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62 チャーリー視点
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エミリーヌが邸から帰り、商会のデザイナーとお針子を送り届け、俺は邸に戻って来た。 邸に戻り母上と夕食を食べ父上の帰りを待つ。 母上は俺に何も聞かないし言わない。どう思ってるのか気になるが。
父上が王宮から戻り父上の書斎で話をする。
「父上、率直な意見を聞かせて下さい」
「何だ?」
「俺がこの国で功績を上げれば一代限りの男爵を頂けると思いますか?」
「功績を上げればな」
「そうですか」
「だが、多少の功績で貰える程甘くはないぞ?」
「分かってます」
「なら良いが」
「俺は婚約者がいながら不貞をした人間です。それでも大丈夫でしょうか」
「確かに婚約者がいながら不貞をした。だがな、愛人を持つ貴族の男がどれだけ居ると思う。今は愛人になったが婚姻する前から付き合い身体を繋げていた者もいる。 貴族は殆どが親に決められた政略結婚だ。だからこそ、見て見ぬ振りすると言う暗黙のルールがあるんだ。 お前は婚約者に対し何処かへ出掛けドレスや宝石、お茶会や夜会のエスコート、婚約者の役目は果たしていた。 ただ相手が悪かっただけだ。相手が元王女でなければ婚約破棄だけで済んだんだ。悪くて平民になるくらいだ。 だがお前は平民になり国外追放になった。嫌、私が下した。
国外追放になる者の殆どが罪人だ。だが罪人でも国外追放になる者は極わずかだ。
チャーリー、お前は罪人じゃない。 国外追放になり自分で罪人と思ってるかも知れんが、お前は婚約破棄しただけだ。 罪人じゃない。 陛下もお前のこの国への立ち入りを認めた。それは移住も認めたと言う事だ。 陛下もお前の心配をずっとしていた。婚約者が違う者だったならと。姪がすまないと。
今回エミリーヌ譲に国として意見を求められた時、ようやくお前をこの国へ戻せると陛下もお喜びだったぞ?」
「そんなまさか」
「前回は私もお前を助ける事も護る事も出来なかった。だが今回は必ずお前を護る」
「父上……ありがとうございます」
「だが経営者だけでは不満か?」
「いえ。そうではありません。どうしても貴族になりたいからです」
「どうしてだ」
「エミリーヌ、エミリーヌ譲の婚約者になりたいからです」
「エミリーヌ譲だと?」
「はい」
「お前等やはりそういう関係だったのか?」
「どう言う意味ですか?」
「いやな、この前王妃様のドレスをミリー商会に頼んでな。請求書を私に届けてくれたのだが、エミリーヌ譲が着ていたドレスや宝石があれだ。お前の色だったからな」
「俺が贈りましたから。ですが、その時はエミリーヌは何も気が付いていませんでしたよ?」
「だろうな」
「気持ちを伝え合ったのは今日です。婚約者になる資格が出来るまで待ってて欲しいと」
「何年待たせるつもりだ」
「この国で功績を出し、男爵を賜るまでです。それでも侯爵と男爵では身分が違いますが、貴族は貴族です。今の俺の平民よりはまだましです」
「エミリーヌ譲は何と」
「待っててくれると」
「そうか」
「はい。今は婚約者候補と言うか、恋人です」
「恋人か。分かった」
「父上は反対しませんか?」
「何を反対する。お互い好意があるのだろ?」
「それは、はい。ですが、俺のした事がした事なので。好きな女を作るなんてと」
「チャーリー、確かに不貞したお前を他の者は悪く言うだろう。だがな、お前がした事と好きな女性を作る事は関係ない。今度こそ婚約者にエミリーヌ譲に誠実になるんだ。お互いを認め大事にし大切にしそして一生愛し抜けばいい」
「はい」
「なあチャーリー、例え話だが、ミリー商会をブラウニー侯爵家の所有にする気はないか?」
「どう言う意味ですか」
「所有すると言っても侯爵家とミリー商会は別。名前だけ置くのはどうだ?」
「名前だけ置いて利益がありますか?」
「ある。侯爵家の所有となれば経営者であるお前を侯爵家の養子として迎え入れれる」
「その様な事が出来るとは思いません」
「だが出来ん事もない」
「俺は自分の力で貴族になります」
「それだと何年掛かるか分からんぞ」
「それでも自分の力で頑張りたいのです」
「それならそれで良い。だが侯爵であるエミリーヌ譲が何年も婚約者を置かないと言うのは問題が出る。立場が上の王族や公爵家から婚約の打診があればどうする? 打診で済めば良いが無理矢理婚約をさせる事も出来るんだぞ? その時お前は諦めるのか? 今はまだ侯爵になったばかりで釣書を送るだけで済んでいても一年もすれば本気で婚約にこぎ着けようとするぞ。 一年で功績が上げれるのか」
「それは…」
「そうなればお前は諦めるしかない。 エミリーヌ譲がお前を愛人にすると思うのか? お前を愛人にする事を相手が許すと思うか?」
「エミリーヌは人を信じるのが苦手です」
「ならエミリーヌ譲は好きでもない男と無理矢理婚約し婚姻する事になる。それでも良いのか?」
「嫌です」
「だがお前とは口約束だけだ。形に出来る物ではない。それくらいお前でも分かるだろ?」
「はい」
「例えエミリーヌ譲がお前を愛していても婚約されたらそれで終わりだ。立場とはそういう物だ。分かるな」
「はい」
「ミリー商会を侯爵家所有にしお前を養子にすればお前は侯爵令息だ。同じ侯爵家、立場は申し分ない。直ぐ打診して婚約者になれば他の者に横取りされる事もない。それから功績を残せば誰にも文句は言われない」
「はい」
「考えてみろ」
「はい。但しエミリーヌの意見を聞いてからです」
「分かった」
父上が王宮から戻り父上の書斎で話をする。
「父上、率直な意見を聞かせて下さい」
「何だ?」
「俺がこの国で功績を上げれば一代限りの男爵を頂けると思いますか?」
「功績を上げればな」
「そうですか」
「だが、多少の功績で貰える程甘くはないぞ?」
「分かってます」
「なら良いが」
「俺は婚約者がいながら不貞をした人間です。それでも大丈夫でしょうか」
「確かに婚約者がいながら不貞をした。だがな、愛人を持つ貴族の男がどれだけ居ると思う。今は愛人になったが婚姻する前から付き合い身体を繋げていた者もいる。 貴族は殆どが親に決められた政略結婚だ。だからこそ、見て見ぬ振りすると言う暗黙のルールがあるんだ。 お前は婚約者に対し何処かへ出掛けドレスや宝石、お茶会や夜会のエスコート、婚約者の役目は果たしていた。 ただ相手が悪かっただけだ。相手が元王女でなければ婚約破棄だけで済んだんだ。悪くて平民になるくらいだ。 だがお前は平民になり国外追放になった。嫌、私が下した。
国外追放になる者の殆どが罪人だ。だが罪人でも国外追放になる者は極わずかだ。
チャーリー、お前は罪人じゃない。 国外追放になり自分で罪人と思ってるかも知れんが、お前は婚約破棄しただけだ。 罪人じゃない。 陛下もお前のこの国への立ち入りを認めた。それは移住も認めたと言う事だ。 陛下もお前の心配をずっとしていた。婚約者が違う者だったならと。姪がすまないと。
今回エミリーヌ譲に国として意見を求められた時、ようやくお前をこの国へ戻せると陛下もお喜びだったぞ?」
「そんなまさか」
「前回は私もお前を助ける事も護る事も出来なかった。だが今回は必ずお前を護る」
「父上……ありがとうございます」
「だが経営者だけでは不満か?」
「いえ。そうではありません。どうしても貴族になりたいからです」
「どうしてだ」
「エミリーヌ、エミリーヌ譲の婚約者になりたいからです」
「エミリーヌ譲だと?」
「はい」
「お前等やはりそういう関係だったのか?」
「どう言う意味ですか?」
「いやな、この前王妃様のドレスをミリー商会に頼んでな。請求書を私に届けてくれたのだが、エミリーヌ譲が着ていたドレスや宝石があれだ。お前の色だったからな」
「俺が贈りましたから。ですが、その時はエミリーヌは何も気が付いていませんでしたよ?」
「だろうな」
「気持ちを伝え合ったのは今日です。婚約者になる資格が出来るまで待ってて欲しいと」
「何年待たせるつもりだ」
「この国で功績を出し、男爵を賜るまでです。それでも侯爵と男爵では身分が違いますが、貴族は貴族です。今の俺の平民よりはまだましです」
「エミリーヌ譲は何と」
「待っててくれると」
「そうか」
「はい。今は婚約者候補と言うか、恋人です」
「恋人か。分かった」
「父上は反対しませんか?」
「何を反対する。お互い好意があるのだろ?」
「それは、はい。ですが、俺のした事がした事なので。好きな女を作るなんてと」
「チャーリー、確かに不貞したお前を他の者は悪く言うだろう。だがな、お前がした事と好きな女性を作る事は関係ない。今度こそ婚約者にエミリーヌ譲に誠実になるんだ。お互いを認め大事にし大切にしそして一生愛し抜けばいい」
「はい」
「なあチャーリー、例え話だが、ミリー商会をブラウニー侯爵家の所有にする気はないか?」
「どう言う意味ですか」
「所有すると言っても侯爵家とミリー商会は別。名前だけ置くのはどうだ?」
「名前だけ置いて利益がありますか?」
「ある。侯爵家の所有となれば経営者であるお前を侯爵家の養子として迎え入れれる」
「その様な事が出来るとは思いません」
「だが出来ん事もない」
「俺は自分の力で貴族になります」
「それだと何年掛かるか分からんぞ」
「それでも自分の力で頑張りたいのです」
「それならそれで良い。だが侯爵であるエミリーヌ譲が何年も婚約者を置かないと言うのは問題が出る。立場が上の王族や公爵家から婚約の打診があればどうする? 打診で済めば良いが無理矢理婚約をさせる事も出来るんだぞ? その時お前は諦めるのか? 今はまだ侯爵になったばかりで釣書を送るだけで済んでいても一年もすれば本気で婚約にこぎ着けようとするぞ。 一年で功績が上げれるのか」
「それは…」
「そうなればお前は諦めるしかない。 エミリーヌ譲がお前を愛人にすると思うのか? お前を愛人にする事を相手が許すと思うか?」
「エミリーヌは人を信じるのが苦手です」
「ならエミリーヌ譲は好きでもない男と無理矢理婚約し婚姻する事になる。それでも良いのか?」
「嫌です」
「だがお前とは口約束だけだ。形に出来る物ではない。それくらいお前でも分かるだろ?」
「はい」
「例えエミリーヌ譲がお前を愛していても婚約されたらそれで終わりだ。立場とはそういう物だ。分かるな」
「はい」
「ミリー商会を侯爵家所有にしお前を養子にすればお前は侯爵令息だ。同じ侯爵家、立場は申し分ない。直ぐ打診して婚約者になれば他の者に横取りされる事もない。それから功績を残せば誰にも文句は言われない」
「はい」
「考えてみろ」
「はい。但しエミリーヌの意見を聞いてからです」
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