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「相変わらずね。それに元婚約者の相手と初めての取り引きだったから商会で試着して貰って手直しをしたの。 その時ギルも部屋の外で待機してたわ。ドレスを着た状態でアクセサリーの手直しもするから」
「もしかして目の前で捨てられたのか?」
「ギルが試着室に入った時にはゴミ箱の中に入ってたって。 ゴミ箱にある自分のアクセサリーを拾いそのまま部屋の外へ出て行った」
「ギルが怒るのも無理ないな」
「でしょ?だから今後一切の取り引きをしないって伝えたわ。 ギルは公爵令嬢だけでなくそのご友人も嫌だと言った。だから私は許可した。 作る必要ないってね。 ギルのアクセサリーを欲しいって言う貴族の夫人や令嬢は他にもいるわ。数人減ったからって何も変わらないし」
「確かにギルに作って欲しいと言う夫人や令嬢は多いからな」
「職人の誇りを護るのも経営者だわ」
「そうだな」
「だから例え脅されても駄目よ?」
「分かってる。ギルに抜けられたら商会は痛手だ。隣国でもギル指名でアクセサリーを作る夫人が多いからな」
「そうなの?」
「ああ。俺からも何度も頼んで作って貰ったぞ?後、お前のも作って貰った」
「あ!そうだった。あんなに贈ってくれたって知らなかったから。ありがとう。どうして夜会用まで?」
「お前、侯爵になったんだから夜会に出席するだろ?」
「え~行かないと駄目なの?」
「当たり前だろ。何事も繋がりだ繋がり」
「繋がりね…」
「お前な…貴族とは繋がりだ。特に女性の当主にはまだあたりが厳しいんだ。ダンス踊れないなんて言わないよな?」
「ダンスは学園で習ったわ」
「それだけか?」
「それで充分。誰かと踊る機会もないし。基本の動作だけ出来てれば何とかなるでしょ?」
「はぁぁ。ダンスは基本の動作以上に技量が求められるんだぞ?」
「そこは大丈夫。上手く断るわ。それに婚約者も居ないし夜会にエスコートしてくれる男性も居ないし、夜会に出席する事は無いわね」
「釣書ぐらい来てるだろ?」
「来てるわね。下心丸出しの。 責任もない贅沢できるって下心丸出しのね。その中から選べって?嫌よ。そこまで言うならチャーリーがエスコートしてくれれば良いじゃない」
「平民がか?」
「元侯爵令息でしょ?エスコートなんてお手の物でしょ?ダンスだって、社交だって。一緒に行って私の代わりにしてくれても良いわよ?」
「婚約者でない平民の男が出来るか」
「婚約者ね。うん。ならチャーリーがなる?」
「は?」
「グレンには断られたの」
「は?」
「下心丸出しの中から選ぶより、グレンで良いって言ったら丁重にお断りされたわ。私への気持ちは恋愛じゃないって。兄妹愛だって。 私だって私が大事に思う人が良いわ。独身の男性はグレンとチャーリーだけだもの。ギルは駄目よ?ディーナを口説き中だから」
「お前さ、大事ってだけで決めて良いのか?」
「駄目なの?」
「婚約者だぞ?結婚するんだぞ?結婚すれば子供も作るんだぞ?自分の身体を相手に全部見せないといけないだぞ? 身体も心も全部見せれる預けれる相手を見つけろ」
「う~ん。グレンにも言われたの。どういう相手が良いのかって。 私ね贈り物されたの初めてって言ったでしょ? 私を思ってくれて愛してくれる人なら良いの。でもそれを言ったら詐欺師に引っかかるって言うのよ?失礼だと思わない?」
「俺も思う。口先だけで愛してるって言うのは違うだろ?なら俺が愛してるって言ったら信じるのか?」
「信じるわよ。チャーリーは嘘言わないもの」
「そうじゃないだろ?お前は親の愛には恵まれ無かった。だけどお前は愛されない子じゃない。 ジムさんやグレンさんやメイさん、アンネやリン、エディーナ嬢にギル、そして俺も。皆お前を愛しいと思ってる。商会の皆だって会った事の無いお前を敬愛してる。それだって立派な愛だ。 お前は愛されてる。たった二人の愛が無くても大勢の人がお前を愛してる。 お前は愛されてる事を自覚しろ」
「私愛されてるの?」
「勿論だ」
「私、愛されてるの?」
「ああ」
「私、愛されてる?」
「ああ。俺も愛してる」
「私…愛されてる。愛…されてる」
「ああ」
チャーリーの優しい声が心に届く。 チャーリーが席を立ち私の横に腰掛けた。そして優しく包み込む様に抱き寄せた。私はチャーリーの胸の中…。チャーリーの心の臟の音が聞こえる。 温かい手が背中をトントンと優しい叩く。
「エミリーヌ、子供にとって両親の愛情は何事にも変えられない物かもしれない。けど、愛情は両親だけが与える物じゃない。前侯爵も夫人もエミリーヌに親愛って言う愛情を与えてる。ジムさんやメイさんも親愛に近い友愛、敬愛って言う愛情を与えてる。グレンさんは兄妹愛って言う愛情を与えてる。アンネもリンもエディーナ嬢もギルも友愛に近い敬愛って愛情を与えてる。俺だって友愛って愛情をエミリーヌに与えてる。 皆、エミリーヌを愛してる。エミリーヌは愛されない子じゃない。 皆、エミリーヌを愛してる」
「うん。うん」
「心が壊れたままでは皆の愛情が分からないぞ? 皆の愛情がエミリーヌの心を治してくれる。 愛情を受け取るのが下手だな~エミリーヌは」
チャーリーの優しい背中を叩く手。優しい声。私は愛されてる。
「もしかして目の前で捨てられたのか?」
「ギルが試着室に入った時にはゴミ箱の中に入ってたって。 ゴミ箱にある自分のアクセサリーを拾いそのまま部屋の外へ出て行った」
「ギルが怒るのも無理ないな」
「でしょ?だから今後一切の取り引きをしないって伝えたわ。 ギルは公爵令嬢だけでなくそのご友人も嫌だと言った。だから私は許可した。 作る必要ないってね。 ギルのアクセサリーを欲しいって言う貴族の夫人や令嬢は他にもいるわ。数人減ったからって何も変わらないし」
「確かにギルに作って欲しいと言う夫人や令嬢は多いからな」
「職人の誇りを護るのも経営者だわ」
「そうだな」
「だから例え脅されても駄目よ?」
「分かってる。ギルに抜けられたら商会は痛手だ。隣国でもギル指名でアクセサリーを作る夫人が多いからな」
「そうなの?」
「ああ。俺からも何度も頼んで作って貰ったぞ?後、お前のも作って貰った」
「あ!そうだった。あんなに贈ってくれたって知らなかったから。ありがとう。どうして夜会用まで?」
「お前、侯爵になったんだから夜会に出席するだろ?」
「え~行かないと駄目なの?」
「当たり前だろ。何事も繋がりだ繋がり」
「繋がりね…」
「お前な…貴族とは繋がりだ。特に女性の当主にはまだあたりが厳しいんだ。ダンス踊れないなんて言わないよな?」
「ダンスは学園で習ったわ」
「それだけか?」
「それで充分。誰かと踊る機会もないし。基本の動作だけ出来てれば何とかなるでしょ?」
「はぁぁ。ダンスは基本の動作以上に技量が求められるんだぞ?」
「そこは大丈夫。上手く断るわ。それに婚約者も居ないし夜会にエスコートしてくれる男性も居ないし、夜会に出席する事は無いわね」
「釣書ぐらい来てるだろ?」
「来てるわね。下心丸出しの。 責任もない贅沢できるって下心丸出しのね。その中から選べって?嫌よ。そこまで言うならチャーリーがエスコートしてくれれば良いじゃない」
「平民がか?」
「元侯爵令息でしょ?エスコートなんてお手の物でしょ?ダンスだって、社交だって。一緒に行って私の代わりにしてくれても良いわよ?」
「婚約者でない平民の男が出来るか」
「婚約者ね。うん。ならチャーリーがなる?」
「は?」
「グレンには断られたの」
「は?」
「下心丸出しの中から選ぶより、グレンで良いって言ったら丁重にお断りされたわ。私への気持ちは恋愛じゃないって。兄妹愛だって。 私だって私が大事に思う人が良いわ。独身の男性はグレンとチャーリーだけだもの。ギルは駄目よ?ディーナを口説き中だから」
「お前さ、大事ってだけで決めて良いのか?」
「駄目なの?」
「婚約者だぞ?結婚するんだぞ?結婚すれば子供も作るんだぞ?自分の身体を相手に全部見せないといけないだぞ? 身体も心も全部見せれる預けれる相手を見つけろ」
「う~ん。グレンにも言われたの。どういう相手が良いのかって。 私ね贈り物されたの初めてって言ったでしょ? 私を思ってくれて愛してくれる人なら良いの。でもそれを言ったら詐欺師に引っかかるって言うのよ?失礼だと思わない?」
「俺も思う。口先だけで愛してるって言うのは違うだろ?なら俺が愛してるって言ったら信じるのか?」
「信じるわよ。チャーリーは嘘言わないもの」
「そうじゃないだろ?お前は親の愛には恵まれ無かった。だけどお前は愛されない子じゃない。 ジムさんやグレンさんやメイさん、アンネやリン、エディーナ嬢にギル、そして俺も。皆お前を愛しいと思ってる。商会の皆だって会った事の無いお前を敬愛してる。それだって立派な愛だ。 お前は愛されてる。たった二人の愛が無くても大勢の人がお前を愛してる。 お前は愛されてる事を自覚しろ」
「私愛されてるの?」
「勿論だ」
「私、愛されてるの?」
「ああ」
「私、愛されてる?」
「ああ。俺も愛してる」
「私…愛されてる。愛…されてる」
「ああ」
チャーリーの優しい声が心に届く。 チャーリーが席を立ち私の横に腰掛けた。そして優しく包み込む様に抱き寄せた。私はチャーリーの胸の中…。チャーリーの心の臟の音が聞こえる。 温かい手が背中をトントンと優しい叩く。
「エミリーヌ、子供にとって両親の愛情は何事にも変えられない物かもしれない。けど、愛情は両親だけが与える物じゃない。前侯爵も夫人もエミリーヌに親愛って言う愛情を与えてる。ジムさんやメイさんも親愛に近い友愛、敬愛って言う愛情を与えてる。グレンさんは兄妹愛って言う愛情を与えてる。アンネもリンもエディーナ嬢もギルも友愛に近い敬愛って愛情を与えてる。俺だって友愛って愛情をエミリーヌに与えてる。 皆、エミリーヌを愛してる。エミリーヌは愛されない子じゃない。 皆、エミリーヌを愛してる」
「うん。うん」
「心が壊れたままでは皆の愛情が分からないぞ? 皆の愛情がエミリーヌの心を治してくれる。 愛情を受け取るのが下手だな~エミリーヌは」
チャーリーの優しい背中を叩く手。優しい声。私は愛されてる。
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