妹がいなくなった

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
74 / 187

73

しおりを挟む
「ねえローラ」

「何?」

「チャーリーとエミリーヌちゃん婚約させるの?出来るの?」

「何で?」

「ローラ母様って」

「チャーリーは関係なく私がエミリーヌちゃんの新しいお母様になったからよ?」

「じゃあチャーリーとは関係ないの? それにしては距離が近過ぎない?」

「チャーリーはエミリーヌちゃんと離れたくない程愛してるのよ」

「あ~この家系ね」

「そう」

「母上何ですか?この家系って」

「お父様の家系って独占欲が強いのよ」

「独占欲ですか」

「好きになった女性にとことん愛情を注ぎ、離さない。いつも側にいたい。どこか繋がっていたい。まあそんな感じよ」

「あ~分かります」

「キティの旦那様もお父様の従兄弟でしょ?だから分かるの」

「そういう事ですか。ですが母上、愛する人に愛情を注いで何が悪いんですか?離れたくない、側にいたいのは当たり前です。愛してるんですから。どこか繋がりたいのも愛してるからです。愛してない人と繋がりたいとは思いません」

「確かにそうよ?だけど時と場合ってあるでしょ?」

「父上だって家に帰ってくると直ぐに母上に会いに行きますよね? 俺がまだこの邸で暮らして居た時、俺が居ない所ではイチャイチャしてましたよね?」

「そ、そうね」

「なら俺がエミリーヌとイチャイチャしても気になりませんよね?」

「エミリーヌちゃんが可哀想でしょ?恥ずかしいでしょ?」

「エミリーヌの可愛い顔を他の誰かに見せると思います? 俺だってエミリーヌが恥ずかしくない程度しか人の前でイチャイチャしませんよ」

「はぁぁ。これからもその思いでいて頂戴」

「でもチャーリーに好きな子が出来て良かったじゃない。この子って根が真面目だから、一生独身を通すって思ってたわ」

「私もよ。だから私、エミリーヌちゃんの本当の意味でも母親よ?」

「チャーリー、貴方エミリーヌちゃんを大事にしなさいよ! 貴方は元婚約者には誠実だったけどやった事は不誠実な事なんだからね!分かってる?」

「分かってますよ。 エミリーヌを離す気はありませんから。エミリーヌに嫌われたら俺はもう生きていけません」

「なら良いわ」


 途中、侯爵家の真実を聞いて辛く悲しかったけど、それからはとても楽しい時間を過ごした。

 ブラウザー侯爵夫人のキャンティス様に「これからはキティ姉様」と呼んでねと言われ、ローラ母様が「狡い。私だって姉様って呼ばれたいわ」と言っていたけど、「チャーリーのお嫁さんなら母様でしょ?」とキティ姉様に言われ「それもそうね」とローラ母様は言っていた。

 お茶会が終わり少しだけチャーリーの部屋で、


「ようやくエミリーヌを独占出来る。おいで?」


 チャーリーの膝の上に座り、


「もう我慢しなくて良い?」

「うん」


 チャーリーの唇が私の唇と重なり口付けをした。


「エミリーヌ、辛くて悲しい話だったけど大丈夫?」

「うん。今迄知らなかったから、知れて良かった。私ね今迄ずっとお祖父様はお祖母様と早く二人きりになりたいからって邸を出て行ったと思ってたの。お祖母様との仲を邪魔されたくないから私に侯爵家を任せたと思ってたの。 お祖父様、お祖母様の事大好きだから。 それにお祖母様と会えない事情も理解できたし。もしかしてお祖母様は私と会いたくないのかな?って思った時もあったの。でも手紙がね?届くの」

「手紙?」

「そう。たまにだったけど、元気にしてるかとか、友達は出来たかとか、庭の花が咲いたとか。でね、最後に必ず「私の可愛いエミリーヌ」って書いてあるの」

「うん」

「だからお祖母様に会えなくてもお祖母様の事嫌いにはならなかったわ。きっと体調の良い時に書いてくれてたのね」

「体調が良い時はいつもエミリーヌを思い出していたんだよ」

「うん。そうだと思う」

「エミリーヌはこれから幸せになるんだ。俺と一緒に幸せになろうね?」

「うん。あ!そうだ!あのね、私とチャーリーはチャーリーが養子になったら直ぐに婚約するわよね?」

「そのつもりだけど嫌だった?」

「違うの。ジムがね、婚約したら邸に泊まる事もあるから部屋を改装しないかって」

「どう言う事?」

「一応チャーリーが婿になる前提ね? 婿になるなら婚約中から私の補佐が出来るでしょ?それに侯爵家の内情を教えたりするでしょ?その時に泊まる事もあるでしょ?それに結婚したら一緒に住むでしょ?だからね、今はお父様達の部屋だけどそこが当主の部屋になるじゃない?だから部屋を改装したらどうかって。どう?」

「改装は賛成だよ?だけど泊まらないよ?もし泊まる事になったらまた騎士達と寝るよ」

「でも婚約者だよ?」

「そうだけど…」

「私と隣の部屋は嫌?」

「そうじゃなくてさ…う~ん…」

「何?」

「変に思わないでよ?良い?」

「うん」

「部屋って内扉一つで繋がってるよね?」

「多分そうね」

「そんな所で寝れないよ」

「どうして?」

「エミリーヌが隣の部屋で寝てるんだよ?俺我慢出来ないよ」

「でもローラ母様は二人の秘密にすれば良いって」

「そっちじゃなくて、そっちもだけど、今でも会いたい、側に居たい、離したくないって思ってるのに隣の部屋だったら寝る寸前までくっついていたくなるだろ?」

「そんなの私だって同じ気持ちだよ?会いたいし側に居たいし顔をみたいし」

「結婚するまで手は絶対に出さない。だから安心して?」

「どうして?」

「俺は不誠実な男だからね。だからエミリーヌには誠実で居たい」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。 このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。 そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。 ーーーー 若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。 作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。 完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。 第一章 無計画な婚約破棄 第二章 無計画な白い結婚 第三章 無計画な告白 第四章 無計画なプロポーズ 第五章 無計画な真実の愛 エピローグ

【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す

おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」 鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。 え?悲しくないのかですって? そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー ◇よくある婚約破棄 ◇元サヤはないです ◇タグは増えたりします ◇薬物などの危険物が少し登場します

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?

日々埋没。
恋愛
 公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。 「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」  しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。 「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」  嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。    ※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。  またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈 
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?

仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。 そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。 「出来の悪い妹で恥ずかしい」 「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」 そう言ってましたよね? ある日、聖王国に神のお告げがあった。 この世界のどこかに聖女が誕生していたと。 「うちの娘のどちらかに違いない」 喜ぶ両親と姉妹。 しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。 因果応報なお話(笑) 今回は、一人称です。

処理中です...