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「前侯爵、後はどうしますか? 結論が直ぐに出せる子達は終わりましたが」
「そうだな。後は一週間後に結論を出す子達だけか」
「はい」
「それならメイドになりたい子の話を聞くか」
「そうですね」
「ガイン、二人を連れて来てくれ」
暫くしてガインが二人の少女を連れて部屋に入って来た。
「さあ座って」
二人の少女が座り、
「君達はメイドになりたいみたいだけど適性はないみたいだ」
「やっぱり?そうだと思った」
「だよね」
「それでどうするつもりだい?」
「どうしよう」
「本当どうしよう」
「君達はメイドになれなかったらどうするつもりだったの?」
「メイドになれないのは分かってたよ。だって学校に行ってないんだし」
「そうそう、無理なのは分かってたよ」
「それで?」
「まあそこら辺で働こうかな?」
「食堂とかでいいもの、私達」
「食堂か」
「何?何か文句あるの?」
「ないよ」
「ならそれでいいでしょ」
「それなら分かった。頑張って働くんだよ?」
「やだ~お兄さん、働かないと食べていけないじゃない」
「お兄さんってバカなの?」
「もう行っていいよ」
「私達が食堂で働いたら食べに来てね」
「待ってるね」
二人の少女が出て行った部屋の中、
「凄い子達だったな」
「本当ね」
「あの子達なら食堂でもやっていけそうだと思ったよ」
「そうね」
凄い元気な子達で、確かにやっていけそうだわ。
「これで終わりだな。後は一週間後にまた話を聞こう」
「はい、前侯爵」
「チャーリー、領地の件頼むぞ」
「はい。帰ったら父上に相談します」
「そうしてくれ」
「はい」
「アイリーン譲は何か気になる事はあるか?」
「私は別に」
「そうか」
「前侯爵様」
「何だ」
「卒院する子達の事はある意味終わりましたけど、今孤児院にいる子達はどうなさるおつもりでしょうか」
「それな。引退した騎士には声をかけた。良い返事がくるかは分からんが」
「はい」
「文字の読み書きも我々がと言う訳にはいかない。誰か教えてくれる人が必要だと思う」
「それなら家庭教師を引退なさった方などどうでしょう」
「家庭教師か」
「文字の読み書きは勿論ですがこの国の歴史から他国の言葉まで教える事が出来ますし、淑女教育として刺繍を教えたりします」
「そうだな」
「はい。貴族の子供達には家庭教師を付けます。その方達に声をかけるのはどうでしょう」
「うむ。それがいいな」
「では私の方で声をおかけしてもよろしいでしょうか」
「頼めるか」
「私の方が前侯爵様よりも声をかけやすいかと。女性が多いですし」
「そうだな。よろしく頼む」
「はい」
「5箇所ある孤児院全てに毎日通って貰うのは悪いが、都合のつく時だけでもお願いできればな」
「はい、そう思います」
「後は年長者が下の子達に教える、本来の形になれば良いが」
「まだまだ先の長い話ですが、それが理想ですね」
「ああ」
「本来シスターが教え、年長者が下の子達の面倒を見る。今のシスターには教える能力がないのでしょうか」
「どうだろうな。シスターは育った孤児院の子達がなる事が多い。だがそれでも必要最低限文字の読み書きは出来るはずだが」
「そうですわね。シスターになるにも難しいはずです」
「なり手がいなければそれも無いに等しいのかもしれんな」
「はい」
「後はシスターはする事が多い。赤子が入れば赤子に一人は取られる。食事の準備も年長者が手伝うと言っても人数が多ければ大変だろう。セイリーン孤児院みたいにな」
「はい。一箇所に子供達が集まり過ぎてる気もします」
「セイリーン孤児院はこの国で初めて出来た孤児院だ。どうしても人数が多いのは仕方ないだろう。それにだ、セイリーン孤児院は平民の居住区の中にありあの辺りはこの国一番の広さだからな」
「はい」
「その代わり貴族の居住区近くにあるユナリーン孤児院は人数が少ない。その分シスターも少ないが一人で見る人数はセイリーン孤児院の方が多いだろう。例えセイリーン孤児院のシスターが多くともだ」
「そうですね」
「その辺も手が出せれば良いがな」
「はい」
「だがシスターになると言う事は婚姻は出来ない」
「神に捧げますから」
「今日若い子達と話してみて、今の若い子達がシスターになりたいと思う子達がいない事は良く分かった」
「そうですね」
「シスターのなり手不足は問題だな」
「領地とかでは旦那様が亡くなって未亡人の方がシスターになる方が多いですものね」
「そうだな。王都の孤児院では無理だろうな。未亡人になってもたくましく働いているからな、良い事だが」
「はい。貴族の未亡人の方も領地で過ごしていたり、後妻として嫁いだり、自分で起ち上げたお店を出したりしますから」
「良い事なのだがな。女性が自立出来る為に変わった法だ。爵位を女性が継ぐ事が出来るしな」
「はい」
「それ故、シスター不足も時代の流れと言う事か」
「そうだな。後は一週間後に結論を出す子達だけか」
「はい」
「それならメイドになりたい子の話を聞くか」
「そうですね」
「ガイン、二人を連れて来てくれ」
暫くしてガインが二人の少女を連れて部屋に入って来た。
「さあ座って」
二人の少女が座り、
「君達はメイドになりたいみたいだけど適性はないみたいだ」
「やっぱり?そうだと思った」
「だよね」
「それでどうするつもりだい?」
「どうしよう」
「本当どうしよう」
「君達はメイドになれなかったらどうするつもりだったの?」
「メイドになれないのは分かってたよ。だって学校に行ってないんだし」
「そうそう、無理なのは分かってたよ」
「それで?」
「まあそこら辺で働こうかな?」
「食堂とかでいいもの、私達」
「食堂か」
「何?何か文句あるの?」
「ないよ」
「ならそれでいいでしょ」
「それなら分かった。頑張って働くんだよ?」
「やだ~お兄さん、働かないと食べていけないじゃない」
「お兄さんってバカなの?」
「もう行っていいよ」
「私達が食堂で働いたら食べに来てね」
「待ってるね」
二人の少女が出て行った部屋の中、
「凄い子達だったな」
「本当ね」
「あの子達なら食堂でもやっていけそうだと思ったよ」
「そうね」
凄い元気な子達で、確かにやっていけそうだわ。
「これで終わりだな。後は一週間後にまた話を聞こう」
「はい、前侯爵」
「チャーリー、領地の件頼むぞ」
「はい。帰ったら父上に相談します」
「そうしてくれ」
「はい」
「アイリーン譲は何か気になる事はあるか?」
「私は別に」
「そうか」
「前侯爵様」
「何だ」
「卒院する子達の事はある意味終わりましたけど、今孤児院にいる子達はどうなさるおつもりでしょうか」
「それな。引退した騎士には声をかけた。良い返事がくるかは分からんが」
「はい」
「文字の読み書きも我々がと言う訳にはいかない。誰か教えてくれる人が必要だと思う」
「それなら家庭教師を引退なさった方などどうでしょう」
「家庭教師か」
「文字の読み書きは勿論ですがこの国の歴史から他国の言葉まで教える事が出来ますし、淑女教育として刺繍を教えたりします」
「そうだな」
「はい。貴族の子供達には家庭教師を付けます。その方達に声をかけるのはどうでしょう」
「うむ。それがいいな」
「では私の方で声をおかけしてもよろしいでしょうか」
「頼めるか」
「私の方が前侯爵様よりも声をかけやすいかと。女性が多いですし」
「そうだな。よろしく頼む」
「はい」
「5箇所ある孤児院全てに毎日通って貰うのは悪いが、都合のつく時だけでもお願いできればな」
「はい、そう思います」
「後は年長者が下の子達に教える、本来の形になれば良いが」
「まだまだ先の長い話ですが、それが理想ですね」
「ああ」
「本来シスターが教え、年長者が下の子達の面倒を見る。今のシスターには教える能力がないのでしょうか」
「どうだろうな。シスターは育った孤児院の子達がなる事が多い。だがそれでも必要最低限文字の読み書きは出来るはずだが」
「そうですわね。シスターになるにも難しいはずです」
「なり手がいなければそれも無いに等しいのかもしれんな」
「はい」
「後はシスターはする事が多い。赤子が入れば赤子に一人は取られる。食事の準備も年長者が手伝うと言っても人数が多ければ大変だろう。セイリーン孤児院みたいにな」
「はい。一箇所に子供達が集まり過ぎてる気もします」
「セイリーン孤児院はこの国で初めて出来た孤児院だ。どうしても人数が多いのは仕方ないだろう。それにだ、セイリーン孤児院は平民の居住区の中にありあの辺りはこの国一番の広さだからな」
「はい」
「その代わり貴族の居住区近くにあるユナリーン孤児院は人数が少ない。その分シスターも少ないが一人で見る人数はセイリーン孤児院の方が多いだろう。例えセイリーン孤児院のシスターが多くともだ」
「そうですね」
「その辺も手が出せれば良いがな」
「はい」
「だがシスターになると言う事は婚姻は出来ない」
「神に捧げますから」
「今日若い子達と話してみて、今の若い子達がシスターになりたいと思う子達がいない事は良く分かった」
「そうですね」
「シスターのなり手不足は問題だな」
「領地とかでは旦那様が亡くなって未亡人の方がシスターになる方が多いですものね」
「そうだな。王都の孤児院では無理だろうな。未亡人になってもたくましく働いているからな、良い事だが」
「はい。貴族の未亡人の方も領地で過ごしていたり、後妻として嫁いだり、自分で起ち上げたお店を出したりしますから」
「良い事なのだがな。女性が自立出来る為に変わった法だ。爵位を女性が継ぐ事が出来るしな」
「はい」
「それ故、シスター不足も時代の流れと言う事か」
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