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「ガイン、何度も悪いけどさっき呼んだ子達を順に呼んで来て貰えるかな?」
「分かりました」
「先ずはユナリーンの子からお願い出来る?」
「はい。直ぐに呼んで参ります」
直ぐにユシュが入って来た。ガインは次の子を呼びに行ったみたい。
「ユシュ、座って?」
「はい」
「君の話を聞いて我々が出した結論を今から伝えるけど、決定するのは君自身だ。嫌なら嫌と言ってくれて構わない。分かったかな?」
「はい」
「ユシュ、君には卒院してからここの家、キャメル侯爵家で勉学を学んで貰う。ここの家には賢い人が多くて、教える人は沢山いる。住み込みという形になるからここの家の当主の紹介だけするね?」
「はい」
「エミリーヌ」
私はチャーリーの横に立ち、
「ユシュ、当主のエミリーヌだ。俺もいずれ婿養子としてこの邸に住む事になるけど、今は一緒に住んでないから、これからはエミリーヌの指示に従う事になる」
「はい」
「それでユシュの答えは?」
「お世話になって良いのならお願いします。何でもやります」
「よろしくね?」
「はい」
「卒院する日に迎えを出すわ。それまでにユシュの住む部屋を準備しておくわね?使用人部屋になるけど勉強は違う部屋で受けて貰うつもりよ? 教える人はいるから大丈夫よ?」
「はい、お願いします」
「俺から一つ宿題だよ?どんな本でも良いから毎日一冊読む事。出来る?」
「はい」
ユシュが出て行き、
「次はエンリーン孤児院のエナンです。お入れします」
「ガイン、ありがとう。頼む」
エナンは入って来た。
「エナン、座って?」
「ああ」
「君の話を聞いて我々の出した結論を伝えるよ?但し決めるのは君自身だ。良いね?」
「うん」
「エナンは庭師になりたいと言ったけど、庭師に弟子入りは出来ても跡を継いだり、貴族の邸で庭師として雇う事は難しいんだ。庭師は親から子へ代々受け継いでいくからね。生涯弟子で良いと言うならそれでも良い。 もし、花を育てたい、土いじりがしたいと思うなら俺の家の領地へ来ないか?俺の家の領地は薔薇を栽培していてね、見渡す限り薔薇畑なんだよ。切り花としても栽培してるし、薔薇を加工して商品にしてるんだ。 どうだろう? 嫌なら嫌とはっきり言って構わないよ?」
「領地って事はここから離れるのか?」
「そうだね。遠くはないけど王都に住みながらは難しいかな。もし領地へ来るなら領民になって貰うからね」
「領民になって良い所は?」
「働く場所がある。それに領民を護るのが我々貴族の義務だ。君は好きな事が出来てお金を稼げる、そして護られる民になる。王都程栄えてはないけど生活する分には支障はないよ?
ただ、毎日同じ仕事の繰り返しだ。花が本当に好きじゃないと続ける事は出来ない。それか仕事として割り切るかだな」
「住む所は?」
「宿舎で良ければ用意出来るよ? 出稼ぎで来る者や王都から流れて来た者達が住んでる所だけど、一人一人個室だし、お風呂とかトイレは共同になるけど、その代わり洗濯や食事は別に雇ってるからする必要はない」
「そうか」
「それでどうする?」
「うん、良い話だと思う。だけど、迷ってる」
「何を迷ってるか聞かせて貰える?」
「俺に出来るのか…。 花は好きだ。土いじりだって苦にならない。 だけど…」
「なら一度領地へ行って体験してみるかい?」
「良いのか?」
「良いよ。体験して働けると思ってから決めて良い。もし無理なら生涯弟子以上にはなれないけど庭師になれば良いしね」
「うん」
「それならそうだな…、明後日迎えに行くよ。朝早く出るからね?」
「分かった」
「後で君の所のシスターに手紙を書くから渡してね?」
「分かった」
エナンが出て行き、続いてセナムが入って来た。
「セナム、座って?」
セナムが無言で座り、
「君の絵を見て我々の結論を伝えるよ?」
「………」
「今は保留」
「は?」
「絵心のある人に見て貰う。今ここにいる人の中に絵の良し悪しが分かる者はいない」
「何だよ、結局それかよ」
「君は画家になりたいんだろ?それなら絵を見て判断を仰ぐに越したことはない。その人が画家になる才能があると判断したなら他国にある絵の学校へ通って貰う。もし画家になるのは難しいと判断されたら、隣国へ行って貰おうと思う」
「隣国?」
「俺はミリー商会の経営者なんだけど、ミリー商会は元々隣国が拠点なんだ。今、本店のミリー商会で絵を描ける者が一人しか居なくてね、探していたんだ」
「そこで何をする」
「絵を描いて貰う。 本店ではドレスの貸し出しを始めたんだが思うように伸び悩んでね、それならいっそドレスを着た姿を絵で描いているんだ。貸し出しではないからその場限りだけど、それでも平民には当たってね。 今は一人しか絵を描ける者がいないから順番待ちなんだ。君は特徴を捉えて描けるみたいだし」
「そっちの方が面白いな」
「画家は諦めるかい?」
「別に絵が描ければ画家にこだわりはない」
「そうか。なら隣国へ行くかい?」
「ああ」
「卒院まで待っても良いし直ぐにでも良いけど」
「なら直ぐに行きたい」
「それで良いのか?」
「ああ。俺の孤児院は人数が多いから早く出れるなら早く出た方が良い」
「そうか。一月後、隣国から荷がこちらへ来る事になっている。帰って行く荷馬車へ乗って行く事になるけど」
「それで良い」
「分かった。ならそれで進めるよ?」
「ああ」
「向こうで働いてる者達は皆君と同じ孤児院育ちだ。だけど俺は目上の人に対しての態度には五月蝿くてね。おまけに客商売だ。君の言葉使い一つで客はいなくなりミリー商会が潰れる事もある。始めは言葉使いから教育して貰うからそのつもりで」
「分かった」
「分かりました」
「先ずはユナリーンの子からお願い出来る?」
「はい。直ぐに呼んで参ります」
直ぐにユシュが入って来た。ガインは次の子を呼びに行ったみたい。
「ユシュ、座って?」
「はい」
「君の話を聞いて我々が出した結論を今から伝えるけど、決定するのは君自身だ。嫌なら嫌と言ってくれて構わない。分かったかな?」
「はい」
「ユシュ、君には卒院してからここの家、キャメル侯爵家で勉学を学んで貰う。ここの家には賢い人が多くて、教える人は沢山いる。住み込みという形になるからここの家の当主の紹介だけするね?」
「はい」
「エミリーヌ」
私はチャーリーの横に立ち、
「ユシュ、当主のエミリーヌだ。俺もいずれ婿養子としてこの邸に住む事になるけど、今は一緒に住んでないから、これからはエミリーヌの指示に従う事になる」
「はい」
「それでユシュの答えは?」
「お世話になって良いのならお願いします。何でもやります」
「よろしくね?」
「はい」
「卒院する日に迎えを出すわ。それまでにユシュの住む部屋を準備しておくわね?使用人部屋になるけど勉強は違う部屋で受けて貰うつもりよ? 教える人はいるから大丈夫よ?」
「はい、お願いします」
「俺から一つ宿題だよ?どんな本でも良いから毎日一冊読む事。出来る?」
「はい」
ユシュが出て行き、
「次はエンリーン孤児院のエナンです。お入れします」
「ガイン、ありがとう。頼む」
エナンは入って来た。
「エナン、座って?」
「ああ」
「君の話を聞いて我々の出した結論を伝えるよ?但し決めるのは君自身だ。良いね?」
「うん」
「エナンは庭師になりたいと言ったけど、庭師に弟子入りは出来ても跡を継いだり、貴族の邸で庭師として雇う事は難しいんだ。庭師は親から子へ代々受け継いでいくからね。生涯弟子で良いと言うならそれでも良い。 もし、花を育てたい、土いじりがしたいと思うなら俺の家の領地へ来ないか?俺の家の領地は薔薇を栽培していてね、見渡す限り薔薇畑なんだよ。切り花としても栽培してるし、薔薇を加工して商品にしてるんだ。 どうだろう? 嫌なら嫌とはっきり言って構わないよ?」
「領地って事はここから離れるのか?」
「そうだね。遠くはないけど王都に住みながらは難しいかな。もし領地へ来るなら領民になって貰うからね」
「領民になって良い所は?」
「働く場所がある。それに領民を護るのが我々貴族の義務だ。君は好きな事が出来てお金を稼げる、そして護られる民になる。王都程栄えてはないけど生活する分には支障はないよ?
ただ、毎日同じ仕事の繰り返しだ。花が本当に好きじゃないと続ける事は出来ない。それか仕事として割り切るかだな」
「住む所は?」
「宿舎で良ければ用意出来るよ? 出稼ぎで来る者や王都から流れて来た者達が住んでる所だけど、一人一人個室だし、お風呂とかトイレは共同になるけど、その代わり洗濯や食事は別に雇ってるからする必要はない」
「そうか」
「それでどうする?」
「うん、良い話だと思う。だけど、迷ってる」
「何を迷ってるか聞かせて貰える?」
「俺に出来るのか…。 花は好きだ。土いじりだって苦にならない。 だけど…」
「なら一度領地へ行って体験してみるかい?」
「良いのか?」
「良いよ。体験して働けると思ってから決めて良い。もし無理なら生涯弟子以上にはなれないけど庭師になれば良いしね」
「うん」
「それならそうだな…、明後日迎えに行くよ。朝早く出るからね?」
「分かった」
「後で君の所のシスターに手紙を書くから渡してね?」
「分かった」
エナンが出て行き、続いてセナムが入って来た。
「セナム、座って?」
セナムが無言で座り、
「君の絵を見て我々の結論を伝えるよ?」
「………」
「今は保留」
「は?」
「絵心のある人に見て貰う。今ここにいる人の中に絵の良し悪しが分かる者はいない」
「何だよ、結局それかよ」
「君は画家になりたいんだろ?それなら絵を見て判断を仰ぐに越したことはない。その人が画家になる才能があると判断したなら他国にある絵の学校へ通って貰う。もし画家になるのは難しいと判断されたら、隣国へ行って貰おうと思う」
「隣国?」
「俺はミリー商会の経営者なんだけど、ミリー商会は元々隣国が拠点なんだ。今、本店のミリー商会で絵を描ける者が一人しか居なくてね、探していたんだ」
「そこで何をする」
「絵を描いて貰う。 本店ではドレスの貸し出しを始めたんだが思うように伸び悩んでね、それならいっそドレスを着た姿を絵で描いているんだ。貸し出しではないからその場限りだけど、それでも平民には当たってね。 今は一人しか絵を描ける者がいないから順番待ちなんだ。君は特徴を捉えて描けるみたいだし」
「そっちの方が面白いな」
「画家は諦めるかい?」
「別に絵が描ければ画家にこだわりはない」
「そうか。なら隣国へ行くかい?」
「ああ」
「卒院まで待っても良いし直ぐにでも良いけど」
「なら直ぐに行きたい」
「それで良いのか?」
「ああ。俺の孤児院は人数が多いから早く出れるなら早く出た方が良い」
「そうか。一月後、隣国から荷がこちらへ来る事になっている。帰って行く荷馬車へ乗って行く事になるけど」
「それで良い」
「分かった。ならそれで進めるよ?」
「ああ」
「向こうで働いてる者達は皆君と同じ孤児院育ちだ。だけど俺は目上の人に対しての態度には五月蝿くてね。おまけに客商売だ。君の言葉使い一つで客はいなくなりミリー商会が潰れる事もある。始めは言葉使いから教育して貰うからそのつもりで」
「分かった」
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