妹がいなくなった

アズやっこ

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 チャーリーは愛おしそうに私の髪を撫でている。

 その姿に胸がキュッってする。

 私もチャーリーの髪を撫でる。

 愛おしさが溢れる。

 チャーリーと目が合い、

 チャーリーが私の髪に口付けした。

 私もチャーリーの頭に口付けした。


「エミリーヌ、もう寝ないとね」

「うん…そうだね……」


 チャーリーが私をギュッと力強く抱き締めた。


「離したくない」

「うん。私も」

「エミリーヌ、そこは拒否して」

「だって離れたくないんだもん」

「俺も。だけどエミリーヌの部屋に送って行くよ」

「私の部屋?」

「エミリーヌが滞在する間に泊まる部屋」

「え?」

「って言っても俺の部屋の隣なんだけどね?」

「隣?」

「そう。だから寝る寸前までは一緒に居られる」

「なら私が眠るまで手を握ってて?」

「それは出来ないよ」

「何で?」

「まだ婚約者じゃないし、婚約者でも駄目」

「何で?」

「エミリーヌの寝顔見て部屋にトボトボ帰る俺の姿想像してみて?」

「それは……悲しい。寂しい」

「でしょ?」

「うん」

「だから部屋の前まで送るよ」

「分かった」


 手を引かれ、隣の部屋の前。


「湯浴みはメイドが手伝ってくれるから鈴を鳴らしてね。 部屋の中に寝る時に着るワンピースが掛けてある。それを着て?」

「分かった」

「変に思わないでね?」

「何?」

「エディーナ譲に頼んで下着を買ってきて貰ったから、その、紙袋に入ってるから、ね」

「うん」


 二人して顔を真っ赤にして俯いた。


「誓って俺は見てないから」

「うん」

「着替えのワンピースや商会に置いてあった俺が贈ったドレスも持って来た。掛けてあるから後で確認して」

「うん」

「足りなかったら遠慮せず言ってね?エミリーヌの物を揃えるのは俺の役目だから」

「でも……」

「まだ婚約者じゃないから贈らせてくれないの?恋人なのに?」

「そうじゃなくて」

「エミリーヌの趣味じゃ無かったらごめんね。でもね、俺がエミリーヌの使う物を買いたいんだ。俺の我儘なんだ。ごめん」

「何で?嬉しいよ?私を思って揃えてくれたんでしょ?」

「それは勿論」

「なら嬉しい。ありがとう」


 私はチャーリーに抱きついた。

 チャーリーは私の頭を撫で、


「おやすみ。愛しいエミリーヌ」


 額に口付けされ、


「おやすみ。チャーリー、大好き」


 チャーリーから離れ、チャーリーは隣の部屋に行こうとした。 私はチャーリーの服を握り、


「どうしたの?」

「チャーリー、少し屈んで?」

「ん?」


 私はチャーリーの唇に口付けした。

 部屋に入ろうとした私をチャーリーは後ろから抱き締め、


「我慢したのに……」

「え?」

「だって、隣でエミリーヌが居るんだよ?口付けしたら離れ難くなるじゃん」

「ごめん」

「ううん、エミリーヌは悪くない」

「うん」


 後ろから抱き締めてたチャーリーが私を自分の方に向け、チャーリーの唇と重なった。何度も角度をかえ口付けした。

 チャーリーは隣の部屋に帰り、部屋に付いていた簡易的なシャワーで湯浴みをし、ディーナが買ってくれた下着を着て、柔らかい素材で出来たワンピースを着て布団に入った。

 ディーナが買ってきてくれた下着がとても可愛い物でなんかドキドキした。

 布団に入り目を瞑る。ウトウトと…
 
 お父様の怒ってる顔が近付いて来て、私は勢いよく起き上がった。夜もふけた時間、私は一人膝を抱え丸くなる。

(怖い……どうしよう……また目を瞑って寝たら……)

 カチカチと時計の針の音だけが部屋中に響き、薄暗い部屋の中。

(怖い……チャーリー……助けて)

 ベッドから降り、チャーリーの部屋の前。

(どうしよう…入っても良いの?…駄目…だよね…流石に私でも分かる……駄目って…チャーリーに迷惑かけるって分かる……)

 私は自分の部屋とチャーリーの部屋の前を行ったり来たり……。


ガチャ


 薄暗い部屋の中。ベッドで眠るチャーリーを見つけ、チャーリーの手を握る。

 目を覚ましたチャーリーと目が合い、


「誰?」

「チャーリー、ごめんなさい」

「エミリーヌ、どうしたの?」


 寝ぼけてるチャーリーの声。


「怖くて……」

「うん、そっか。なら入っておいで」


 チャーリーが布団を開け、私はチャーリーの横に寝転んだ。後ろからチャーリーに抱き締められようやく安心した。


「ん?エミリーヌ?」


 目を覚ましたチャーリーがベッドサイドにあるランプを付けた。


「え?エミリーヌ?どうしたの?」

「ご、ごめんなさい」

「泣かないで。泣かなくて良いから」

「ごめんなさい」


 チャーリーは私を優しく抱き締めた。


「どうしたの?」

「目を瞑って多分寝てたの」

「うん」

「そしたら怒ってるお父様が向かって来て……」

「怖かったね」

「怖くて……そしたら時計が……」

「時計?」

「時計の針の音が…部屋中に響いて、部屋は暗いし」

「怖くて眠れなくなった?」

「うん。私も駄目だって分かってるけど……」

「泣かないで?大丈夫。駄目じゃない。エミリーヌが寝るまで側に居る」

「ごめんなさい……」

「どうして?嬉しいよ?俺を頼ってくれたんでしょ?」

「うん」

「なら嬉しい。だから泣かないで?」

「うん」


 チャーリーは額に頬に口付けし、私の唇に口付けた。


「もう怖くない。お父上はこの邸に来ない。それに俺が側に居る。だからもう怖くないよ?」


 チャーリーは私を抱き締めたまま布団に横になり背中をトントンと優しく叩いてくれた。


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