妹がいなくなった

アズやっこ

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「俺はいずれキャメル侯爵家へ婿に入る。そしたらエミリーヌの仕事を手伝いたい。 それにブラウニー侯爵家の仕事も手伝いたいと思ってる。父上が王宮勤めだから執事に任せきりだけど、少しでも手伝いたいと思ってる。良い?」

「それなんだけど、私がお嫁に行ってはいけないの?キャメル侯爵家の領地をそのまま持ってブラウニー侯爵家に嫁ぐ事は出来ない?」

「父上も息子は居ない物と思ってるから大丈夫だよ?」

「私ね、ジムやグレンやメイは大事。それに使用人も領地も領民も大事。だけどキャメルって家名が大事かと言われたらそうでもないの。それにお互い当主でしょ?」

「俺は当主になるか分からないよ?いずれエミリーヌと結婚して子供が産まれたらその子にブラウニー侯爵を継がせれば良いし」

「それならキャメル侯爵を子供に継がせても同じでしょ?」

「そうだけど、現当主のエミリーヌが嫁ぐのは出来ないと思う」

「そう?そうよね」

「気持ちは嬉しいよ。でも俺が婿に入るのが良いと思う」

「そう。ローラ母様と一緒に暮らしたかったのに」

「そうなの?」

「うん」

「そっか。それなら何か方法がないか調べてみるよ。でも期待はしないでね?」

「分かった」

「それでね、ミリー商会の本店を俺の補佐をしていた子に任せたいんだ。俺はこの国で平民が通う商店を立ち上げたいしね」

「経営者はチャーリーよ?チャーリーが任せられるなら任せたら良いと思うわ。 私もチャーリーが隣国に帰るの寂しいし」

「一度帰らないといけないけど直ぐに帰ってくる」

「本当よ?」

「ああ。その前に婚約出来たら最高なんだけど、無理かな」

「無理よね…」

「ほら、寂しい顔しない。隣国で手続きしたら直ぐに帰ってくる。帰ってくる頃には父上の手続きも済んでるはずだから、直ぐにでも婚約しよ?」

「うん」


 チャーリーは私を抱き締めた。


「手続きはまだだけど、気持ちは婚約者と思ってるから」

「うん。私も思ってる」

「お茶会や夜会の時はエスコートさせてくれる?」

「良いの?」

「俺以外と行くの?」

「行かないわよ」

「ドレスも宝石も受け取ってくれる?」

「この前貰ったわよ?」

「婚約者になって改めて贈りたいの」

「分かった」

「ダンスも練習しようね?」

「やっぱり?」

「俺、エミリーヌとダンス踊りたい」

「分かった。頑張る」

「うん。練習付き合うから」

「絶対よ?足踏んでも怒らないでね?」

「そんな事ぐらいで怒らないよ」

「今度お出かけしたい」

「ケーキ食べに行く?」

「私甘い物苦手かも」

「どうして?」

「この前ね、一個食べたらもういいってなった」

「なら残ったら俺が食べるから好きなだけ食べればいいよ」

「手、繋ぐ?」

「当たり前だよ」

「馬車も隣?」

「隣。何だったら俺の膝の上でも良いよ?」

「それは恥ずかしい」

「なら膝の上ね?」

「もう!」

「俺達二人しか居ないのに恥ずかしいの?」

「それもそうね」

「あ~離したくない」

「あのさ、俺達居るの忘れてない?」

「見せつけてるんです。仲良いでしょうって」

「あ、そう。で、話は終わり?」

「皆さんが認めてくれるなら、はい」

「じゃあ認めた、そんで良い?」

「はい」


 ジムさんとグレンさんとメイさんが部屋から出て行き部屋にはチャーリーと二人きり。

 チャーリーは私を膝の上に座らせ、


「エミリーヌ、父上の力を借りるけど、それでもエミリーヌと離されるより良いと思ったんだ。ごめんね」

「どうして?私も宰相様の提案に賛成よ?」

「エミリーヌから譲って貰って直ぐに自分の家に入れるなんて卑怯って思わない?」

「どうして思うのよ。私が侯爵家に入れたく無かったのは親やサラに勝手にされたく無かっただけ。お金だってあればあるだけ使う人達よ?だからよ」

「それでも今なら関係ないだろ?」

「今の商会はチャーリーが築き上げた物よ?持つべく人が持った権利なんだからね!」

「分かってる」

「ねぇチャーリー」

「ん?」


 チャーリーの顔が私の方を見た。膝の上に座ってる私の直ぐ近くにチャーリーの顔があり、私はチャーリーの唇に口付けをした。


「エミリーヌ」


 熱を持った優しい声。私達は何度も口付けした。


「もう離さないから」

「うん。私も離さないから」

「あ~早く結婚したい」

「何で?」

「一緒に住みたいから」

「なら私も早く結婚したい。それでね子供を二人以上産むわ」

「どうして二人以上なの?」

「サラみたいな馬鹿な子が産まれるかもしれないじゃない。それにニ家分の当主を産まないと」

「気が早いけどそうだね」


 私達はまた口付けした。


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