85 / 187
84
しおりを挟む
「俺に心を隠して誰なら心を見せれるの?グレンさん?」
「何でそんな事言うの?」
「エミリーヌをエミリーヌの心を支え護ってきたのはグレンさんだよ?」
「うん」
「もしエミリーヌが俺ではなくグレンさんなら心を許せて見せれるのなら今のエミリーヌを救えるのはグレンさんだけだよ?悔しいけどね。 でもね、グレンさんがエミリーヌを助けれるなら今はグレンさんに俺は頼るよ。 このままエミリーヌの心を傷付けたままにしたくないから」
「うん」
「俺は無理に心を見せて欲しい訳じゃない」
「うん」
「エミリーヌが大事で大切だ」
「うん」
「だからエミリーヌの心を護りたい」
「うん」
「グレンさんなら見せられるならグレンさんに俺の愛する人を救って欲しい」
「うん」
「グレンさんの所に行く?」
「嫌!」
「エミリーヌ、心の傷は自分では見えない。そうだろ? 放おっておけばいつか重石になって動けなくする。怪我をして傷を作っても傷付いた時に処置をすれば早く治る。だけど放おっておくと膿んで化膿して治りがどんどん遅くなる。分かるよね?」
「うん」
「心の傷も一緒だよ?」
「うん…」
「グレンさんの所に行こう。俺はずっとエミリーヌの側に居る。離れない」
「嫌、嫌、嫌……」
「エミリーヌ」
「グレンも大事。大切な家族なの。だけど違う」
「グレンさんもエミリーヌを愛してる」
「分かってる。私もグレンの事愛してる。だけど違う。家族なの」
「エミリーヌ、俺はエミリーヌを離さないよ?グレンさんにエミリーヌを渡さないよ? グレンさんがエミリーヌを家族の様に妹の様に思ってるのも愛してるのも知ってる。 今のエミリーヌに恋人としての愛情より家族としての愛情が必要だと思ったからだよ?」
「それでもチャーリーが良いの。今側に居て欲しいのはチャーリー」
「分かった。側に居る」
チャーリーは私を優しく包み込む様に抱き締めた。 何も言わず優しく背中を撫でる。
暫くして、私はポツリポツリと話出した。
「私は…愛して…欲しかった…。どうして…愛して…くれない…のか…見て…くれない…のか…、自分…が…何を…して…何が…気にくわない…のか…考えても…考えても…分からなくて。辛…かった…。悲し…かった…。
お父様の…気持ち…お母様の…気持ち
ようやく…知れて………」
「うん」
「身体を繋げて宿った子を……」
「うん」
「どうして…自分の子だと…思えないの?」
「うん」
「どうして自分以外の…男性…だと思うの?」
「うん」
「自分の子だと思えないのなら…堕胎させれば良かったのよ」
「うん」
「そうすれば私は産まれなかった」
「うん」
「堕胎せず産ませたのに」
「うん」
「産まれても自分の子として認めなかった」
「うん」
「自分と同じ髪も瞳を持って産まれてきても」
「うん」
「認められず……」
「うん」
「…………他人…の…子…だと…」
「うん」
「ねぇチャーリー、前にローラ母様が言ってたでしょ? お父様とお母様は私を宿した時、産んだ時、まだ子供だったって」
「うん」
「現実から目を背けて見ようとしなかった。ううん、見たくなかった。 身体を繋げれば子が出来ると知ってても、まさか自分が失敗するとは思ってなかった。自分の失態を認められず目を背けて…」
「うん」
「宿った子のせいにした」
「うん」
「そうする事で自分の失態を隠したの。自分は悪くない。悪いのは宿った子だって。自分を護る為に」
「うん」
「だから憎んだ。だから初めから居ない者として扱った」
「うん」
「自分の快楽を優先して、嫌がる婚約者を言葉巧みに言い包めて快楽を楽しんだ」
「うん」
「お母様も嫌なら拒否すれば良かったのよ。それで離れる人ならそんな人やめれば良かったの。嫌と言いながら受け入れたなら…」
「うん」
「それはもう同じだわ。受け入れ身体を繋げたのはお母様。快楽を優先したのは自分もなのよ」
「うん」
「宿した子を堕胎せず産んだのもお母様」
「うん」
「赤子が居るのに身体を繋げたのもお父様とお母様」
「うん」
「子が出来ると知っていても欲に負け身体を繋げた」
「うん」
「それで子が宿れば自分の身体を優先した」
「うん」
「子を宿しても赤子を抱きあやす事は出来るわ。おしめを替える事だって。育てる事は出来る。接する事は出来る。顔を見るだけでも、撫でるだけでも出来たはず」
「うん」
「それをしなかったのはお母様」
「うん」
「しなかった事を出来なかったと言い、出来ない自分は悪くないと、出来なくても仕方ないと言って逃げたの」
「うん」
「私から先に逃げたのはお母様」
「うん」
「逃げたお母様はきっと心の中で罪悪感がうまれた。罪悪感を隠す為にサラを愛した」
「うん」
「サラを愛する事で自分を正当化したの。自分は子供を自分の手で育てた子供は愛する事が出来る母親なのだと」
「うん」
「サラを愛し大事に大切に育てる事で自分を護った」
「うん」
「初めから私を居ない者とする事で自分を護ったの」
「うん」
「産み落とし育児を放棄した自分を」
「うん」
「何でそんな事言うの?」
「エミリーヌをエミリーヌの心を支え護ってきたのはグレンさんだよ?」
「うん」
「もしエミリーヌが俺ではなくグレンさんなら心を許せて見せれるのなら今のエミリーヌを救えるのはグレンさんだけだよ?悔しいけどね。 でもね、グレンさんがエミリーヌを助けれるなら今はグレンさんに俺は頼るよ。 このままエミリーヌの心を傷付けたままにしたくないから」
「うん」
「俺は無理に心を見せて欲しい訳じゃない」
「うん」
「エミリーヌが大事で大切だ」
「うん」
「だからエミリーヌの心を護りたい」
「うん」
「グレンさんなら見せられるならグレンさんに俺の愛する人を救って欲しい」
「うん」
「グレンさんの所に行く?」
「嫌!」
「エミリーヌ、心の傷は自分では見えない。そうだろ? 放おっておけばいつか重石になって動けなくする。怪我をして傷を作っても傷付いた時に処置をすれば早く治る。だけど放おっておくと膿んで化膿して治りがどんどん遅くなる。分かるよね?」
「うん」
「心の傷も一緒だよ?」
「うん…」
「グレンさんの所に行こう。俺はずっとエミリーヌの側に居る。離れない」
「嫌、嫌、嫌……」
「エミリーヌ」
「グレンも大事。大切な家族なの。だけど違う」
「グレンさんもエミリーヌを愛してる」
「分かってる。私もグレンの事愛してる。だけど違う。家族なの」
「エミリーヌ、俺はエミリーヌを離さないよ?グレンさんにエミリーヌを渡さないよ? グレンさんがエミリーヌを家族の様に妹の様に思ってるのも愛してるのも知ってる。 今のエミリーヌに恋人としての愛情より家族としての愛情が必要だと思ったからだよ?」
「それでもチャーリーが良いの。今側に居て欲しいのはチャーリー」
「分かった。側に居る」
チャーリーは私を優しく包み込む様に抱き締めた。 何も言わず優しく背中を撫でる。
暫くして、私はポツリポツリと話出した。
「私は…愛して…欲しかった…。どうして…愛して…くれない…のか…見て…くれない…のか…、自分…が…何を…して…何が…気にくわない…のか…考えても…考えても…分からなくて。辛…かった…。悲し…かった…。
お父様の…気持ち…お母様の…気持ち
ようやく…知れて………」
「うん」
「身体を繋げて宿った子を……」
「うん」
「どうして…自分の子だと…思えないの?」
「うん」
「どうして自分以外の…男性…だと思うの?」
「うん」
「自分の子だと思えないのなら…堕胎させれば良かったのよ」
「うん」
「そうすれば私は産まれなかった」
「うん」
「堕胎せず産ませたのに」
「うん」
「産まれても自分の子として認めなかった」
「うん」
「自分と同じ髪も瞳を持って産まれてきても」
「うん」
「認められず……」
「うん」
「…………他人…の…子…だと…」
「うん」
「ねぇチャーリー、前にローラ母様が言ってたでしょ? お父様とお母様は私を宿した時、産んだ時、まだ子供だったって」
「うん」
「現実から目を背けて見ようとしなかった。ううん、見たくなかった。 身体を繋げれば子が出来ると知ってても、まさか自分が失敗するとは思ってなかった。自分の失態を認められず目を背けて…」
「うん」
「宿った子のせいにした」
「うん」
「そうする事で自分の失態を隠したの。自分は悪くない。悪いのは宿った子だって。自分を護る為に」
「うん」
「だから憎んだ。だから初めから居ない者として扱った」
「うん」
「自分の快楽を優先して、嫌がる婚約者を言葉巧みに言い包めて快楽を楽しんだ」
「うん」
「お母様も嫌なら拒否すれば良かったのよ。それで離れる人ならそんな人やめれば良かったの。嫌と言いながら受け入れたなら…」
「うん」
「それはもう同じだわ。受け入れ身体を繋げたのはお母様。快楽を優先したのは自分もなのよ」
「うん」
「宿した子を堕胎せず産んだのもお母様」
「うん」
「赤子が居るのに身体を繋げたのもお父様とお母様」
「うん」
「子が出来ると知っていても欲に負け身体を繋げた」
「うん」
「それで子が宿れば自分の身体を優先した」
「うん」
「子を宿しても赤子を抱きあやす事は出来るわ。おしめを替える事だって。育てる事は出来る。接する事は出来る。顔を見るだけでも、撫でるだけでも出来たはず」
「うん」
「それをしなかったのはお母様」
「うん」
「しなかった事を出来なかったと言い、出来ない自分は悪くないと、出来なくても仕方ないと言って逃げたの」
「うん」
「私から先に逃げたのはお母様」
「うん」
「逃げたお母様はきっと心の中で罪悪感がうまれた。罪悪感を隠す為にサラを愛した」
「うん」
「サラを愛する事で自分を正当化したの。自分は子供を自分の手で育てた子供は愛する事が出来る母親なのだと」
「うん」
「サラを愛し大事に大切に育てる事で自分を護った」
「うん」
「初めから私を居ない者とする事で自分を護ったの」
「うん」
「産み落とし育児を放棄した自分を」
「うん」
115
お気に入りに追加
2,328
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結済み】妹に婚約者を奪われたので実家の事は全て任せます。あぁ、崩壊しても一切責任は取りませんからね?
早乙女らいか
恋愛
当主であり伯爵令嬢のカチュアはいつも妹のネメスにいじめられていた。
物も、立場も、そして婚約者も……全てネメスに奪われてしまう。
度重なる災難に心が崩壊したカチュアは、妹のネメアに言い放つ。
「実家の事はすべて任せます。ただし、責任は一切取りません」
そして彼女は自らの命を絶とうとする。もう生きる気力もない。
全てを終わらせようと覚悟を決めた時、カチュアに優しくしてくれた王子が現れて……
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる