妹がいなくなった

アズやっこ

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30 チャーリー視点

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「で、俺は何をすれば良いんだ?」

「チャーリー様には隣国へ行って貰います」

「俺は国外追放の身だ。本来ならこの国に居たら駄目なんだ」

「なら行ってくれるの?」

「ああ、問題ない」

「良かった。隣国に行った形跡がないからこの国を探してたのよ」

「探したのか?」

「チャーリー様が勘当され国外追放になった事は次の日に知ってたわ。だから急いで探したの。朝早く家を出て行くとは思わなかったから。 でも、見つから無くて形跡を追ったけど市民街からさっぱりだった。 一応隣国も行ったけど形跡は追えなかったわ」

「隣国まで探しに行ったのか?」

「私じゃないけど知り合いがね。でも分からなかった。 だからこの国を出てない可能性で探してたの。見つけた時は驚いたけど」

「まぁこの格好だもんな」

「そう。見つけたって連絡が来て会いに来た時も半信半疑だったわ。でも見た目が変わってても分かったわ」

「何処で分かった」

「目、かな?」

「目か」

「諦めてるけど諦めてないって目」

「そうか。で、何をすれば良い」

「そうだった。隣国にあるミリー商店って所を任せたいの」

「どういう事だ?」

「ミリー商店は私個人の商店なの」

「ちょっと待て!成人してないよな?」

「そうね。隣国は平民でも商売するのが簡単なの。我が家の執事に名前と身分を借りて商店を作ったの」

「その金はどうした。侯爵家の金か?」

「私個人の資産よ。私、違う国にある鉱山を持ってるの」

「それも執事に頼んだのか?」

「それは後ろにいるグレンに頼んだの。とても安くて、グレンから借りたけど直ぐに返せたわ」

「安い鉱山から何処に収入があった」

「捨て鉱山だったんだけど、ダイヤモンドが採れたの。ダイヤモンドは一粒でも高額で取引されるから。お買い得の鉱山だったわ。でも元々は経営の勉強をする為に買ったの。賃金の安い従業員を雇って鉱山から出る石や砂は他国に売って。他国では石や砂や砂利の需要があったから。何事も実践でしょ?」

「確かに実践じゃないと分からないからな。でもそれは貴族学園に入って習ってからするもんだ」

「経営の本読んでたら自分で実践したくなったの」

「まぁ良いや。でそのミリー商店に行ってどうするんだ?」

「ミリー商店では私の服を作って貰ってるの。今迄は何とか自分で仕立て直して着ていたんだけど、当主の仕事だけでも大変なのにこれから貴族学園にも通わないと行けないから時間が無くなるの。学園から帰ったら当主の仕事をしないといけないでしょ? 

雇ってる従業員は2人。デザイナーとお針子さん。だけど2人共平民だからやりたい事をさせて貰えなかったの。 勿論私の服を作るだけの仕事だけど、こっちから送るドレス、妹が捨てたボロボロのドレスや型落ちしたドレスだけど、それを好きな様に作って貰ってこっちに送って貰ってるの。

2人共腕が良くて才能もある。なのに私の服だけって言うのも勿体ないし、才能を眠らせておくのも勿体ないでしょ? でも2人には交渉する術がないの。騙されたり値切られてタダ同然にされるわ。 それに注文を受けた以上、経営しないといけなくなる。だけど経営する術もないの。

そこでチャーリー様に代表になって貰って経営して貰いたいの。 売り込みから交渉、従業員に支払う賃金、その他諸々全て任せたいって思ってる。 チャーリー様なら経営なんてお手の物だもの。 私はドレスを仕立て直して貰えれば、口出す事はしないし、隣国の状況が分からない以上、手を出す物も分からない。

ミリー商店をチャーリー様の好きな様に経営して貰って構わないわ。商店で得たお金をどう使おうと口も出さない。 と言うよりミリー商店の権利を渡そうと思ってるの」

「それはやめてくれ。経営はする。だけど権利はお前で良い。経営者はお前で俺は代表で良い。 俺の好きな様にして本当に良いだな?」

「ええ。好きな様にして貰って構わない。チャーリー様なら大丈夫だと信じてる。 ただ、2人の従業員の生活だけは護って」

「それは当たり前だ。2人だけは絶対に路頭に迷わせないから安心しろ」

「ありがとう。じゃあ交渉成立で良い?」

「ああ。よろしく頼む。エミリーヌ嬢」

「こちらこそよろしくね」

「で、隣国へは直ぐに行った方が良いか?」

「出来れば。だけどその前にお風呂と身嗜みを整えましょう」

「そうだな。だが俺は金が無い」

「何を言ってるの? 私はチャーリー様の人生を預かると言ったのよ? 私はチャーリー様に投資するの。投資には出費が必要だわ」

「投資か。俺に投資しても大丈夫なのか?」

「大丈夫。そこは疑う所がないわ。忘れてたんだけど、ミリー商店で何か始める為の資金は商店の口座に入ってるお金を使ってね。足りない時は遠慮なく言って欲しいの。 軌道に乗るまでは遠慮なく引き出して。 私はチャーリー様に全て任せると言ったけど、全て一人で背負い込む事だけはしないで。私達は言わば共同経営者よ? 表舞台で動くのはチャーリー様。そこは好きな様に経営して貰って構わない。けど、もし負債が出た時は一緒に背負うから。それだけは忘れないで」

「俺が良いとこ取りみたいな話だが、分かった。俺で解決出来る問題は勝手にやる。 解決出来ない時は必ず相談する。それで良いか?」

「ええ」


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