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「エミリーヌよ、入って参れ」
私はチャーリーに手を繋がれ小部屋から出た。小部屋は陛下が座る椅子の真横にあったらしく、私より下にお祖父様とお父様とお母様が居た。
「エミリーヌよ、お主は私の横におれば良い。チャーリー、エミリーヌを側で支えるのだぞ」
「はい、国王陛下」
「エミリーヌよ、お主は何も気にするな。良いな?」
「……はい」
「これは私の臣下に下す裁きだ」
「……はい」
「私の臣下に未熟者はいらぬ」
「……はい」
「そして私は子を虐げる非道な親は許せぬ」
「……はい」
「お主が許したとしても私が許せぬのだ」
「……はい」
「私はこの国の王として庇護下で護る子を虐げ、親の義務を果たさぬ者に罰を下さないとならぬ。それが王としても私の責務なのだ」
「……はい」
「どの様な裁きを下したとしてもお主には何も責任はない。責任を持つのは裁きを下す私なのだ。良いな」
「……はい」
「チャーリー、良いな」
「はい」
チャーリーは私の肩を抱いて私を抱き寄せた。
「お主等に裁き下す」
陛下はお父様とお母様の方を向いている。
「元侯爵、元侯爵夫人、お主等は貴族籍を抜き、平民とする」
「そん……」
「黙れ!」
「………」
「今後、キャメル侯爵家とは一切の関わりを禁ずる。当主のエミリーヌは勿論だが、前侯爵、前侯爵夫人との接触を禁ずる。もし私の命を違えた場合、最も重い重罪にすると思え」
「………」
「それからお主等は私が指定する領地へ出向き領民と同様に働いて貰う。お主等が出向く領地は常に死と隣り合わせの所だ。己の心の油断が死に繋がる危険な場所だ。誰も助けてはくれぬ。お主等の様な己の保身しか考えぬ者には調度良い所ではないか、なあそう思わぬか?
先ずは辺境から行って貰おうか。
夫人には力仕事は出来ぬだろうからな、出向いた領地にある孤児院のシスターとして手伝いをして貰う。自分の子では無い子を慈しみ愛さなければシスターなど出来ぬぞ。
お主等には常に監視が付いておる。私の大事な民に何かしてみろ、直ぐに地獄を見せてやる。
お主等の裁きは終わった。本日より準備が整うまでの数日は王宮の牢屋で過ごして貰う。そこで少し心構えの勉強を受けて貰う。夫人は特にシスターの厳しい決まり事を習わせる。
二人を連れて行け」
「お、お待ち下さい、陛下」
「何だ」
「え、エミリーヌと少し話を、話をさせて下さい」
「話す事など無いだろう」
「お願いします」
「はぁぁ、分かった」
「ありがとうございます。
エミリーヌ、お前は私達が平民になる事も何処か遠くへ行く事も嫌だよな。嫌だと言うよな? ここまで育てたのは私達だ。私達に恩があるだろう?陛下に言うのだ、私達を平民にするなと。さあ早く言え」
「お父様……」
「エミリーヌ、お母様は貴女を愛しているのよ?分かるわよね?貴女は私のお腹の中に居たのだもの。貴女をお腹を痛めて産んだのは私よ?私が産まなければ貴女は今ここに居ないのよ? 貴女もお母様を愛してくれてるでしょ?そうでしょ?お母様を見捨てる酷い子ではないでしょ?」
「お母様……」
「エミリーヌ!私の子が分からないお前を育てたのだ。ここで恩を返さずお前はいつ返す。忌々しいお前を邸に住まわせたのは誰だと思っている。捨てる事も出来たのに捨てずに住まわせ食わせてやったのは私だ。父上じゃない、この私だ」
「何を勝手な…」
私を抱き寄せるチャーリー手に力が入る。
「早く陛下に言え。私を侯爵に戻し、当主を辞退すると。お前が当主などなれる訳がない。ついでにサラフィスを貴族に戻す様にお願いしろ。私の娘はサラフィスだけだ。私の跡を継ぐのはサラフィスだ。代わりにお前が平民になれば良い。私が当主に戻ったらお前を平民にしてやるからな。早く陛下に言うのだ。当主に相応しいのは私だと」
「陛下、」
「構わぬ」
「言葉が荒くなりますが」
「構わぬ」
「ありがとうございます」
チャーリーは私の前に立ち、私をお父様とお母様から隠した。
「さっきから聞いていれば何を勝手な事を」
「お前には関係ない。それにお前は誰だ」
「俺はエミリーヌの婚約者ですよ。それに宰相は俺の父上です。 そんな事より何を勝手な事ばかり言ってるんだあんた達は。エミリーヌが自分の子じゃない?馬鹿馬鹿しい。髪の色も瞳の色も同じで、エミリーヌはあんたに似ている。それに頭の賢さは前侯爵譲りだ。前侯爵の血がエミリーヌに流れてる。
エミリーヌを見ようともしないあんたが、エミリーヌを認めようとしないあんたが、エミリーヌにだけ恩を返せとは良く言えたものだ。育てた?飯を食わせた?そんなの当たり前だ。あんたは親だ。親の義務を最低限しただけだ。恩を返す義理は子には無い。
それにだ、エミリーヌを育てたのは前侯爵と前侯爵夫人、執事のジムさんとメイドのメイさん、兄の様に側でエミリーヌをエミリーヌの心を護ってきたのは騎士のグレンさんだ、あんたじゃない。 あんた達に傷つけられても生きてこれたのは前侯爵の愛情とグレンさんが兄としてエミリーヌの心に寄り添い護ってきたからだ。
あんた達は己可愛さにエミリーヌを傷つけ、己を護る為にエミリーヌを蔑ろにした」
私はチャーリーに手を繋がれ小部屋から出た。小部屋は陛下が座る椅子の真横にあったらしく、私より下にお祖父様とお父様とお母様が居た。
「エミリーヌよ、お主は私の横におれば良い。チャーリー、エミリーヌを側で支えるのだぞ」
「はい、国王陛下」
「エミリーヌよ、お主は何も気にするな。良いな?」
「……はい」
「これは私の臣下に下す裁きだ」
「……はい」
「私の臣下に未熟者はいらぬ」
「……はい」
「そして私は子を虐げる非道な親は許せぬ」
「……はい」
「お主が許したとしても私が許せぬのだ」
「……はい」
「私はこの国の王として庇護下で護る子を虐げ、親の義務を果たさぬ者に罰を下さないとならぬ。それが王としても私の責務なのだ」
「……はい」
「どの様な裁きを下したとしてもお主には何も責任はない。責任を持つのは裁きを下す私なのだ。良いな」
「……はい」
「チャーリー、良いな」
「はい」
チャーリーは私の肩を抱いて私を抱き寄せた。
「お主等に裁き下す」
陛下はお父様とお母様の方を向いている。
「元侯爵、元侯爵夫人、お主等は貴族籍を抜き、平民とする」
「そん……」
「黙れ!」
「………」
「今後、キャメル侯爵家とは一切の関わりを禁ずる。当主のエミリーヌは勿論だが、前侯爵、前侯爵夫人との接触を禁ずる。もし私の命を違えた場合、最も重い重罪にすると思え」
「………」
「それからお主等は私が指定する領地へ出向き領民と同様に働いて貰う。お主等が出向く領地は常に死と隣り合わせの所だ。己の心の油断が死に繋がる危険な場所だ。誰も助けてはくれぬ。お主等の様な己の保身しか考えぬ者には調度良い所ではないか、なあそう思わぬか?
先ずは辺境から行って貰おうか。
夫人には力仕事は出来ぬだろうからな、出向いた領地にある孤児院のシスターとして手伝いをして貰う。自分の子では無い子を慈しみ愛さなければシスターなど出来ぬぞ。
お主等には常に監視が付いておる。私の大事な民に何かしてみろ、直ぐに地獄を見せてやる。
お主等の裁きは終わった。本日より準備が整うまでの数日は王宮の牢屋で過ごして貰う。そこで少し心構えの勉強を受けて貰う。夫人は特にシスターの厳しい決まり事を習わせる。
二人を連れて行け」
「お、お待ち下さい、陛下」
「何だ」
「え、エミリーヌと少し話を、話をさせて下さい」
「話す事など無いだろう」
「お願いします」
「はぁぁ、分かった」
「ありがとうございます。
エミリーヌ、お前は私達が平民になる事も何処か遠くへ行く事も嫌だよな。嫌だと言うよな? ここまで育てたのは私達だ。私達に恩があるだろう?陛下に言うのだ、私達を平民にするなと。さあ早く言え」
「お父様……」
「エミリーヌ、お母様は貴女を愛しているのよ?分かるわよね?貴女は私のお腹の中に居たのだもの。貴女をお腹を痛めて産んだのは私よ?私が産まなければ貴女は今ここに居ないのよ? 貴女もお母様を愛してくれてるでしょ?そうでしょ?お母様を見捨てる酷い子ではないでしょ?」
「お母様……」
「エミリーヌ!私の子が分からないお前を育てたのだ。ここで恩を返さずお前はいつ返す。忌々しいお前を邸に住まわせたのは誰だと思っている。捨てる事も出来たのに捨てずに住まわせ食わせてやったのは私だ。父上じゃない、この私だ」
「何を勝手な…」
私を抱き寄せるチャーリー手に力が入る。
「早く陛下に言え。私を侯爵に戻し、当主を辞退すると。お前が当主などなれる訳がない。ついでにサラフィスを貴族に戻す様にお願いしろ。私の娘はサラフィスだけだ。私の跡を継ぐのはサラフィスだ。代わりにお前が平民になれば良い。私が当主に戻ったらお前を平民にしてやるからな。早く陛下に言うのだ。当主に相応しいのは私だと」
「陛下、」
「構わぬ」
「言葉が荒くなりますが」
「構わぬ」
「ありがとうございます」
チャーリーは私の前に立ち、私をお父様とお母様から隠した。
「さっきから聞いていれば何を勝手な事を」
「お前には関係ない。それにお前は誰だ」
「俺はエミリーヌの婚約者ですよ。それに宰相は俺の父上です。 そんな事より何を勝手な事ばかり言ってるんだあんた達は。エミリーヌが自分の子じゃない?馬鹿馬鹿しい。髪の色も瞳の色も同じで、エミリーヌはあんたに似ている。それに頭の賢さは前侯爵譲りだ。前侯爵の血がエミリーヌに流れてる。
エミリーヌを見ようともしないあんたが、エミリーヌを認めようとしないあんたが、エミリーヌにだけ恩を返せとは良く言えたものだ。育てた?飯を食わせた?そんなの当たり前だ。あんたは親だ。親の義務を最低限しただけだ。恩を返す義理は子には無い。
それにだ、エミリーヌを育てたのは前侯爵と前侯爵夫人、執事のジムさんとメイドのメイさん、兄の様に側でエミリーヌをエミリーヌの心を護ってきたのは騎士のグレンさんだ、あんたじゃない。 あんた達に傷つけられても生きてこれたのは前侯爵の愛情とグレンさんが兄としてエミリーヌの心に寄り添い護ってきたからだ。
あんた達は己可愛さにエミリーヌを傷つけ、己を護る為にエミリーヌを蔑ろにした」
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