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私はチャーリーと王宮の庭園を散歩しながら会いたいか、会いたくないか、考えている。
「エリーは会いたいの?」
「うん…、正直会いたくない」
「なら帰ろう。無理して会う必要はない」
「でもね、会いたくないけど、会わないと何となく先に進めない気がするの」
「エリーは進めてるよ?」
「それでも今はあの人達から逃げてるわ」
「エリーそれは違う。逃げてるんじゃない、エリーの心を護る為に距離を置いてるんだ」
「でもそれって結局は逃げてるって事じゃない。会わない様にチャーリーの家に住んで、お祖父様に家の事を押し付けて、私、当主なのに、今の状態は当主なのに何もしなかったお父様と同じ事をしてるわ。
チャーリーやローラ母様、アーサー父様に護られ、お祖父様に護られ、私は家の事を放り投げてる」
「それならご両親に会うのか?会わなくても、陛下が裁きを下したら侯爵家からは追い出される。ご両親が居なくなれば侯爵家に戻れるんだ」
「そうよ、でも、私も前に進みたいの。チャーリーが進んだ様に、アイリーン様が進んだ様に、私も進みたい」
「ご両親に会えば進めるのか?」
「それは分からない…。けど何となくだけど、そんな気がするの。私は親から愛されてない、それは認めたわ。無償の愛はローラ母様やアーサー父様から貰えたわ。私は親の愛情は血の繋がりじゃなくて思う気持ちってチャーリーのお祖母様から教えて貰ったわ。
私、少しは強くなったの。皆の愛情が温もりが私を強くしたわ。当主として裁きを見届ける義務があると思うの。
だけど、ちょっとだけ怖い………」
チャーリーは私を抱き締めた。
「怖いのに会いたいの?」
「分からない」
「分かった。なら会おう。俺が側に居る、エリーを護る」
「チャーリー……」
「もし俺が文句を言っても怒らないでね?」
「怒らないわよ」
「嫌いにならない?」
「ならない。嬉しい」
「エリーが自分の中で区切りを付ける為だ、今度は俺が何を言われても一緒に聞く、そして傷ついたら癒やしてあげる。だから一緒に乗り越えよう」
「ありがとう」
チャーリーの唇が私の唇と重なった。
「エリー愛してる」
チャーリーの唇が私の唇と重なり口付けした。
「チャーリーが側に居てくれるだけで心強い」
「俺はエリーの味方だから」
「うん、分かってる」
少し庭園を散歩してから私達はアーサー父様の元へ向かった。
「父上、俺とエミリーヌも同席します」
「そうか、分かった」
アーサー父様は部屋から出て行き、私達は声がかかるまで部屋の中で待機する事となった。
「緊張してるの?」
「うん」
「大丈夫、俺がエリーを護るから」
「うん」
「ご両親に何を言われても気にするな」
「分かってる」
「ご両親がどんな結果になろうとエリーが気にする事じゃない。エリーのご両親を悪く言いたくないけど、それでもそれだけの事をしてきた結果になると思う」
「分かってる」
「エリーが気に掛ける事じゃない」
「うん」
私はチャーリーに抱き締められ少し落ち着きを取り戻した。
大丈夫、お父様やお母様に会っても私は私で居られる。チャーリーが側に居てくれる。アーサー父様も近くに居てくれる。それがどれだけ心強いか…。
暫くして呼ばれた為、謁見室へ向かった。連れて来られたのは謁見室の横にある小部屋。その中に入った。
「陛下、この度はお時間を頂き感謝致します」
お祖父様の声が聞こえた。
「それは良いが、お主の愚息はどこにおるのだ」
「今連れて参ります。ですがその前に、エミリーヌにだけは被害がいかない様にお願い致します。どんな裁きでもお受け致します。私も裁かれなくてはならない。ですが、エミリーヌは何一つ関係ありません。ですからどうかエミリーヌだけは陛下の広い心でお助け下さいます様、お願い致します」
「前侯爵、お主を裁く理由がない。それにだ、此度とキャメル侯爵とは関係ない事。ただ、お主の愚息には厳しい裁きを下すかもしれぬ」
「はい、心得ております」
「なら連れて参れ」
扉の開く音。
「よく来たな、前侯爵の息子よ」
「陛下、ごき…」
「挨拶はいらぬ」
「はい」
「お主、暫く邸をあけていたと聞いたが真か?」
「発言をお許し頂けますでしょうか」
「許す」
「ありがとうございます。突然姿を消した娘を探しに出掛けておりました」
「騎士団にも王宮の騎士団にも聞いたが、家出と判断したと私の耳には入ってるがな」
「家出をする訳がありません。騎士団の騎士達は真剣に捜索していなかったのでしょう。だから私達は自ら探しに出たのです」
「そうか。それで見つかったのか?」
「残念ながらまだ見つかっておりません」
「なら何故帰って来た」
「それが、何故か分かりませんが、私から当主が代わったと王命が下ったらしく」
「王命を下したのは私だ。お主はその理由が分からぬのか?」
「分かりません」
「そうか、残念だ」
「エリーは会いたいの?」
「うん…、正直会いたくない」
「なら帰ろう。無理して会う必要はない」
「でもね、会いたくないけど、会わないと何となく先に進めない気がするの」
「エリーは進めてるよ?」
「それでも今はあの人達から逃げてるわ」
「エリーそれは違う。逃げてるんじゃない、エリーの心を護る為に距離を置いてるんだ」
「でもそれって結局は逃げてるって事じゃない。会わない様にチャーリーの家に住んで、お祖父様に家の事を押し付けて、私、当主なのに、今の状態は当主なのに何もしなかったお父様と同じ事をしてるわ。
チャーリーやローラ母様、アーサー父様に護られ、お祖父様に護られ、私は家の事を放り投げてる」
「それならご両親に会うのか?会わなくても、陛下が裁きを下したら侯爵家からは追い出される。ご両親が居なくなれば侯爵家に戻れるんだ」
「そうよ、でも、私も前に進みたいの。チャーリーが進んだ様に、アイリーン様が進んだ様に、私も進みたい」
「ご両親に会えば進めるのか?」
「それは分からない…。けど何となくだけど、そんな気がするの。私は親から愛されてない、それは認めたわ。無償の愛はローラ母様やアーサー父様から貰えたわ。私は親の愛情は血の繋がりじゃなくて思う気持ちってチャーリーのお祖母様から教えて貰ったわ。
私、少しは強くなったの。皆の愛情が温もりが私を強くしたわ。当主として裁きを見届ける義務があると思うの。
だけど、ちょっとだけ怖い………」
チャーリーは私を抱き締めた。
「怖いのに会いたいの?」
「分からない」
「分かった。なら会おう。俺が側に居る、エリーを護る」
「チャーリー……」
「もし俺が文句を言っても怒らないでね?」
「怒らないわよ」
「嫌いにならない?」
「ならない。嬉しい」
「エリーが自分の中で区切りを付ける為だ、今度は俺が何を言われても一緒に聞く、そして傷ついたら癒やしてあげる。だから一緒に乗り越えよう」
「ありがとう」
チャーリーの唇が私の唇と重なった。
「エリー愛してる」
チャーリーの唇が私の唇と重なり口付けした。
「チャーリーが側に居てくれるだけで心強い」
「俺はエリーの味方だから」
「うん、分かってる」
少し庭園を散歩してから私達はアーサー父様の元へ向かった。
「父上、俺とエミリーヌも同席します」
「そうか、分かった」
アーサー父様は部屋から出て行き、私達は声がかかるまで部屋の中で待機する事となった。
「緊張してるの?」
「うん」
「大丈夫、俺がエリーを護るから」
「うん」
「ご両親に何を言われても気にするな」
「分かってる」
「ご両親がどんな結果になろうとエリーが気にする事じゃない。エリーのご両親を悪く言いたくないけど、それでもそれだけの事をしてきた結果になると思う」
「分かってる」
「エリーが気に掛ける事じゃない」
「うん」
私はチャーリーに抱き締められ少し落ち着きを取り戻した。
大丈夫、お父様やお母様に会っても私は私で居られる。チャーリーが側に居てくれる。アーサー父様も近くに居てくれる。それがどれだけ心強いか…。
暫くして呼ばれた為、謁見室へ向かった。連れて来られたのは謁見室の横にある小部屋。その中に入った。
「陛下、この度はお時間を頂き感謝致します」
お祖父様の声が聞こえた。
「それは良いが、お主の愚息はどこにおるのだ」
「今連れて参ります。ですがその前に、エミリーヌにだけは被害がいかない様にお願い致します。どんな裁きでもお受け致します。私も裁かれなくてはならない。ですが、エミリーヌは何一つ関係ありません。ですからどうかエミリーヌだけは陛下の広い心でお助け下さいます様、お願い致します」
「前侯爵、お主を裁く理由がない。それにだ、此度とキャメル侯爵とは関係ない事。ただ、お主の愚息には厳しい裁きを下すかもしれぬ」
「はい、心得ております」
「なら連れて参れ」
扉の開く音。
「よく来たな、前侯爵の息子よ」
「陛下、ごき…」
「挨拶はいらぬ」
「はい」
「お主、暫く邸をあけていたと聞いたが真か?」
「発言をお許し頂けますでしょうか」
「許す」
「ありがとうございます。突然姿を消した娘を探しに出掛けておりました」
「騎士団にも王宮の騎士団にも聞いたが、家出と判断したと私の耳には入ってるがな」
「家出をする訳がありません。騎士団の騎士達は真剣に捜索していなかったのでしょう。だから私達は自ら探しに出たのです」
「そうか。それで見つかったのか?」
「残念ながらまだ見つかっておりません」
「なら何故帰って来た」
「それが、何故か分かりませんが、私から当主が代わったと王命が下ったらしく」
「王命を下したのは私だ。お主はその理由が分からぬのか?」
「分かりません」
「そうか、残念だ」
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