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書斎から少しづつ離れて行く。お祖父様の声、お父様の声、もう何を言ってるのかまでは聞こえない。
「エミリーヌ!」
グレンに抱きかかえられてる私は声のする方を見た。
「チャーリー?」
グレンが私をおろす。 小走りで近付いてくるチャーリー。 チャーリーが私を抱き締める。
「遅くなってごめん」
「どうしてチャーリーが居るの?」
「エミリーヌを支えたくて。護りたくて。迷惑だった?」
「ううん。ありがとう」
「エミリーヌ嬢」
私は私を呼んだ声がした方を見た。
「え?宰相様?何で?」
「エミリーヌ嬢、後は私に任せてくれないか?子供は護られていれば良い。 後は私と君のお祖父様、前侯爵に任せて欲しい。良いかな?」
「はい……お願いします……」
「それで良い。君はまだ大人に護られる子供だ。良いね?」
「はい……」
宰相様は私の頭を撫で、書斎に向かって歩いて行った。
「チャーリー、エミーはお前に任す。良いな?」
「はい。必ずエミリーヌは護ります」
「頼む」
「はい」
「エミーをこの邸から連れて行け」
「はい」
「ぐ、グレン?」
「行け!」
「エミリーヌ行くよ?」
「ま、待って、待ってチャーリー」
チャーリーは私の手を繋ぎ引っ張って行く。
玄関に停まっていた馬車に乗り込み、馬車は走りだした。 私はチャーリーの膝の上に座り、
「チャーリー、どう言う事?何で宰相様まで…」
「遅くなってごめん」
「それはいいけど…」
「グレンさんに頼んでいたんだ。ご両親が帰って来たら教えて欲しいって。エミリーヌを護りたかったから。側に居たかったから。朝、侯爵家の騎士が家に来てね、俺は母上に頼んで父上に緊急の連絡をして貰った。父上が同席した方がご両親も納得するだろうと思って。父上が王宮から邸に戻って来てから騎士に状況を聞いてから来たから遅くなった。俺だけでも先に来るべきだった。だけど俺は平民だ。父上が一緒でないと侯爵家へ入る事は出来ない。ごめん。言い訳だね」
「そんな事ない。ありがとう。宰相様が居てくれるなら納得すると思う。ありがとう」
チャーリーは私の頬を優しく包み、
「腫れてる。痛い?」
「痛くなかったの。叩かれた時も何がおこったのか分からなくて痛みも感じなかった」
「そうか」
「グレンが護ってくれたし」
「うん」
「お父様とも向き合って話した」
「うん。頑張ったね」
「お祖父様が来て私は部屋を出た」
「うん」
「廊下でグレンに抱き締められてようやく息が吐けた」
「うん」
「そしたら頬が痛み出したの」
「うん。今はどう?痛い?」
「痛い。痛いの」
「痛いのは頬だけ?エミリーヌの心は?」
「心?」
「そう、心。心は痛くない?」
「痛い。苦しい」
チャーリーは私を優しく抱き締めた。
「助…けて……」
「エミリーヌ、腫れた頬はいずれ痛みもなくなり腫れもひく。だけど、心の痛みはずっと重石の様に無くならない」
「うん」
「辛くても俺が側に居る。離さない。どんなエミリーヌでも愛してるし、これからも愛す」
「うん」
「何を言われたの? 辛くても今話さないとエミリーヌの傷はどんどん深くなる。辛いけど話して?」
「お父様は私を自分の子供とは娘とは思ってなかった。婚姻する前に出来た子だから。お母様が自分以外の人と身体を繋げたかも知れないから、婚姻してから産まれたサラだけが自分の子供で娘だって言ってた。
自分の子供とは思えないから私を見ると……」
「大丈夫」
チャーリーの優しい声。背中を撫でる温かい優しい手。
「私を見るとムシャクシャして胸くそ悪いって。頬を…叩かれた……」
「うん」
「お母様は嫌だって、婚姻するまで身体を繋げるのは嫌だって。だけどお父様は無理矢理身体を繋げた。そして子が宿った。身体を繋げれば子が出来る事も知っていた。だけど子が宿っても自分の子と思えなかった。だから産まれた私を自分の子だと認めなかった。例え自分と同じ髪の色でも同じ瞳の色でも自分の子と思えなかった。だから私を可愛いがらなかったし愛せなかった。初めから、宿った時から私は愛されていなかった…」
「俺は愛してる」
「お母様は私を産んで直ぐに子を宿した。体調も悪く赤子の面倒を見れなかった。お乳も抱き上げる事もなくサラを産んだ。サラを産んで自分でお乳をあげ抱きあやしおしめを替えてサラを育てた。
私はお祖母様がお母様の代わりに育ててくれたの。お母様に子が宿って赤子を育てる事が出来なかったから。お母様はサラが産まれてからも私を育てなかった。だからお祖母様は私を育てた。
お母様は自分の手を掛け育てたサラをサラだけが自分の子供だと思った。だから可愛がり愛した。 産み落としただけの私に愛情が湧かないのも仕方ないわ。だって産み落としただけだもの。 産んで育てたサラにしか愛情が湧かないのも仕方ないの。
私は自分の子とは認められずただ産み落とされただけの他人なの。 他人を可愛がらず愛せなくても誰にも責められない。それでも邸に住まわせ、食べ物を与えてくれたの。感謝しないといけないのは私なのよ」
「エミリーヌ、俺にまで心を隠さないで?俺はエミリーヌの心を見せれない程信じられない?」
「え?」
「エミリーヌ!」
グレンに抱きかかえられてる私は声のする方を見た。
「チャーリー?」
グレンが私をおろす。 小走りで近付いてくるチャーリー。 チャーリーが私を抱き締める。
「遅くなってごめん」
「どうしてチャーリーが居るの?」
「エミリーヌを支えたくて。護りたくて。迷惑だった?」
「ううん。ありがとう」
「エミリーヌ嬢」
私は私を呼んだ声がした方を見た。
「え?宰相様?何で?」
「エミリーヌ嬢、後は私に任せてくれないか?子供は護られていれば良い。 後は私と君のお祖父様、前侯爵に任せて欲しい。良いかな?」
「はい……お願いします……」
「それで良い。君はまだ大人に護られる子供だ。良いね?」
「はい……」
宰相様は私の頭を撫で、書斎に向かって歩いて行った。
「チャーリー、エミーはお前に任す。良いな?」
「はい。必ずエミリーヌは護ります」
「頼む」
「はい」
「エミーをこの邸から連れて行け」
「はい」
「ぐ、グレン?」
「行け!」
「エミリーヌ行くよ?」
「ま、待って、待ってチャーリー」
チャーリーは私の手を繋ぎ引っ張って行く。
玄関に停まっていた馬車に乗り込み、馬車は走りだした。 私はチャーリーの膝の上に座り、
「チャーリー、どう言う事?何で宰相様まで…」
「遅くなってごめん」
「それはいいけど…」
「グレンさんに頼んでいたんだ。ご両親が帰って来たら教えて欲しいって。エミリーヌを護りたかったから。側に居たかったから。朝、侯爵家の騎士が家に来てね、俺は母上に頼んで父上に緊急の連絡をして貰った。父上が同席した方がご両親も納得するだろうと思って。父上が王宮から邸に戻って来てから騎士に状況を聞いてから来たから遅くなった。俺だけでも先に来るべきだった。だけど俺は平民だ。父上が一緒でないと侯爵家へ入る事は出来ない。ごめん。言い訳だね」
「そんな事ない。ありがとう。宰相様が居てくれるなら納得すると思う。ありがとう」
チャーリーは私の頬を優しく包み、
「腫れてる。痛い?」
「痛くなかったの。叩かれた時も何がおこったのか分からなくて痛みも感じなかった」
「そうか」
「グレンが護ってくれたし」
「うん」
「お父様とも向き合って話した」
「うん。頑張ったね」
「お祖父様が来て私は部屋を出た」
「うん」
「廊下でグレンに抱き締められてようやく息が吐けた」
「うん」
「そしたら頬が痛み出したの」
「うん。今はどう?痛い?」
「痛い。痛いの」
「痛いのは頬だけ?エミリーヌの心は?」
「心?」
「そう、心。心は痛くない?」
「痛い。苦しい」
チャーリーは私を優しく抱き締めた。
「助…けて……」
「エミリーヌ、腫れた頬はいずれ痛みもなくなり腫れもひく。だけど、心の痛みはずっと重石の様に無くならない」
「うん」
「辛くても俺が側に居る。離さない。どんなエミリーヌでも愛してるし、これからも愛す」
「うん」
「何を言われたの? 辛くても今話さないとエミリーヌの傷はどんどん深くなる。辛いけど話して?」
「お父様は私を自分の子供とは娘とは思ってなかった。婚姻する前に出来た子だから。お母様が自分以外の人と身体を繋げたかも知れないから、婚姻してから産まれたサラだけが自分の子供で娘だって言ってた。
自分の子供とは思えないから私を見ると……」
「大丈夫」
チャーリーの優しい声。背中を撫でる温かい優しい手。
「私を見るとムシャクシャして胸くそ悪いって。頬を…叩かれた……」
「うん」
「お母様は嫌だって、婚姻するまで身体を繋げるのは嫌だって。だけどお父様は無理矢理身体を繋げた。そして子が宿った。身体を繋げれば子が出来る事も知っていた。だけど子が宿っても自分の子と思えなかった。だから産まれた私を自分の子だと認めなかった。例え自分と同じ髪の色でも同じ瞳の色でも自分の子と思えなかった。だから私を可愛いがらなかったし愛せなかった。初めから、宿った時から私は愛されていなかった…」
「俺は愛してる」
「お母様は私を産んで直ぐに子を宿した。体調も悪く赤子の面倒を見れなかった。お乳も抱き上げる事もなくサラを産んだ。サラを産んで自分でお乳をあげ抱きあやしおしめを替えてサラを育てた。
私はお祖母様がお母様の代わりに育ててくれたの。お母様に子が宿って赤子を育てる事が出来なかったから。お母様はサラが産まれてからも私を育てなかった。だからお祖母様は私を育てた。
お母様は自分の手を掛け育てたサラをサラだけが自分の子供だと思った。だから可愛がり愛した。 産み落としただけの私に愛情が湧かないのも仕方ないわ。だって産み落としただけだもの。 産んで育てたサラにしか愛情が湧かないのも仕方ないの。
私は自分の子とは認められずただ産み落とされただけの他人なの。 他人を可愛がらず愛せなくても誰にも責められない。それでも邸に住まわせ、食べ物を与えてくれたの。感謝しないといけないのは私なのよ」
「エミリーヌ、俺にまで心を隠さないで?俺はエミリーヌの心を見せれない程信じられない?」
「え?」
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