妹がいなくなった

アズやっこ

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「エミリーヌ、ちょっとこっち来て」


 チャーリーに手を引かれ部屋の外に連れ出された。

 チャーリーは私をギュッと力強く抱き締めた。

(あ~、安心する。何でだろう。さっきは寂しいって思ったのに)


「ねぇエミリーヌ、どうして寂しいって顔したの?教えて?」

「軽蔑しない?」

「しない」

「本当に?」

「本当に。エミリーヌは俺がすると思うの?」

「するかもしれないじゃない」

「絶対にしない。だから教えて?」

「手をね」

「手を?」

「離したくないなって」

「うん」

「離したら寂しかった」

「うん」

「さっきは寂しかったのに今抱き締められて、また安心した」

「そっか。エミリーヌは俺が抱き締めて嫌じゃない?」

「嫌じゃない。離れた方が嫌」

「そっか」

「うん。ねぇチャーリー、もっとギュッってして?」

「うっ。エミリーヌ、今も結構くっついてるよ?」

「うん。でももっとギュッってして?」


 チャーリーは身体がピタっとくっつく様に抱き締めてくれた。チャーリーの下げた顔が私の頬近くにあり、チャーリーの頬とくっついた。


「エミリーヌ、嫌じゃない?苦しくない?」

「嫌じゃない。安心する」


 チャーリーの声が耳の直ぐ横から聞こえ、


「ねぇチャーリー」

「ん?」

「抱き締められると恥ずかしくて」

「うん」

「嬉しい」

「うん」

「チャーリーの匂い、すごく安心する」

「うっ。エミリーヌそれは…俺が困る」

「ごめんなさい」


 私はチャーリーから抜けようとした。


「駄目。逃さない」


 チャーリーはまた力強く抱き締めた。


「私困らせてる?」

「困らせてないよ」

「チャーリー、私おかしいの」

「何が?」

「離れなきゃいけないのに離れたくない。離れたら寂しい。私、変?」

「変じゃないよ」

「チャーリーが私を見る優しい目、優しい声、心配する声、ちょっとムッとした顔、心配する顔、チャーリーの仕草が…」

「仕草が?」

「胸がキュッってなるの。苦しいけど温まるって言うか」

「うん」

「さっきからドキドキって煩くて」

「うん」

「私、おかしい?」

「おかしくないよ。俺もエミリーヌを離さないといけないのに離したくない。今だって俺もドキドキ煩いよ?」


 私はチャーリーの心の臓の音を聞いた。


「ふふっ。本当だ」

「何が?」

「チャーリーもドキドキ言ってる。私と一緒」

「ねぇエミリーヌ、俺が抱き締めるとドキドキするって言ったけど、グレンさんは?」

「グレンに抱き締められると安心する。ホッとする。けどドキドキはしない」

「俺だけ?」

「チャーリーだけ」

「そっか」


 チャーリーは少し離れ私の額に頬に口付けした。また抱き締められ、


「嫌だった?」

「嫌じゃない。恥ずかしいけど、嬉しい」

「心が満たされるみたいな?」

「良く分からないけど、多分そう。 このままこうしていたいって思うし、安心するし、もっとって思う。だけど胸がキュッってなってドキドキして苦しい」

「そっか」

「ねぇ、私もチャーリーに触れたい。嫌?」

「嫌じゃないよ?」


 私は少し離れてチャーリーの頬に口付けした。 チャーリーの顔を両手で包み下に向かせて額に口付けした。 私からチャーリーに抱きつき、


「嫌だった?」

「どうして?嫌じゃないよ。俺も嬉しい」

「本当?」

「うん」

「もう一度して良い?」

「良いよ。俺もして良い?」

「うん」


 チャーリーから少し離れてチャーリーの顔を両手で包み、額、頬と口付けをした。 チャーリーも私の顔を両手で包み、額と頬に口付けをした。チャーリーの親指が私の唇を撫で、抱き締められた。


「チャーリー、心が満たされるって分かる気がする。嬉しい、恥ずかしい、温まる、安心する。触れたい、触れられたい。口付けされて口付けしてでもまだ足りない。もっとくっつきたい。そう言う気持ち?」

「そうだね。それともう一つかな?」

「もう一つ?」

「そう。その思い全てだよ?」

「…………愛しい?」

「そう。俺はエミリーヌが愛しい」

「チャーリー、もう一度口付けして良い?」


 私は少し離れ、チャーリーの顔を両手で包み、額、頬に口付けし、チャーリーの唇に目を止める。


「チャーリー、私…」

「エミリーヌ、駄目」

「何で?」


 チャーリーは私の顔を両手で包み、額、頬と口付けた。親指が私の唇を撫で、


「前に言った事覚えてる?」

「うん」

「許してくれる?」

「うん」

「エミリーヌ、好き。愛しい。愛してる」

「うん」

「信じてくれる?」

「うん。私もチャーリーが好き。愛しい。愛してる」

「エミリーヌ、もう手放せなくなるけど良いの?」

「私の方がずっと前から手放せない」


 チャーリーと見つめ合い、チャーリーの唇が私の唇と重なり口付けをした。


 チャーリーの唇がそっと離れ私を抱き締め、私も抱き締めた。


「あ~幸せだ」

「私も幸せ」

「本当にもう離せないよ?」

「うん。チャーリーへの気持ち、今迄も私きっと好きだったの。その気持ちに気付いてなかっただけ。愛しい、愛してるって言った時、心にストンと落ちたの。この気持ちだって。恋人がする口付けをして満たされた。 今迄も離れないって言ってくれたのに何故か離れる感じがして嫌で寂しくて。その気持ちが今なら分かる。私がチャーリーの事好きだったから。愛しいって思ってたからなんだって」

「もう離さない。絶対に離さない」

「私も離さない。絶対に離れない」


 もう一度ギュッと抱き締められ、口に口付けされた。


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