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「お祖母様が私を手元に置いて育てたからと言って自分は赤子を取り上げられた被害者なのだと」
「うん」
「お祖母様が邸を出て行って自分が育てないといけないと分かっていても、赤子から育ててない子に愛情は湧かないと言い訳して」
「うん」
「結局、産み落とし育児を放棄した現実から目を背けて自分を護っただけ」
「うん」
「お祖母様のせいにして」
「うん」
「私のせいにして」
「うん」
「結局お父様もお母様も自分を護る為に私を犠牲にしただけ」
「うん」
「お父様は婚姻した後に出来たサラをサラだけを自分の子と言った」
「うん」
「お母様は自分で育て愛したサラをサラだけが自分の子と思えたと言った」
「うん」
「結局自分達の失態を認める事が出来ず、現実から目を背けて、自分達の行いを正当化し、自分達を護った」
「うん」
「私は望まれずに勝手に宿った子。望まれずに勝手に産まれた子。望まれずに…………ううっ」
「うん」
チャーリーの優しい手が優しく宥める様に背中を撫でる。
「ううっ、両親に…捨てられた…子……ううっ」
「うん」
「ううっ、ううっ、ううっ」
「うん」
「ううっ、うわぁぁぁん、うわぁぁぁん」
「うん。思いきり泣きな」
「ううっ、うわぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁん」
「よしよし…」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「エミリーヌ愛してる」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「愛してる…愛してるよ…俺はエミリーヌを愛してる」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「愛してる、愛してる、俺の愛しいエミリーヌ、俺の可愛いエミリーヌ、愛してる」
チャーリーは私が泣いてる間、ずっと、愛してる、愛してると繰り返し言った。
暫く泣いた私は、涙がようやく止まった。
「エミリーヌ」
「ん?(ズズッ)」
「君のご両親を悪く言いたく無いけど、責任が取れない行為はするべきじゃない」
「うん」
「俺も人の事を言える立場ではない。結婚する前に身体を繋げてた訳だしね」
「うん」
「だけど俺は子が宿ったら責任を取るつもりで身体を繋げてた。もし恋人に子が宿ったとしても無責任に放おり投げる事なんてしない。だって自分の子だよ?子が宿ったら嬉しいし喜ぶよ」
「うん」
「確かに母上の言う様にご両親は心が子供だったのかも知れない。現実から目を背けないと自分を護れなかったのかも知れない」
「うん」
「でもね、身体を繋げる以上、女性にも、宿った子にも責任が取れないなら繋げるべきじゃない」
「うん」
「確かに身体を繋げれば快楽はある。また繋げたいと思う欲も出てくる。だけど、二人で愛し合う行為だ。嫌なら断らないといけないし、我慢しないといけない」
「うん」
「嫌と言えず断れなかった、我慢出来ず半ば無理矢理でも身体を繋げた。それはね、どちらかが悪いんじゃない。どっちも悪いんだ。悪いのは君のご両親で君じゃない」
「うん」
「行為をせず子が宿るかい?」
「ううん」
「行為をするから子が宿るんだ」
「うん」
「行為をしたのはご両親だ。子が出来て困るならそもそもしなければ良い。結婚してから出来た子しか認められないなら初めから結婚してから身体を繋げれば良かったんだ」
「うん」
「心が子供だったから?子が宿るとは思わなかったから?自分の子か信用出来ないから?そんなもの何の理由にもならない」
「うん」
「君の言う様に子には悪いけど堕胎という選択もあった。それを選択しなかったのはご両親だ」
「うん」
「産む事を決めたなら、産まれた子が例え自分の子じゃなくて愛さないといけない。子として育てないといけない。それが子に対する敬意だ」
「うん」
「子は神聖な者で神から与えられた贈り物だ」
「うん」
「自分を護る為に敵意を持ったり、蔑ろにしたりするべきじゃない」
「うん」
「自分で育てたから手を掛けたから愛せて、自分で育てなかったから手を掛けなかったから愛せない。確かに人は情の生き物だ」
「うん」
「母親は子を腹で宿す」
「うん」
「日々大きくなるお腹。腹の中で動く子を常に感じてるのは母親だ」
「うん」
「産まれる前から情を持てたはずだ」
「うん」
「腹の中で子供を育ててるんじゃないのか?」
「うん」
「それを産んで育てた過程だけで愛情が変わる母親なんて居ない方がましだ」
「うん」
「確かに君はご両親に捨てられた。君が宿った段階で捨てられた。腹が大きくなり産まれるから産んだだけ。確かにそうだ」
「……う…ん………」
「けど俺は君を産んでくれて良かったよ。君が産まれてなければ君と出会わなかった。出会わなければ俺は死んでいた。君と出会わなかったらもう一度人を信じる事も人を頼る事も人を愛す事も出来なかった。俺は君とエミリーヌと出会ったから人を信じる事も頼る事も出来た。それに愛する人を、護りたい人を、側に居て欲しい人を、離したくない人と出会えた」
「うん」
「俺の愛情だけでは不満かい?」
「ううん」
「俺がエミリーヌだけ側に居て欲しいと願うのは嫌かい?」
「ううん」
「俺が離したくないと思うのは嫌かい?」
「ううん」
「俺はエミリーヌが必要だ。エミリーヌが居ないなら俺は生きる意味がない。生きる希望もない」
「うん」
「俺の愛する人。俺の愛を受け取ってくれるかい?」
「うん」
「愛してる」
「うん」
「愛しい」
「うん」
「可愛い」
「うん」
「俺の為に産まれてきてくれてありがとう」
「チャーリーの為?」
「そう。俺の為。俺の生きる意味で希望だから」
「うん」
「俺の為に産まれてきてくれてありがとう」
「うん。ううっ……ううっ……」
チャーリーは優しく背中を撫でてくれた。
「うん」
「お祖母様が邸を出て行って自分が育てないといけないと分かっていても、赤子から育ててない子に愛情は湧かないと言い訳して」
「うん」
「結局、産み落とし育児を放棄した現実から目を背けて自分を護っただけ」
「うん」
「お祖母様のせいにして」
「うん」
「私のせいにして」
「うん」
「結局お父様もお母様も自分を護る為に私を犠牲にしただけ」
「うん」
「お父様は婚姻した後に出来たサラをサラだけを自分の子と言った」
「うん」
「お母様は自分で育て愛したサラをサラだけが自分の子と思えたと言った」
「うん」
「結局自分達の失態を認める事が出来ず、現実から目を背けて、自分達の行いを正当化し、自分達を護った」
「うん」
「私は望まれずに勝手に宿った子。望まれずに勝手に産まれた子。望まれずに…………ううっ」
「うん」
チャーリーの優しい手が優しく宥める様に背中を撫でる。
「ううっ、両親に…捨てられた…子……ううっ」
「うん」
「ううっ、ううっ、ううっ」
「うん」
「ううっ、うわぁぁぁん、うわぁぁぁん」
「うん。思いきり泣きな」
「ううっ、うわぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁん」
「よしよし…」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「エミリーヌ愛してる」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「愛してる…愛してるよ…俺はエミリーヌを愛してる」
「うわぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
「愛してる、愛してる、俺の愛しいエミリーヌ、俺の可愛いエミリーヌ、愛してる」
チャーリーは私が泣いてる間、ずっと、愛してる、愛してると繰り返し言った。
暫く泣いた私は、涙がようやく止まった。
「エミリーヌ」
「ん?(ズズッ)」
「君のご両親を悪く言いたく無いけど、責任が取れない行為はするべきじゃない」
「うん」
「俺も人の事を言える立場ではない。結婚する前に身体を繋げてた訳だしね」
「うん」
「だけど俺は子が宿ったら責任を取るつもりで身体を繋げてた。もし恋人に子が宿ったとしても無責任に放おり投げる事なんてしない。だって自分の子だよ?子が宿ったら嬉しいし喜ぶよ」
「うん」
「確かに母上の言う様にご両親は心が子供だったのかも知れない。現実から目を背けないと自分を護れなかったのかも知れない」
「うん」
「でもね、身体を繋げる以上、女性にも、宿った子にも責任が取れないなら繋げるべきじゃない」
「うん」
「確かに身体を繋げれば快楽はある。また繋げたいと思う欲も出てくる。だけど、二人で愛し合う行為だ。嫌なら断らないといけないし、我慢しないといけない」
「うん」
「嫌と言えず断れなかった、我慢出来ず半ば無理矢理でも身体を繋げた。それはね、どちらかが悪いんじゃない。どっちも悪いんだ。悪いのは君のご両親で君じゃない」
「うん」
「行為をせず子が宿るかい?」
「ううん」
「行為をするから子が宿るんだ」
「うん」
「行為をしたのはご両親だ。子が出来て困るならそもそもしなければ良い。結婚してから出来た子しか認められないなら初めから結婚してから身体を繋げれば良かったんだ」
「うん」
「心が子供だったから?子が宿るとは思わなかったから?自分の子か信用出来ないから?そんなもの何の理由にもならない」
「うん」
「君の言う様に子には悪いけど堕胎という選択もあった。それを選択しなかったのはご両親だ」
「うん」
「産む事を決めたなら、産まれた子が例え自分の子じゃなくて愛さないといけない。子として育てないといけない。それが子に対する敬意だ」
「うん」
「子は神聖な者で神から与えられた贈り物だ」
「うん」
「自分を護る為に敵意を持ったり、蔑ろにしたりするべきじゃない」
「うん」
「自分で育てたから手を掛けたから愛せて、自分で育てなかったから手を掛けなかったから愛せない。確かに人は情の生き物だ」
「うん」
「母親は子を腹で宿す」
「うん」
「日々大きくなるお腹。腹の中で動く子を常に感じてるのは母親だ」
「うん」
「産まれる前から情を持てたはずだ」
「うん」
「腹の中で子供を育ててるんじゃないのか?」
「うん」
「それを産んで育てた過程だけで愛情が変わる母親なんて居ない方がましだ」
「うん」
「確かに君はご両親に捨てられた。君が宿った段階で捨てられた。腹が大きくなり産まれるから産んだだけ。確かにそうだ」
「……う…ん………」
「けど俺は君を産んでくれて良かったよ。君が産まれてなければ君と出会わなかった。出会わなければ俺は死んでいた。君と出会わなかったらもう一度人を信じる事も人を頼る事も人を愛す事も出来なかった。俺は君とエミリーヌと出会ったから人を信じる事も頼る事も出来た。それに愛する人を、護りたい人を、側に居て欲しい人を、離したくない人と出会えた」
「うん」
「俺の愛情だけでは不満かい?」
「ううん」
「俺がエミリーヌだけ側に居て欲しいと願うのは嫌かい?」
「ううん」
「俺が離したくないと思うのは嫌かい?」
「ううん」
「俺はエミリーヌが必要だ。エミリーヌが居ないなら俺は生きる意味がない。生きる希望もない」
「うん」
「俺の愛する人。俺の愛を受け取ってくれるかい?」
「うん」
「愛してる」
「うん」
「愛しい」
「うん」
「可愛い」
「うん」
「俺の為に産まれてきてくれてありがとう」
「チャーリーの為?」
「そう。俺の為。俺の生きる意味で希望だから」
「うん」
「俺の為に産まれてきてくれてありがとう」
「うん。ううっ……ううっ……」
チャーリーは優しく背中を撫でてくれた。
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