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私達はサロンから出て庭を散歩してます。手を繋いで。
「エミリーヌちゃんはどんな花が好き?」
「あの、どんな花があるのかよく知らなくて」
「そう。ならそうね…。赤い薔薇なんてどう?」
「綺麗です」
「そう?花言葉は【貴方を愛してます】なのよ。愛する人に贈る花だけど、今の私の気持ちよ?」
「はい。ありがとうございます」
「エミリーヌちゃん、どんな花が好きか、どんな色が好きか、そんなの見た目で良いの。可愛いから好き。綺麗だから好き。花言葉で好きになっても良いの」
「はい」
「私はねあの人に始めて贈られた花が薔薇だったから薔薇はその時から好きになったわ。私が薔薇なんて似合わないって思ってたけど今では大切な花よ?誰に何を言われようが気にならないくらい大切な花。それはね貰った時の気持ちや渡した時のあの人の照れた顔全部が大切だからなの」
「はい」
「エミリーヌちゃん、見た目だけで花を選んだらどの花?」
「この黄色の花です」
「ダリアね。綺麗ね」
「はい」
「目に止まった?」
「はい。赤い色のも綺麗です」
「そうね。私はピンクが好きよ」
「ピンクは可愛いです」
「そうなの。可愛い、綺麗、女なら欲しいわよね?」
「はい……」
「そうだ。今からチャーリーを呼ぶから待ってて」
後ろに控えてたメイドにミリー商会まで行ってチャーリーを呼んで来る様に頼んでいた。
「待ってる間、ケーキでも食べましょ?ケーキは好き?」
「余り食べませんが好きです」
「なら今日はいっぱい食べましょう。好きな物を好きなだけ食べなさいね?」
サロンへ戻り沢山並べてあるケーキから一つ取り食べた。もう一つって言われたけどそれはお断りした。私、案外甘い物好きじゃないのかしら?
暫くしてチャーリーがやって来て、
「母上、急に呼び出されては困ります。デザイナーもお針子もってドレスでも作るつもりですか?」
「チャーリー、そうよ。私と娘のエミリーヌにお揃いのドレスを頼みたいの」
「え?エミリーヌ?娘? 母上は何を」
私は後ろを振り向きチャーリーと目が合った。
「え、エミリーヌ?どうしてここに?」
「えっと、あの…」
私はチャーリーのお母様を見てから、照れながら、
「か、母様に、ローラ母様に呼ばれて…」
「エミリーヌちゃん!」
ローラ母様は私を抱き締め額に口付けをした。
「愛しいエミリーヌちゃん。母様嬉しいわ」
「え、エミリーヌ? 母上? 何?え?何?」
「エミリーヌちゃんは私の可愛い娘なの」
「はい?母上、エミリーヌを困らせないで下さい」
「困らせてないわ。ね?エミリーヌちゃん」
「はい。ロ、ローラ母様」
「早くデザイナーを呼んで頂戴。可愛いエミリーヌちゃんにドレスを作らなきゃ。私とお揃いよ? 後、私のドレスをエミリーヌちゃんが着れる様に調整して欲しいの」
「エミリーヌ、無理してないか?」
「無理してないわ。ローラ母様が私の新しいお母様になってくれるって。チャーリー、良い?」
「エミリーヌが良いなら俺は何も言わないけど!」
「何で怒るの?」
「怒ってないよ。たださ…」
「エミリーヌちゃん放おっておきなさい。チャーリーはヤキモチを妬いてるだけよ」
「え?ごめんなさい。チャーリーのお母様に馴れ馴れしくしたから?」
「そっちじゃないよ!母上にヤキモチを妬いてるんだ」
「え?」
「もう!」
チャーリーは私を抱き締めた。
「俺のエミリーヌなのに」
「チャーリー?」
少し身体が離れ優しい目で私を見つめてる。
「何?」
「チャーリー、どうしたの?」
「別に」
またチャーリーに抱き締められた。 チャーリーの少しむくれた顔が、優しい目が…。 私の胸が「ドクン」となった。
チャーリーの優しい手が髪の毛を撫でる。背中にある温かい手。 私の胸が「ドクドク」と大きな音をたてる。
「エミリーヌ?」
エミリーヌと呼ぶ優しい声。でも心配してる声。
「エミリーヌ、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
「そう?」
チャーリーが私の頭に口付けた。
「チャーリー、何か恥ずかしい」
「え?」
顔が熱を持ち真っ赤になってるのが自分でも分かる。 私はチャーリーの胸の中に真っ赤になった顔を隠した。
「ちょっと、お二人さん?」
私はハッとしてチャーリーが抜けようとした。けどチャーリーが離してくれなかった。
「チャーリー、私のエミリーヌちゃんを困らせないで」
「は?母上のじゃない」
「貴方のでもないでしょ」
「そうだけど」
ようやくチャーリーが離してくれた。けど手を繋がれたまま。繋いだ手から「ドクドク」と脈を打ってるのが身体中響いてる。
(何これ。ドクドクと煩い。抱き締められてた時も思ったけど、優しく包み込む様な、安心する様な、それでいてドキドキする様な、だけど離れたら寂しい様な。何これ。 私どうしちゃったの? 繋いでる手、離さないといけないのに離したくない。どうしよう。どうすればいい?)
チャーリーの手が離され、椅子に座らされた。私はチャーリーの顔を見上げた。
「うっ。エミリーヌ、そんな顔されたら俺どうすればいい?」
「ごめんなさい」
私は俯いて何故か涙が出そうだった。
「エミリーヌちゃんはどんな花が好き?」
「あの、どんな花があるのかよく知らなくて」
「そう。ならそうね…。赤い薔薇なんてどう?」
「綺麗です」
「そう?花言葉は【貴方を愛してます】なのよ。愛する人に贈る花だけど、今の私の気持ちよ?」
「はい。ありがとうございます」
「エミリーヌちゃん、どんな花が好きか、どんな色が好きか、そんなの見た目で良いの。可愛いから好き。綺麗だから好き。花言葉で好きになっても良いの」
「はい」
「私はねあの人に始めて贈られた花が薔薇だったから薔薇はその時から好きになったわ。私が薔薇なんて似合わないって思ってたけど今では大切な花よ?誰に何を言われようが気にならないくらい大切な花。それはね貰った時の気持ちや渡した時のあの人の照れた顔全部が大切だからなの」
「はい」
「エミリーヌちゃん、見た目だけで花を選んだらどの花?」
「この黄色の花です」
「ダリアね。綺麗ね」
「はい」
「目に止まった?」
「はい。赤い色のも綺麗です」
「そうね。私はピンクが好きよ」
「ピンクは可愛いです」
「そうなの。可愛い、綺麗、女なら欲しいわよね?」
「はい……」
「そうだ。今からチャーリーを呼ぶから待ってて」
後ろに控えてたメイドにミリー商会まで行ってチャーリーを呼んで来る様に頼んでいた。
「待ってる間、ケーキでも食べましょ?ケーキは好き?」
「余り食べませんが好きです」
「なら今日はいっぱい食べましょう。好きな物を好きなだけ食べなさいね?」
サロンへ戻り沢山並べてあるケーキから一つ取り食べた。もう一つって言われたけどそれはお断りした。私、案外甘い物好きじゃないのかしら?
暫くしてチャーリーがやって来て、
「母上、急に呼び出されては困ります。デザイナーもお針子もってドレスでも作るつもりですか?」
「チャーリー、そうよ。私と娘のエミリーヌにお揃いのドレスを頼みたいの」
「え?エミリーヌ?娘? 母上は何を」
私は後ろを振り向きチャーリーと目が合った。
「え、エミリーヌ?どうしてここに?」
「えっと、あの…」
私はチャーリーのお母様を見てから、照れながら、
「か、母様に、ローラ母様に呼ばれて…」
「エミリーヌちゃん!」
ローラ母様は私を抱き締め額に口付けをした。
「愛しいエミリーヌちゃん。母様嬉しいわ」
「え、エミリーヌ? 母上? 何?え?何?」
「エミリーヌちゃんは私の可愛い娘なの」
「はい?母上、エミリーヌを困らせないで下さい」
「困らせてないわ。ね?エミリーヌちゃん」
「はい。ロ、ローラ母様」
「早くデザイナーを呼んで頂戴。可愛いエミリーヌちゃんにドレスを作らなきゃ。私とお揃いよ? 後、私のドレスをエミリーヌちゃんが着れる様に調整して欲しいの」
「エミリーヌ、無理してないか?」
「無理してないわ。ローラ母様が私の新しいお母様になってくれるって。チャーリー、良い?」
「エミリーヌが良いなら俺は何も言わないけど!」
「何で怒るの?」
「怒ってないよ。たださ…」
「エミリーヌちゃん放おっておきなさい。チャーリーはヤキモチを妬いてるだけよ」
「え?ごめんなさい。チャーリーのお母様に馴れ馴れしくしたから?」
「そっちじゃないよ!母上にヤキモチを妬いてるんだ」
「え?」
「もう!」
チャーリーは私を抱き締めた。
「俺のエミリーヌなのに」
「チャーリー?」
少し身体が離れ優しい目で私を見つめてる。
「何?」
「チャーリー、どうしたの?」
「別に」
またチャーリーに抱き締められた。 チャーリーの少しむくれた顔が、優しい目が…。 私の胸が「ドクン」となった。
チャーリーの優しい手が髪の毛を撫でる。背中にある温かい手。 私の胸が「ドクドク」と大きな音をたてる。
「エミリーヌ?」
エミリーヌと呼ぶ優しい声。でも心配してる声。
「エミリーヌ、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
「そう?」
チャーリーが私の頭に口付けた。
「チャーリー、何か恥ずかしい」
「え?」
顔が熱を持ち真っ赤になってるのが自分でも分かる。 私はチャーリーの胸の中に真っ赤になった顔を隠した。
「ちょっと、お二人さん?」
私はハッとしてチャーリーが抜けようとした。けどチャーリーが離してくれなかった。
「チャーリー、私のエミリーヌちゃんを困らせないで」
「は?母上のじゃない」
「貴方のでもないでしょ」
「そうだけど」
ようやくチャーリーが離してくれた。けど手を繋がれたまま。繋いだ手から「ドクドク」と脈を打ってるのが身体中響いてる。
(何これ。ドクドクと煩い。抱き締められてた時も思ったけど、優しく包み込む様な、安心する様な、それでいてドキドキする様な、だけど離れたら寂しい様な。何これ。 私どうしちゃったの? 繋いでる手、離さないといけないのに離したくない。どうしよう。どうすればいい?)
チャーリーの手が離され、椅子に座らされた。私はチャーリーの顔を見上げた。
「うっ。エミリーヌ、そんな顔されたら俺どうすればいい?」
「ごめんなさい」
私は俯いて何故か涙が出そうだった。
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