妹がいなくなった

アズやっこ

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 朝から門の所が騒がしい。私の部屋からは門が見えない為、何があったのか分からない。 私は着替えて部屋を出た。此方に向かってるグレンを見つけ、


「おはようグレン。外が騒がしいけどどうしたの?」

「サラが押し掛けて来て、今、門に居る騎士達と揉めてる所だ」

「やっぱり来たのね。来るとは思ったけど、あの子ってここまで話の分からない子だったの? 私、きちんと分かる様に説明したわよね?」

「まぁ普通の頭なら分かると思うけどな。サラは普通の頭じゃなかったんだろうな。それに今迄は自分の言う事を聞いて貰えるのが普通だったからな。今回も自分の言う事は聞いて貰えるって思ってんじゃね?」

「はぁぁ。私、最近溜息ばかりよ? あの子、あれで良く卒業出来たわよね」

「次女だしな。いずれ嫁ぐから多少は免除されてるんじゃねぇの?」

「そういうものなの?」

「俺が知る訳ないだろう」

「確かに」

「で、どうする?」

「中には入れないでよ?」

「そこは大丈夫だ。もし入れた奴がいたら容赦なく辞めさせる。皆にも伝え済だ」

「なら放って置けば?」

「それがな…」

「何?」

「苦情が出たみたいで、騎士団の奴等が来てんだよ」

「また迷惑な」

「な!でも騎士団が来た以上、当主が話を付けないと終わらないぞ?」

「そうね。分かったわ。今から行くわ」


 私はグレンと一緒に門の所へ来て、騎士団の団長さんに説明をした。 平民にされて文句を言いに来てると。後は自分達で話し合うと伝え、騎士団は帰って行った。

 私はサラと門を挟んで向かい合っている。


「お姉様、この人達、私を中に入れてくれないのよ? 侯爵令嬢の私をよ? もう辞めさせて!」

「どうして邸を護ってくれる騎士達を辞めさせないといけないの?」

「私を中に入れないからよ!」

「中に入れないのは当たり前でしょ?貴女はもう侯爵令嬢では無いのよ?平民なの。 平民を侯爵家に入れさせる訳無いでしょ? 彼等は騎士として仕事をしているの。邪魔するなら帰りなさい」

「ここは私の家よ!」

「元、ね? 貴女は街に自分の家があるじゃない」

「あそこは彼が住んでる家よ。私の家はここよ!」

「何度も説明したでしょ?まだ理解出来ないの? 同じ事をまた説明した方が良い?」

「お姉様の小言何て聞きたくないわよ」

「まずそこから違うんだけど。お姉様ではないわ。キャメル侯爵様よ? もしくはエミリーヌ様よ? 貴女は平民。私は貴族。言葉使いも気をつけなさい」

「私も何度も言ってるじゃないの。私は平民にはならないって。お姉様こそ馬鹿なんじゃないの?」

「貴女は平民にならないでは無くて、平民になったの」

「勝手に平民にしたのはお姉様でしょ?私は認めて無いわ」

「貴女が認めようが認め無かろうが、関係ないの。自分の意思で家を出て行った成人の子を平民にしても何も問題はないのよ?」

「勝手に平民にしたのに問題ない訳ないでしょ!」

「ねぇ、どうして理解出来ないの?」

「馬鹿にしないで!」

「馬鹿にしてるんじゃなくて、本当に疑問なのよ。同じ説明を何度も言ってるのに理解してくれないのよ? どう言えば貴女が理解してくれるのか本当に分からないの」

「貴族に戻してくれれば良いだけの話よ」

「貴族には戻れないわよ? もし貴女が貴族に戻りたいなら何か功績を上げないと。国にとって無くてはならない程の功績よ? それ等を貴族が認め、陛下が認めたら、男爵ぐらいは受け賜われるわ」

「どうして侯爵令嬢が男爵なのよ!」

「男爵でも立派な貴族だわ」

「男爵なんて平民と同じじゃない」

「平民と同じ?男爵は貴族よ。平民ではないわ。貴族になる以上責任が付くわ」

「もう良いわよ。私は侯爵令嬢なの。侯爵家に帰って来てあげるって言ってるのよ。お父様達も喜ぶわ」

「貴女はもう帰れないのよ?それにお父様達も侯爵家を出て行くのよ?」

「お父様なら私を侯爵令嬢に戻してくれるわ」

「当主ではないお父様に何が出来るの?」

「お父様ならお姉様に命令出来るわ」

「当主の私が平民になったお父様に命令されても聞かないわよ。どうして平民の命令を聞かないといけないの?考えてみなさい。貴女が平民に命令されて聞くの?」

「聞く訳ないでしょ?私は貴族よ」

「貴女はもう貴族では無いけど。 私は貴族よ。平民のお父様に命令されても聞く必要さえ無いの。平民が貴族へ命令したら不敬よ。罰せられるわ」

「お姉様では話にならないわ。お父様を出して!」

「お父様は貴女を探しに旅に出てるわ。ここには居ないの」

「なら私はここでお父様を待つわ」

「ここで待つのね?」

「そうよ!」

「なら勝手に待ってなさい。その代わり騒がないでね。騒いだら今度こそ騎士団の方に連れて行って貰うわよ?良いわね」

「分かったわ」

「グレン、そういう事だからよろしくね」

「分かった」


私は門から離れ邸に戻ろうとした。


「ちょっと!お姉様!早く私を入れてよ」

「はぁぁ。貴女さっきここで待つって言ったでしょ?ならそこで好きなだけ待ってなさい」

「はあ~? お姉様馬鹿なの? どうして外で待たないといけないのよ!」

「貴女は平民で侯爵家と関係のない者だからよ」

「私はここ、キャメル侯爵家の令嬢よ!」

「元、令嬢よ。 使用人でも無い平民を邸の中に入れる訳ないでしょ? 騒がないなら外で待つ事だけは見逃してあげるわ」


 私はサラが叫んでいたけど、無視して邸の中に入った。


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