136 / 187
135
しおりを挟む
「あんた達に教えてやるよ。
子は神から与えられた贈り物だ。宿った子の命はとても神聖な命で、神が与えた命だ。
あんた達は神が与えた神聖な命と言う贈り物を虐げ蔑ろにしたんだ。罰が下るのも当たり前だ。 神は平等に人を裁く。清い心を持てば幸福を届ける。醜い心を持てば不幸を届ける。
あんた達は己で、己の意思で神に喧嘩を売った。今のあんた達の状況はその結果だ」
「なっ」
「あんた達は自分の保身を護る為に、立派な人間だと、立派な親だと周りから認めて貰う為に、我が子を犠牲にした。エミリーヌを非道な子にして、サラフィスには惜しみない愛情を注いで。
だけど一つだけ計算が狂った。非道な子としてエミリーヌを仕立て上げたはずだったのに、エミリーヌは時期当主として当主の代わりにキャメル侯爵家を立て直した。あんた達みたいに馬鹿な貴族は殆どいない。エミリーヌは非道な子ではなく、当主の代わりにやらされてる親に虐げられてる子だと言われる様になった。
あんた達が派手に使うお金を稼ぎ、出来損ないの当主の代わりにまだ学園にも通ってない少女がキャメル侯爵家を切り盛りしている。賢い子だから目の敵にされているのではないかと心配する者もいた。
あんた達は派手にやり過ぎた。何の得にもならない壺や絵画を集め、ドレスや宝石で着飾り、社交に足繁く通った。連れて歩くのは妹の方だけ、姉は一切邸から出さなかった。
あんた達は貴族に何て呼ばれているのか知ってるか? 娘に自分の代わりをさせ、何の得にもならない目利きだけを持った残念侯爵、それに同じ娘でも妹しか愛さない母親。 非道な子と言っていた娘に非道な事をしているのはどちらだと。 庇護下で護るべき子を邸に閉じ込め、自分達が使うお金を稼がせ、親の義務も果たさず子を蔑ろにして虐げてると。
貴族は知っている、見ている。どちらが極悪非道な者か。あんた達を助ける者はいない。あんた達に手を差し伸べる者などいない。
あんた達を見捨てず助けてきたのは、あんた達が蔑ろにして虐げてきたエミリーヌだけだった」
「なら今回も見捨てないはずだ。エミリーヌは私達を捨てない」
「いや、俺が捨てさせる。あんた達を俺がエミリーヌに捨てさせる。 あんた達はエミリーヌを己の意思で捨てたんだ。今更虫のいい話が通る訳がない」
「お前には関係ない」
「関係ある。俺はエミリーヌの婚約者だ。それに今迄あんた達からエミリーヌを護ってきたグレンさんから譲り受けた。あんた達からエミリーヌをエミリーヌの心を護ると、そして傷ついたエミリーヌを癒やすと。
俺がエミリーヌにあんた達を捨てさせて、エミリーヌが傷ついたなら俺が、俺の愛情でエミリーヌの傷を治す。側で寄り添いエミリーヌを優しく包む。俺の愛する女性を、俺の愛しい女性を、俺の慈しむ女性を長年に渡り虐げたあんた達を俺は一生許さない」
「何だと」
「あんた達みたいな親なら居ない方がましだ。自分を護る事しか考えてない、己可愛さに誰を傷つけようと構わない、我が子を平気で傷つける親なんて必要ない。
愛情は俺が惜しみなく注ぐ。それに親の愛情は俺の父上と母上が惜しみなく注いでいる。 さっきも言ったが、親の愛情は産んだ産まないじゃない。接する事で情が生まれ愛情になる。俺の父上と母上はエミリーヌを愛しい娘だと言い、見返りを求めない愛を注いでいる。
あんた達みたいに、エミリーヌから全て奪うのではなく、惜しみなく与えるのが親だ」
「生意気な、」
「生意気で結構。俺は愛するエミリーヌを護る為なら悪にもなれる」
「ふん、宰相の息子ならお前だって快楽に溺れた奴じゃないか」
「そうだ。俺は快楽に溺れて結果、地獄を見た。だけどな、俺は自分の力で地獄から這い上がってきた。だからこうしてまた貴族として認められた。
あんたも悔しかったら自分の力で這い上がってこればいい」
「ふん。お前じゃ話にならない。エミリーヌと話をさせろ」
「嫌です」
「何だと。私はエミリーヌの父親だ」
「だから何です」
「父親が娘と話をさせろと言っている」
「勝手のいい時だけ父親面ですか。貴方はエミリーヌを自分の子ではないと、娘ではないと言いました」
「エミリーヌは私の娘だ」
「ならどうしてエミリーヌが産まれた時に娘だと認めなかったのですか」
「それは…」
「自分を護る為に娘のエミリーヌを犠牲にして、蔑ろにし虐げた者に父親と言う資格はありません」
「自分の娘に何をしようと関係ない」
「エミリーヌは貴方の思い通りに動く道具じゃない。心を持った人です。例え貴方の娘であってもエミリーヌはエミリーヌという一個人です」
「娘を蔑ろにした訳ではない。虐げた訳ではない。私は躾をしただけだ」
「躾?貴方がした事は躾ではない、虐待だ。
人を人として扱わず、自分を護る為だけに作り上げた人形にしただけだ。心を持たぬ様に赤子の時から言葉で態度でエミリーヌを縛りつけ、貴方は自分自身だけ護れればそれで良かった」
子は神から与えられた贈り物だ。宿った子の命はとても神聖な命で、神が与えた命だ。
あんた達は神が与えた神聖な命と言う贈り物を虐げ蔑ろにしたんだ。罰が下るのも当たり前だ。 神は平等に人を裁く。清い心を持てば幸福を届ける。醜い心を持てば不幸を届ける。
あんた達は己で、己の意思で神に喧嘩を売った。今のあんた達の状況はその結果だ」
「なっ」
「あんた達は自分の保身を護る為に、立派な人間だと、立派な親だと周りから認めて貰う為に、我が子を犠牲にした。エミリーヌを非道な子にして、サラフィスには惜しみない愛情を注いで。
だけど一つだけ計算が狂った。非道な子としてエミリーヌを仕立て上げたはずだったのに、エミリーヌは時期当主として当主の代わりにキャメル侯爵家を立て直した。あんた達みたいに馬鹿な貴族は殆どいない。エミリーヌは非道な子ではなく、当主の代わりにやらされてる親に虐げられてる子だと言われる様になった。
あんた達が派手に使うお金を稼ぎ、出来損ないの当主の代わりにまだ学園にも通ってない少女がキャメル侯爵家を切り盛りしている。賢い子だから目の敵にされているのではないかと心配する者もいた。
あんた達は派手にやり過ぎた。何の得にもならない壺や絵画を集め、ドレスや宝石で着飾り、社交に足繁く通った。連れて歩くのは妹の方だけ、姉は一切邸から出さなかった。
あんた達は貴族に何て呼ばれているのか知ってるか? 娘に自分の代わりをさせ、何の得にもならない目利きだけを持った残念侯爵、それに同じ娘でも妹しか愛さない母親。 非道な子と言っていた娘に非道な事をしているのはどちらだと。 庇護下で護るべき子を邸に閉じ込め、自分達が使うお金を稼がせ、親の義務も果たさず子を蔑ろにして虐げてると。
貴族は知っている、見ている。どちらが極悪非道な者か。あんた達を助ける者はいない。あんた達に手を差し伸べる者などいない。
あんた達を見捨てず助けてきたのは、あんた達が蔑ろにして虐げてきたエミリーヌだけだった」
「なら今回も見捨てないはずだ。エミリーヌは私達を捨てない」
「いや、俺が捨てさせる。あんた達を俺がエミリーヌに捨てさせる。 あんた達はエミリーヌを己の意思で捨てたんだ。今更虫のいい話が通る訳がない」
「お前には関係ない」
「関係ある。俺はエミリーヌの婚約者だ。それに今迄あんた達からエミリーヌを護ってきたグレンさんから譲り受けた。あんた達からエミリーヌをエミリーヌの心を護ると、そして傷ついたエミリーヌを癒やすと。
俺がエミリーヌにあんた達を捨てさせて、エミリーヌが傷ついたなら俺が、俺の愛情でエミリーヌの傷を治す。側で寄り添いエミリーヌを優しく包む。俺の愛する女性を、俺の愛しい女性を、俺の慈しむ女性を長年に渡り虐げたあんた達を俺は一生許さない」
「何だと」
「あんた達みたいな親なら居ない方がましだ。自分を護る事しか考えてない、己可愛さに誰を傷つけようと構わない、我が子を平気で傷つける親なんて必要ない。
愛情は俺が惜しみなく注ぐ。それに親の愛情は俺の父上と母上が惜しみなく注いでいる。 さっきも言ったが、親の愛情は産んだ産まないじゃない。接する事で情が生まれ愛情になる。俺の父上と母上はエミリーヌを愛しい娘だと言い、見返りを求めない愛を注いでいる。
あんた達みたいに、エミリーヌから全て奪うのではなく、惜しみなく与えるのが親だ」
「生意気な、」
「生意気で結構。俺は愛するエミリーヌを護る為なら悪にもなれる」
「ふん、宰相の息子ならお前だって快楽に溺れた奴じゃないか」
「そうだ。俺は快楽に溺れて結果、地獄を見た。だけどな、俺は自分の力で地獄から這い上がってきた。だからこうしてまた貴族として認められた。
あんたも悔しかったら自分の力で這い上がってこればいい」
「ふん。お前じゃ話にならない。エミリーヌと話をさせろ」
「嫌です」
「何だと。私はエミリーヌの父親だ」
「だから何です」
「父親が娘と話をさせろと言っている」
「勝手のいい時だけ父親面ですか。貴方はエミリーヌを自分の子ではないと、娘ではないと言いました」
「エミリーヌは私の娘だ」
「ならどうしてエミリーヌが産まれた時に娘だと認めなかったのですか」
「それは…」
「自分を護る為に娘のエミリーヌを犠牲にして、蔑ろにし虐げた者に父親と言う資格はありません」
「自分の娘に何をしようと関係ない」
「エミリーヌは貴方の思い通りに動く道具じゃない。心を持った人です。例え貴方の娘であってもエミリーヌはエミリーヌという一個人です」
「娘を蔑ろにした訳ではない。虐げた訳ではない。私は躾をしただけだ」
「躾?貴方がした事は躾ではない、虐待だ。
人を人として扱わず、自分を護る為だけに作り上げた人形にしただけだ。心を持たぬ様に赤子の時から言葉で態度でエミリーヌを縛りつけ、貴方は自分自身だけ護れればそれで良かった」
188
お気に入りに追加
2,538
あなたにおすすめの小説

復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

私は家のことにはもう関わりませんから、どうか可愛い妹の面倒を見てあげてください。
木山楽斗
恋愛
侯爵家の令嬢であるアルティアは、家で冷遇されていた。
彼女の父親は、妾とその娘である妹に熱を上げており、アルティアのことは邪魔とさえ思っていたのである。
しかし妾の子である意網を婿に迎える立場にすることは、父親も躊躇っていた。周囲からの体裁を気にした結果、アルティアがその立場となったのだ。
だが、彼女は婚約者から拒絶されることになった。彼曰くアルティアは面白味がなく、多少わがままな妹の方が可愛げがあるそうなのだ。
父親もその判断を支持したことによって、アルティアは家に居場所がないことを悟った。
そこで彼女は、母親が懇意にしている伯爵家を頼り、新たな生活をすることを選んだ。それはアルティアにとって、悪いことという訳ではなかった。家の呪縛から解放された彼女は、伸び伸びと暮らすことにするのだった。
程なくして彼女の元に、婚約者が訪ねて来た。
彼はアルティアの妹のわがままさに辟易としており、さらには社交界において侯爵家が厳しい立場となったことを伝えてきた。妾の子であるということを差し引いても、甘やかされて育ってきた妹の評価というものは、高いものではなかったのだ。
戻って来て欲しいと懇願する婚約者だったが、アルティアはそれを拒絶する。
彼女にとって、婚約者も侯爵家も既に助ける義理はないものだったのだ。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる