妹がいなくなった

アズやっこ

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 チャーリーと婚約が正式に決まり婚約者となった。 今日はブラウニー侯爵家の領地に向かう為に朝早く起きて今は馬車に揺られている。


「エリー、眠いなら寝て良いよ?」

「う、ん……少し寝て良い?」

「着いたら起こすね?」


 私はチャーリーの膝に頭を置いて横になった。チャーリーは優しく私の髪を撫でていて、私はいつの間にか眠ってしまった。


「エリー、エリー、起きて。もうすぐ着くよ」

「ん?う、ん……」

「エリー、起きて」


 チャーリーは私の唇に私が起きるまで口付けした。


「ん?ち、チャーリー?何してるの?」

「だって寝顔のエリー可愛いんだもん。ずっと見てたけど、ちょっと我慢出来なくなっちゃった。ごめん」

「もう!」

「寝起きのエリーも可愛い。チュッ」

「もう!」


 チャーリーはまた唇に口付けした。寝顔も寝起きの顔も毎日一緒に寝てるから気にならなくなったとは言え、馬車の中は恥ずかしい…。

 毎日チャーリーが一緒に寝てくれるお陰で夜中に唸される事はなくなり、お父様の夢も見なくなった。


 馬車がゆっくり止まり、私達は馬車から降りた。薔薇の花が一面咲きほこり、良い香りがする。


「俺は少し執事に挨拶してくるよ。少し薔薇見てて待ってて。それから案内するね」

「うん。待ってるね。色々話もあるでしょ?ゆっくりでいいからね?」


 チャーリーは私に口付けし、侯爵領にある邸の中に入って行った。 私は薔薇の庭園をゆっくり見ながら散歩している。 途中ベンチがあり、座って一面薔薇の花壇を見ている。


「綺麗でしょ?」


 突然、年配の女性に声をかけられ、


「は、はい。すみません。勝手に入った訳ではなくて、その…」

「チャーリーの知り合い?」

「その…チャーリーの…婚約者です」

「チャーリーの婚約者?」

「はい…」

「そう。あの子も好きな女性が出来たのね。それもこんな可愛らしい子が」

「い、いえ…」

「あの子も可哀想な子なの」

「はい。知っています」

「そう。なら安心だわ。前の婚約者には恵まれ無かったから」

「はい。そう思います」

「貴女は貴族?平民?」

「貴族です」

「え?貴族なの?」

「はい。チャーリーも貴族になりましたよ?」

「連絡を貰ったから知ってるけど、貴族の令嬢と婚約出来るなんて思わなかったから。失礼な事を言ってごめんなさいね」

「いえ。チャーリーが勘当され国外追放になった経緯もその後の事も全て知っています」

「知っていてチャーリーを選んでくれたの?」

「選んだと言うか、私にはチャーリーが必要なんです。今も昔もこれからも」

「そう。良いお嬢さんを婚約者に出来たのね。名前を伺っても良いかしら」

「はい。申し遅れました。私はキャメル侯爵エミリーヌと申します。 あの…御婦人は……」

「私はローラの母、チャーリーの祖母よ。これからもチャーリーをよろしくね」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

「本当に可愛らしいお嬢さんだわ。チャーリーがあんな顔をするわけね」

「え?」

「貴女達が馬車を降りた時から見てたから。チャーリーの貴女を見る目が愛しい、可愛い、離したくないって顔に出てたわ」

「恥ずかしい所をお見せして申し訳ありません」

「どうして?愛する者同士だもの。それで良いのよ?恥ずかしがる必要はないわ」

「は、はい…」

「ねぇ貴女、エミリーヌさんと仰ったかしら。キャメル侯爵の」

「はい」

「ならお祖母様はヘレン様かしら」

「はい。ヘレンは私の祖母です。もしかしてお祖母様とお知り合いの方でしたか?」

「いえ。私がお慕いしてるだけよ。ヘレン様には助けて頂いたの」

「そうなんですか?」

「まだ学園に通う学生の頃にね」

「そうなんですね」

「私はね、没落寸前の男爵家の産まれだったの。平民に近いと言っても男爵は貴族、だから私も貴族学園に通ったわ。将来王宮の侍女になる為にも学園に通った方が良いと思ったしね」

「はい」

「弟もいたし侍女になって少しでも弟の力になればと思ってね」

「はい」

「ローラと私が血の繋がらない親子だと知ってる?」

「はい。お聞きしました」

「そう。私がローラの母親になる為に伯爵家に嫁いだのは学園を卒業して直ぐだったの。初めはお金で買われ、赤子のローラを育てるだけの存在で、自分の子でもないローラを育てるのが嫌だった。けど、伯爵家からの資金援助で男爵家が潰れずに済んだのも事実だしね。母親ではなく侍女やメイドとして接しようと、育てようと思ったわ。そう思う事で赤子のローラを世話する事も育てる事も出来ると思った。それにヘレン様の子が不慮の事故でお亡くなりになられてね、お慕いしているヘレン様の子と思い育てようと思ったの。 最低な母親でしょ?」

「あの…どうしてお祖母様をそこまで思って下さるのですか?」


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