妹がいなくなった

７５

「チャーリーのどこが汚らしくて穢れてるの？」

「婚約者が居ながら平民の恋人と不貞したから」

「本当にそう言ったの？」

「ああ」

「どうせ、私が居ながら平民の家畜と不貞したって言ったんじゃないの？」

「どうしてそれを……」

「あの女なら言うわよ。家畜と不貞したから汚らしい。　汚らしい貴方に触れられると穢れる。　そう言う事？」

「そう…だね」

「その言葉に傷付いたの？」

「多分ね。俺は穢れてるって思ってるって事はそうなんだと思う」

「そう」

「俺は恋人を愛してた。身体を繋げて愛を感じた自分の気持ちが穢れてるって思ってるのかも知れない」

「そう。　今のチャーリーの本当の気持ちを答えてね？　私と身体を繋げる事をどう思ってるの？」

「正直怖い。　心では繋がりたいと思う。エミリーヌを抱き締めて口付けするともっと触れたい。足りないって思う。　ごめん…」

「どうして謝るの？」

「だって付き合ってばかりなのにこんな事思ってるなんて気持ち悪いだろ？」

「気持ち悪くないけど」

「けど俺が触れたら心が綺麗なエミリーヌを汚すような気持ちになるんだ。」

「うん」

「だから怖い。俺が触れる事で俺と身体を繋げる事でエミリーヌが汚れ穢れるのが怖い」

「それは何で？」

「多分、俺は…………」

「大丈夫」

「他の女性と……身体を繋げたから……」

「そう」

「エミリーヌごめん。俺は身体を繋げるのエミリーヌが初めてじゃない。ごめん。ごめん。ごめん」


　私はチャーリーを抱き締めた。チャーリーの身体がビクッと震えた。


「チャーリー、今から私が言う事だけを信じて。元婚約者に言われた事じゃなくて、私の言葉だけ信じて。分かった？」

「ああ」


　抱き締めたチャーリーの背中を優しく撫で、


「チャーリー、私の好きな人。私の愛する人。私の愛する人はとても心が純粋で愛する人を一途に愛せるとても情熱的な人。　愛を知らない私に愛を教えてくれた愛情深い人。　いつも側に寄り添い私の心を軽くしてくれる優しい人。　どんな私でも離れず味方になってくれる人。　傷付いた私の心を救ってくれた恩人。

チャーリー、貴方が愛する人を思う気持ちに汚くも穢れもない。　貴方が愛する思いを愛情を、受け取る人が愛を感じればそれはその思いはとても綺麗な物なの。

貴方を大事にしない人の言う言葉なんて信じては駄目。

チャーリー、貴方が私以外を触れたから、身体を繋げたからと言って嫌だとも汚いとも思わない。今の貴方の気持ちが私を愛してくれるならそれで私は良いの。

チャーリー、貴方が私を愛しいと心から思う優しい愛情で私を抱き締めて？私に触れて？私に触れたいと思って？　私はチャーリーに抱き締めてほしい。触れてほしい。その優しい手で私を触って。その温かい手で私に触れて。　私の愛しい人」

「エミリーヌ」

「チャーリー、私の言葉を信じて心に入れて。私は貴方に触れられて汚れない。貴方の愛情で私は心が豊かになる。貴方の愛情で心が優しくなる。貴方の愛情が私には必要なの」

「エミリーヌ」

「愛してる」

「俺も愛してる」


　私はチャーリーの唇に口付けした。


「俺も触れて良い？」

「沢山触れて？」


　チャーリーは私を抱き締めて、髪の毛を撫で、背中を撫で、腰に手を置いた。


「チャーリー幸せ。優しい手が私を触れてくれる。温かい手が私を幸せにしてくれる」

「ありがとう」

「私過去の貴方も好きって言ったのに」

「それでもやっぱり…」

「私これからは言葉で沢山伝える」

「え？」

「だって言葉って耳で聞く見える愛情表現よ？愛を詰め込めばチャーリーの心の傷も塞がるわ」

「うん」

「ねぇチャーリー、もっと触れて？」

「え？」

「もっとギュッって抱き締めて」


　チャーリーは私を力強く抱き締めた。


「うん。こっちの方が幸せ。チャーリーに愛されてるって感じる」

「俺は優しく抱き締めたいよ」

「優しく抱き締めてくれるのも好きよ？でもギュッってされると凄く好きって感じるの」

「そうなの？」

「うん。口付けも好き。愛が伝わるから。手を繋ぐのも好き。温もりを感じるから」

「そうだね」

「私は大丈夫。どんなチャーリーでも好きよ。愛してる」

「うん」

「私ね毎日チャーリーと会いたい。顔を見たい。それとね、口付けしたい」

「俺も毎日エミリーヌと会いたい。顔を見たい。口付けしたい。もっと触れたい」

「触れて？」

「それは結婚してからにする」

「ちなみにどこに触れたいの？」


　チャーリーは私の耳元で「胸とか」と言った。


「そう言うの嫌だろ？」

「どうして？」

「エミリーヌをそういう目で見てるって」

「愛してるからでしょ？」

「当たり前だよ。俺、エミリーヌに恋して４年だよ？　恋人になれるなんて思ってなかったし、そもそも自分の気持ちを伝えるつもりは無かった。　それが恋人になってくれて手を繋いだり抱き締めたり口付けしたり出来て舞い上がってる。　頭では駄目だって思っても心ではエミリーヌと片時も離れたくないんだ。ようやくエミリーヌを自分の物に出来たのに。違うな、出来たから歯止めが効かない。嫌な時は嫌って言ってほしい」

「分かった。だけどチャーリーに触られて嫌って思えないんだけど。だって私だって願って望んだ人なんだよ？　さっきだって私に触れると私が汚れるって言ったからもういっそ身体繋げて汚れないって分からせた方が早いって思っちゃった」

「それはまだ早い」

「私もまだ早いって思った。けどね、何年付き合ったら良いなんてないでしょ？　私は愛されてる実感がきっとほしいの。言葉や口付けだけでも愛されてるって実感するけど、いつももっとって思ってる。でも女性の私が思うなんて変でしょ？　でも自分の全てをさらけ出せるのはチャーリーだけって気持ちは変わらない。それだけは覚えておいてね？」

「分かった」