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「俺は罰を受けた罪人だ」
「罪人ね。確かに貴方は婚約者が居ながら不貞をした」
「ああ」
「罰は平民に落とされ国外追放で罰は受けてる」
「ああ。だからこの国へ来るのは最後だ。経営者になってもこの国へ来る事は出来ない」
「陛下が許可したのに?」
「そもそも何で陛下が許可するんだよ」
「宰相様と交渉したから」
「は?何て交渉した」
「ミリー商会の経営者であるチャーリーのこの国の出入りを認めないならミリー商会がこの国から退くって」
「お前、それ脅迫じゃないのか?」
「そう?だけど実際ミリー商会がこの国に納めてる税と寄付だけで一年に使うお金の約半分は賄ってるわよ?」
「半分?そんな訳ないだろ?」
「税も少し多めに納めてるし、寄付は私に振り込まれる商会からの給金を一年分纏めて寄付してるもの」
「は?お前の給金だろ?」
「商会のお金よ」
「お前のだ」
「働いてもないのに?名だけなのに経営者だからって貴方よりもディーナよりも多く貰って? 皆が働いて稼いだお金を私が使うくらいなら国へ寄付した方が良いでしょ?」
「だからって商会から出すなよな」
「侯爵家と関係ない商会のお金を私個人の名前で出せって言うの? そしたら侯爵家が疑われるじゃない。隠してるのかって」
「確かにそうだな」
「だから商会名義で寄付するのが一番でしょ?」
「お前な…」
「それに私が今迄働かず貰ってた給金は、本来なら働いてる人達に渡すのが筋よ」
「今度からはやめてくれよ?」
「寄付はするわよ?そこは名前は借りるわ」
「どこからお金出すんだよ」
「ダイヤモンドの鉱山とエメラルドの鉱山からよ」
「エメラルドって何だよ」
「成人してから買ったの。高額だったけどね」
「買った?」
「エメラルドの鉱山を持って人が事業に失敗して手放すって言うから買い取ったの」
「は?」
「鉱山って管理するだけでもお金かかるじゃない?従業員や監視。それに住居に食事。それに使用人人件費もかかるでしょ? だから手放す時に良い値で買い取ったの。だけどエメラルドは採取出来るし元は取れたわよ?」
「お前って凄いな」
「エメラルドの鉱山はダイヤモンドの鉱山があったから手が出せただけ」
「そうだけど」
「だから寄付は同じ額だけ出来るの。寄付すればこれからも商会が悪用される事はないし、多少の我儘も聞いて貰えるわ」
「確かにそうだけど」
「早くサイン書いてよ」
「サインな」
「経営者になる資格があるのに?何を迷ってるの?」
「資格な、あるか?」
「ある」
「お前ってそういう所あるよな?」
「何で?チャーリーの事で疑った事ないけど。チャーリーなら出来るって分かるもの」
「信頼してくれるのか?」
「信頼してるわね」
「信じてくれるのか?」
「信じてる」
「俺の事大事なんだ」
「大事よ?」
「そっか」
「うん」
「ならサインするよ」
「本当?良かった~」
「経営者の権利は譲って貰ったけど、商会の事は今迄通り頼む。何か頼みたい時は勝手に頼んでくれて良いし、指示もしてくれて良い。 その辺は皆にも伝えておく」
「良いの?」
「ああ」
「なら遠慮なく。だけど給金は一切要らないから。私の趣味として商会には関わる。それで良い?」
「分かった。お前が息抜き出来る場所が必要だろ?」
「ありがとう」
「こちらこそだ。ありがとう」
「うん」
「お前、前から思ってたけど笑った顔可愛いよな?もっと笑えば良いのに」
「は?冗談でもそんな事言わないでよ」
「冗談じゃないけど?」
「もう!」
「照れてる顔も可愛いな」
「ちょっと!」
私は顔が熱くなるのを感じた。
「でもさ、俺を経営者にして本当に大丈夫なのか?」
「何で? 陛下の事?お父上の事?なら問題ないんじゃない? 私は個人的な意見じゃなくて国として返答してって言ったわ。国として出した答えでしょ? 陛下直筆のサインなんだし王命みたいなものでしょ?なら堂々とすれば良いのよ」
「そうだけど、それだけですまないだろ?」
「あ~、公爵家の事?」
「ああ」
「それも大丈夫じゃない? 絶対に会わないとは言えないけど、少なくとも商会関係では会わないから」
「どうして言い切れる」
「だって公爵家と貴方の元婚約者のご友人の令嬢、今は皆さん夫人になってるけど、ミリー商会出禁だもの。取り引きしないの」
「しない?出来ないじゃなくて?」
「こっちからお断りしたの。これからも取り引きしないから。 だから何を言われても例え脅されても駄目よ?」
「どうして。あっちは公爵家だろ?」
「まぁそうね。でもギルを怒らせたから。ギルが一切作らないって」
「どうしてまた…」
「分からない? あの元婚約者、あれから違う人と婚約したわ。 公爵家に圧力をかけられて無理矢理ね。 でも一応婚約者に贈り物をするでしょ?ミリー商会でドレスとアクセサリーを買って贈ったの。後は分かるでしょ」
「もしかして捨てたのか?」
「そう。こんなセンスのないアクセサリーなんて要らないってね。 ギルは自分の作るアクセサリーに誇りを持ってる。ドレスに合わせてアクセサリーを作る。宝石が映える様に何度も調整してね。
それでも好みは人それぞれだから納得は出来なくても仕方ないって思ってるわ。 でも自分が作り上げた作品を捨てられたのが悔しかったみたい。
職人は誇りを持って作品を一つづつ手作りで作る。ギルの作り出すアクセサリーは優しさや温もり、身に付ける人を輝かせる。 それはギルの職人としての誇りと身に付ける人への心遣いと温かみ、宝石を一番綺麗に魅せる宝石への敬意、そしてギルの魂を込めるからなの。 自分の分身のアクセサリーを捨てられ、ディーナが作ったドレスを捨てられた」
「相変わらずなんだな」
「罪人ね。確かに貴方は婚約者が居ながら不貞をした」
「ああ」
「罰は平民に落とされ国外追放で罰は受けてる」
「ああ。だからこの国へ来るのは最後だ。経営者になってもこの国へ来る事は出来ない」
「陛下が許可したのに?」
「そもそも何で陛下が許可するんだよ」
「宰相様と交渉したから」
「は?何て交渉した」
「ミリー商会の経営者であるチャーリーのこの国の出入りを認めないならミリー商会がこの国から退くって」
「お前、それ脅迫じゃないのか?」
「そう?だけど実際ミリー商会がこの国に納めてる税と寄付だけで一年に使うお金の約半分は賄ってるわよ?」
「半分?そんな訳ないだろ?」
「税も少し多めに納めてるし、寄付は私に振り込まれる商会からの給金を一年分纏めて寄付してるもの」
「は?お前の給金だろ?」
「商会のお金よ」
「お前のだ」
「働いてもないのに?名だけなのに経営者だからって貴方よりもディーナよりも多く貰って? 皆が働いて稼いだお金を私が使うくらいなら国へ寄付した方が良いでしょ?」
「だからって商会から出すなよな」
「侯爵家と関係ない商会のお金を私個人の名前で出せって言うの? そしたら侯爵家が疑われるじゃない。隠してるのかって」
「確かにそうだな」
「だから商会名義で寄付するのが一番でしょ?」
「お前な…」
「それに私が今迄働かず貰ってた給金は、本来なら働いてる人達に渡すのが筋よ」
「今度からはやめてくれよ?」
「寄付はするわよ?そこは名前は借りるわ」
「どこからお金出すんだよ」
「ダイヤモンドの鉱山とエメラルドの鉱山からよ」
「エメラルドって何だよ」
「成人してから買ったの。高額だったけどね」
「買った?」
「エメラルドの鉱山を持って人が事業に失敗して手放すって言うから買い取ったの」
「は?」
「鉱山って管理するだけでもお金かかるじゃない?従業員や監視。それに住居に食事。それに使用人人件費もかかるでしょ? だから手放す時に良い値で買い取ったの。だけどエメラルドは採取出来るし元は取れたわよ?」
「お前って凄いな」
「エメラルドの鉱山はダイヤモンドの鉱山があったから手が出せただけ」
「そうだけど」
「だから寄付は同じ額だけ出来るの。寄付すればこれからも商会が悪用される事はないし、多少の我儘も聞いて貰えるわ」
「確かにそうだけど」
「早くサイン書いてよ」
「サインな」
「経営者になる資格があるのに?何を迷ってるの?」
「資格な、あるか?」
「ある」
「お前ってそういう所あるよな?」
「何で?チャーリーの事で疑った事ないけど。チャーリーなら出来るって分かるもの」
「信頼してくれるのか?」
「信頼してるわね」
「信じてくれるのか?」
「信じてる」
「俺の事大事なんだ」
「大事よ?」
「そっか」
「うん」
「ならサインするよ」
「本当?良かった~」
「経営者の権利は譲って貰ったけど、商会の事は今迄通り頼む。何か頼みたい時は勝手に頼んでくれて良いし、指示もしてくれて良い。 その辺は皆にも伝えておく」
「良いの?」
「ああ」
「なら遠慮なく。だけど給金は一切要らないから。私の趣味として商会には関わる。それで良い?」
「分かった。お前が息抜き出来る場所が必要だろ?」
「ありがとう」
「こちらこそだ。ありがとう」
「うん」
「お前、前から思ってたけど笑った顔可愛いよな?もっと笑えば良いのに」
「は?冗談でもそんな事言わないでよ」
「冗談じゃないけど?」
「もう!」
「照れてる顔も可愛いな」
「ちょっと!」
私は顔が熱くなるのを感じた。
「でもさ、俺を経営者にして本当に大丈夫なのか?」
「何で? 陛下の事?お父上の事?なら問題ないんじゃない? 私は個人的な意見じゃなくて国として返答してって言ったわ。国として出した答えでしょ? 陛下直筆のサインなんだし王命みたいなものでしょ?なら堂々とすれば良いのよ」
「そうだけど、それだけですまないだろ?」
「あ~、公爵家の事?」
「ああ」
「それも大丈夫じゃない? 絶対に会わないとは言えないけど、少なくとも商会関係では会わないから」
「どうして言い切れる」
「だって公爵家と貴方の元婚約者のご友人の令嬢、今は皆さん夫人になってるけど、ミリー商会出禁だもの。取り引きしないの」
「しない?出来ないじゃなくて?」
「こっちからお断りしたの。これからも取り引きしないから。 だから何を言われても例え脅されても駄目よ?」
「どうして。あっちは公爵家だろ?」
「まぁそうね。でもギルを怒らせたから。ギルが一切作らないって」
「どうしてまた…」
「分からない? あの元婚約者、あれから違う人と婚約したわ。 公爵家に圧力をかけられて無理矢理ね。 でも一応婚約者に贈り物をするでしょ?ミリー商会でドレスとアクセサリーを買って贈ったの。後は分かるでしょ」
「もしかして捨てたのか?」
「そう。こんなセンスのないアクセサリーなんて要らないってね。 ギルは自分の作るアクセサリーに誇りを持ってる。ドレスに合わせてアクセサリーを作る。宝石が映える様に何度も調整してね。
それでも好みは人それぞれだから納得は出来なくても仕方ないって思ってるわ。 でも自分が作り上げた作品を捨てられたのが悔しかったみたい。
職人は誇りを持って作品を一つづつ手作りで作る。ギルの作り出すアクセサリーは優しさや温もり、身に付ける人を輝かせる。 それはギルの職人としての誇りと身に付ける人への心遣いと温かみ、宝石を一番綺麗に魅せる宝石への敬意、そしてギルの魂を込めるからなの。 自分の分身のアクセサリーを捨てられ、ディーナが作ったドレスを捨てられた」
「相変わらずなんだな」
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