわ。頑張り続ける人を孤児院育ちだからと幼稚な言葉で侮辱する事なんて出来なくなるわ。
私達はただ職を紹介したいだけじゃないの。諦めず逃げ出さず頑張ってほしいと願い、頑張ろうとする貴女達の背中を押してあげたいの。
今の現状、どれだけ貴女達が頑張ろうと思っても孤児院育ちだからと軽視されがちなのも事実よ?だから私達が職を紹介してるの。貴女達がこれから頑張ろうと思う気持ちを大事にしてほしいから、その為の後押しを私達が手助けするのよ?分かる?」
「うん」
「シスターの紹介の所に行ってもいいし、さっきの食堂に行ってもいいし、貴女の行きたい方で良いのよ?」
「分かった。もう少し考えてもいい?」
「そうね、余り時間はないから明後日、私が孤児院に行くわ。その時聞かせて貰える?」
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