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次の日の朝チャーリーが突然邸に来た。
「ごめん。先触れ出すの忘れた」
「大丈夫。どうしたの?」
「俺の決意を聞いてほしくて。そう思ったら居ても立っても居られなくて。本音を言うと決心が鈍らない内にって言う方が強いんだけど。ごめん」
「書斎で良い?」
「うん。出来ればジムさんとグレンさんとメイさんにも聞いてほしい」
「分かった。皆呼ぶね?」
私は近くに居たメイに呼ぶ様伝え書斎で待った。暫くしてジムが。後からグレンとメイが来て、
「ジムさん、グレンさん、メイさん、急にお呼び出ししてすみません」
机を挟み私とチャーリー、ジムとグレンとメイがソファーに腰掛けた。ジムとメイは頑なに座ろうとしなかったけど、チャーリーの真剣な目が大事な話と物語っていた為、全員座った。
「俺が今から話す事で3人に意見を聞きたくて、すみません」
「それでどうしたの?」
「うん。昨日の夜に父上と話をしたんだ。エミリーヌとの事をね」
「うん」
「俺は俺の力で男爵を賜るつもりで頑張るつもりだった。今の俺は平民だしね。エミリーヌと恋人にはなれても婚約者にはなれない。婚約者になるには最低限貴族でないとって昨日言ったよね?」
「うん」
「だからそれまで待っててって」
「うん」
「だけど昨日父上に言われたんだ。何年で功績をあげるんだって」
「うん」
「多少の功績では男爵を賜る事は出来ない。国を救った英雄とか皆が認めるなら直ぐに賜る事が出来るだろうけどね
初めは何年掛かってもエミリーヌと結婚できるなら俺は頑張ろうって思ってた。
だけど父上が、婚約者が居ないエミリーヌが侯爵になった事で今は釣書が届くで留まってるけど、1年もしない内に直接打診がくるだろうって。 どれだけ俺達が愛し合っていても、エミリーヌが打診を断っても、立場が上の王族や公爵家が婚約を持ち掛けて来たら断れないだろうって。 最悪、無理矢理婚約し婚姻するだろうって」
「そんなの嫌よ」
「うん。でもそれが出来るのが上の立場の者なんだ。 王族で言えば第二王子はまだ独身だ。婚約者と仲が良いから大丈夫だとは思うけど、この先は分からない。それに公爵家の次男はエミリーヌより少し年下だけど婚約者は居ない。今年学園を卒業したら当主のエミリーヌの婿にって公爵家は思ってるかも知れない」
「私はチャーリーじゃなきゃ嫌よ」
「例えエミリーヌが俺が良いって言っても俺を愛人にして侯爵家の婿に収まる事は出来る。 貴族は政略結婚だ。形は夫婦でも外に愛人を作る者は居るよ? 俺だってそうするつもりだった」
「そうね…」
「でも相手が愛人を認めなかったら?最悪俺達は別れさせられる。 それでもお前は良いのかって諦めれるのかって父上に言われたんだ。
俺はエミリーヌと別れたくないし、誰にも奪われたくない。 エミリーヌを諦める事なんて出来ない。
ねぇエミリーヌ、俺は俺の力でエミリーヌを手にしたかった。その気持ちは今でも変わらない。 けど俺の意地でエミリーヌを離さないといけなくなるのは嫌なんだ。 だから俺は意地を捨てるよ。情けない俺でもエミリーヌは嫌いにならない?」
「ならない。だってチャーリーの意志を捨てたら離れなくて良いんでしょ? 私はどんなチャーリーでも好きよ?」
「ありがとう。 俺は父上の提案を受け入れようと思う」
「提案って何?」
「ミリー商会をブラウニー侯爵家の所有にする」
「侯爵家の商会にするって事?」
「形だけね。商会は今迄通りで良いって。 形だけ侯爵家の所有にするって事。 エミリーヌから譲って貰ってこんな直ぐに申し訳ないと思ってる」
「でも理由があるんでしょ?」
「うん。商会を所有する事で経営者の俺を養子に迎えるって。そしたら俺も侯爵令息だ。エミリーヌと婚約しても誰からも横槍は入らない。色々言う貴族は居るだろうけどね。 それでもその方法が一番早くて確実にエミリーヌと婚約できる。それから功績を残せって言われたよ。
エミリーヌが嫌なら無理に通すつもりはない。エミリーヌはキャメル侯爵と商会は関係ないエミリーヌの資産って言ってた。なのに俺は自分の為に父上の提案を受け入れようと思った。 ねぇエミリーヌ、正直な気持ちを教えてほしい」
「別に良いと思う」
「良いの?」
「だって婚約出来るんでしょ?」
「養子が認められたら直ぐに打診するって父上も言ってた」
「私チャーリーじゃない人と婚約するの嫌。チャーリーと婚約できて結婚出来るなら方法なんて何でも良いの。最悪当主の権限でチャーリーと結婚するつもりだったのよ?」
「そうなの?」
「でもチャーリーの気持ちも分かるから待ってるつもりだった。だけど無理矢理婚約させられそうならそうするつもりだった」
「無理矢理させられそうなの?」
「させられないけど、成人した女性がずっと婚約者が居ない状態はあまり良くないでしょ?だからもしお祖父様に婚約させられそうなら当主の権限でチャーリーを夫にするつもりだったの」
「夫?」
「平民のチャーリーを婚約者にしても別れさせられるかもしれないでしょ?でも結婚したら簡単に別れさせれないもの」
「そうだけど…。でも情けないだろ?結局は父上の提案に乗ろうなんて」
「そうかな? 自分の力で貴族になりたかったチャーリーの気持ちも分かるわよ?だけど私と離れない為に自分の気持ちを曲げてくれたって事でしょ?どこが情けないの? 確かに意地を通す事も大事よ?でも意地を通す所じゃないって判断するのも大事だと思うの。そうでしょ?」
「ああ」
「私と離れない為に一番良い方法を取ろうとしてくれて私嬉しい。ありがとう」
「ごめん。先触れ出すの忘れた」
「大丈夫。どうしたの?」
「俺の決意を聞いてほしくて。そう思ったら居ても立っても居られなくて。本音を言うと決心が鈍らない内にって言う方が強いんだけど。ごめん」
「書斎で良い?」
「うん。出来ればジムさんとグレンさんとメイさんにも聞いてほしい」
「分かった。皆呼ぶね?」
私は近くに居たメイに呼ぶ様伝え書斎で待った。暫くしてジムが。後からグレンとメイが来て、
「ジムさん、グレンさん、メイさん、急にお呼び出ししてすみません」
机を挟み私とチャーリー、ジムとグレンとメイがソファーに腰掛けた。ジムとメイは頑なに座ろうとしなかったけど、チャーリーの真剣な目が大事な話と物語っていた為、全員座った。
「俺が今から話す事で3人に意見を聞きたくて、すみません」
「それでどうしたの?」
「うん。昨日の夜に父上と話をしたんだ。エミリーヌとの事をね」
「うん」
「俺は俺の力で男爵を賜るつもりで頑張るつもりだった。今の俺は平民だしね。エミリーヌと恋人にはなれても婚約者にはなれない。婚約者になるには最低限貴族でないとって昨日言ったよね?」
「うん」
「だからそれまで待っててって」
「うん」
「だけど昨日父上に言われたんだ。何年で功績をあげるんだって」
「うん」
「多少の功績では男爵を賜る事は出来ない。国を救った英雄とか皆が認めるなら直ぐに賜る事が出来るだろうけどね
初めは何年掛かってもエミリーヌと結婚できるなら俺は頑張ろうって思ってた。
だけど父上が、婚約者が居ないエミリーヌが侯爵になった事で今は釣書が届くで留まってるけど、1年もしない内に直接打診がくるだろうって。 どれだけ俺達が愛し合っていても、エミリーヌが打診を断っても、立場が上の王族や公爵家が婚約を持ち掛けて来たら断れないだろうって。 最悪、無理矢理婚約し婚姻するだろうって」
「そんなの嫌よ」
「うん。でもそれが出来るのが上の立場の者なんだ。 王族で言えば第二王子はまだ独身だ。婚約者と仲が良いから大丈夫だとは思うけど、この先は分からない。それに公爵家の次男はエミリーヌより少し年下だけど婚約者は居ない。今年学園を卒業したら当主のエミリーヌの婿にって公爵家は思ってるかも知れない」
「私はチャーリーじゃなきゃ嫌よ」
「例えエミリーヌが俺が良いって言っても俺を愛人にして侯爵家の婿に収まる事は出来る。 貴族は政略結婚だ。形は夫婦でも外に愛人を作る者は居るよ? 俺だってそうするつもりだった」
「そうね…」
「でも相手が愛人を認めなかったら?最悪俺達は別れさせられる。 それでもお前は良いのかって諦めれるのかって父上に言われたんだ。
俺はエミリーヌと別れたくないし、誰にも奪われたくない。 エミリーヌを諦める事なんて出来ない。
ねぇエミリーヌ、俺は俺の力でエミリーヌを手にしたかった。その気持ちは今でも変わらない。 けど俺の意地でエミリーヌを離さないといけなくなるのは嫌なんだ。 だから俺は意地を捨てるよ。情けない俺でもエミリーヌは嫌いにならない?」
「ならない。だってチャーリーの意志を捨てたら離れなくて良いんでしょ? 私はどんなチャーリーでも好きよ?」
「ありがとう。 俺は父上の提案を受け入れようと思う」
「提案って何?」
「ミリー商会をブラウニー侯爵家の所有にする」
「侯爵家の商会にするって事?」
「形だけね。商会は今迄通りで良いって。 形だけ侯爵家の所有にするって事。 エミリーヌから譲って貰ってこんな直ぐに申し訳ないと思ってる」
「でも理由があるんでしょ?」
「うん。商会を所有する事で経営者の俺を養子に迎えるって。そしたら俺も侯爵令息だ。エミリーヌと婚約しても誰からも横槍は入らない。色々言う貴族は居るだろうけどね。 それでもその方法が一番早くて確実にエミリーヌと婚約できる。それから功績を残せって言われたよ。
エミリーヌが嫌なら無理に通すつもりはない。エミリーヌはキャメル侯爵と商会は関係ないエミリーヌの資産って言ってた。なのに俺は自分の為に父上の提案を受け入れようと思った。 ねぇエミリーヌ、正直な気持ちを教えてほしい」
「別に良いと思う」
「良いの?」
「だって婚約出来るんでしょ?」
「養子が認められたら直ぐに打診するって父上も言ってた」
「私チャーリーじゃない人と婚約するの嫌。チャーリーと婚約できて結婚出来るなら方法なんて何でも良いの。最悪当主の権限でチャーリーと結婚するつもりだったのよ?」
「そうなの?」
「でもチャーリーの気持ちも分かるから待ってるつもりだった。だけど無理矢理婚約させられそうならそうするつもりだった」
「無理矢理させられそうなの?」
「させられないけど、成人した女性がずっと婚約者が居ない状態はあまり良くないでしょ?だからもしお祖父様に婚約させられそうなら当主の権限でチャーリーを夫にするつもりだったの」
「夫?」
「平民のチャーリーを婚約者にしても別れさせられるかもしれないでしょ?でも結婚したら簡単に別れさせれないもの」
「そうだけど…。でも情けないだろ?結局は父上の提案に乗ろうなんて」
「そうかな? 自分の力で貴族になりたかったチャーリーの気持ちも分かるわよ?だけど私と離れない為に自分の気持ちを曲げてくれたって事でしょ?どこが情けないの? 確かに意地を通す事も大事よ?でも意地を通す所じゃないって判断するのも大事だと思うの。そうでしょ?」
「ああ」
「私と離れない為に一番良い方法を取ろうとしてくれて私嬉しい。ありがとう」
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