31 / 187
30 チャーリー視点
しおりを挟む
「で、俺は何をすれば良いんだ?」
「チャーリー様には隣国へ行って貰います」
「俺は国外追放の身だ。本来ならこの国に居たら駄目なんだ」
「なら行ってくれるの?」
「ああ、問題ない」
「良かった。隣国に行った形跡がないからこの国を探してたのよ」
「探したのか?」
「チャーリー様が勘当され国外追放になった事は次の日に知ってたわ。だから急いで探したの。朝早く家を出て行くとは思わなかったから。 でも、見つから無くて形跡を追ったけど市民街からさっぱりだった。 一応隣国も行ったけど形跡は追えなかったわ」
「隣国まで探しに行ったのか?」
「私じゃないけど知り合いがね。でも分からなかった。 だからこの国を出てない可能性で探してたの。見つけた時は驚いたけど」
「まぁこの格好だもんな」
「そう。見つけたって連絡が来て会いに来た時も半信半疑だったわ。でも見た目が変わってても分かったわ」
「何処で分かった」
「目、かな?」
「目か」
「諦めてるけど諦めてないって目」
「そうか。で、何をすれば良い」
「そうだった。隣国にあるミリー商店って所を任せたいの」
「どういう事だ?」
「ミリー商店は私個人の商店なの」
「ちょっと待て!成人してないよな?」
「そうね。隣国は平民でも商売するのが簡単なの。我が家の執事に名前と身分を借りて商店を作ったの」
「その金はどうした。侯爵家の金か?」
「私個人の資産よ。私、違う国にある鉱山を持ってるの」
「それも執事に頼んだのか?」
「それは後ろにいるグレンに頼んだの。とても安くて、グレンから借りたけど直ぐに返せたわ」
「安い鉱山から何処に収入があった」
「捨て鉱山だったんだけど、ダイヤモンドが採れたの。ダイヤモンドは一粒でも高額で取引されるから。お買い得の鉱山だったわ。でも元々は経営の勉強をする為に買ったの。賃金の安い従業員を雇って鉱山から出る石や砂は他国に売って。他国では石や砂や砂利の需要があったから。何事も実践でしょ?」
「確かに実践じゃないと分からないからな。でもそれは貴族学園に入って習ってからするもんだ」
「経営の本読んでたら自分で実践したくなったの」
「まぁ良いや。でそのミリー商店に行ってどうするんだ?」
「ミリー商店では私の服を作って貰ってるの。今迄は何とか自分で仕立て直して着ていたんだけど、当主の仕事だけでも大変なのにこれから貴族学園にも通わないと行けないから時間が無くなるの。学園から帰ったら当主の仕事をしないといけないでしょ?
雇ってる従業員は2人。デザイナーとお針子さん。だけど2人共平民だからやりたい事をさせて貰えなかったの。 勿論私の服を作るだけの仕事だけど、こっちから送るドレス、妹が捨てたボロボロのドレスや型落ちしたドレスだけど、それを好きな様に作って貰ってこっちに送って貰ってるの。
2人共腕が良くて才能もある。なのに私の服だけって言うのも勿体ないし、才能を眠らせておくのも勿体ないでしょ? でも2人には交渉する術がないの。騙されたり値切られてタダ同然にされるわ。 それに注文を受けた以上、経営しないといけなくなる。だけど経営する術もないの。
そこでチャーリー様に代表になって貰って経営して貰いたいの。 売り込みから交渉、従業員に支払う賃金、その他諸々全て任せたいって思ってる。 チャーリー様なら経営なんてお手の物だもの。 私はドレスを仕立て直して貰えれば、口出す事はしないし、隣国の状況が分からない以上、手を出す物も分からない。
ミリー商店をチャーリー様の好きな様に経営して貰って構わないわ。商店で得たお金をどう使おうと口も出さない。 と言うよりミリー商店の権利を渡そうと思ってるの」
「それはやめてくれ。経営はする。だけど権利はお前で良い。経営者はお前で俺は代表で良い。 俺の好きな様にして本当に良いだな?」
「ええ。好きな様にして貰って構わない。チャーリー様なら大丈夫だと信じてる。 ただ、2人の従業員の生活だけは護って」
「それは当たり前だ。2人だけは絶対に路頭に迷わせないから安心しろ」
「ありがとう。じゃあ交渉成立で良い?」
「ああ。よろしく頼む。エミリーヌ嬢」
「こちらこそよろしくね」
「で、隣国へは直ぐに行った方が良いか?」
「出来れば。だけどその前にお風呂と身嗜みを整えましょう」
「そうだな。だが俺は金が無い」
「何を言ってるの? 私はチャーリー様の人生を預かると言ったのよ? 私はチャーリー様に投資するの。投資には出費が必要だわ」
「投資か。俺に投資しても大丈夫なのか?」
「大丈夫。そこは疑う所がないわ。忘れてたんだけど、ミリー商店で何か始める為の資金は商店の口座に入ってるお金を使ってね。足りない時は遠慮なく言って欲しいの。 軌道に乗るまでは遠慮なく引き出して。 私はチャーリー様に全て任せると言ったけど、全て一人で背負い込む事だけはしないで。私達は言わば共同経営者よ? 表舞台で動くのはチャーリー様。そこは好きな様に経営して貰って構わない。けど、もし負債が出た時は一緒に背負うから。それだけは忘れないで」
「俺が良いとこ取りみたいな話だが、分かった。俺で解決出来る問題は勝手にやる。 解決出来ない時は必ず相談する。それで良いか?」
「ええ」
「チャーリー様には隣国へ行って貰います」
「俺は国外追放の身だ。本来ならこの国に居たら駄目なんだ」
「なら行ってくれるの?」
「ああ、問題ない」
「良かった。隣国に行った形跡がないからこの国を探してたのよ」
「探したのか?」
「チャーリー様が勘当され国外追放になった事は次の日に知ってたわ。だから急いで探したの。朝早く家を出て行くとは思わなかったから。 でも、見つから無くて形跡を追ったけど市民街からさっぱりだった。 一応隣国も行ったけど形跡は追えなかったわ」
「隣国まで探しに行ったのか?」
「私じゃないけど知り合いがね。でも分からなかった。 だからこの国を出てない可能性で探してたの。見つけた時は驚いたけど」
「まぁこの格好だもんな」
「そう。見つけたって連絡が来て会いに来た時も半信半疑だったわ。でも見た目が変わってても分かったわ」
「何処で分かった」
「目、かな?」
「目か」
「諦めてるけど諦めてないって目」
「そうか。で、何をすれば良い」
「そうだった。隣国にあるミリー商店って所を任せたいの」
「どういう事だ?」
「ミリー商店は私個人の商店なの」
「ちょっと待て!成人してないよな?」
「そうね。隣国は平民でも商売するのが簡単なの。我が家の執事に名前と身分を借りて商店を作ったの」
「その金はどうした。侯爵家の金か?」
「私個人の資産よ。私、違う国にある鉱山を持ってるの」
「それも執事に頼んだのか?」
「それは後ろにいるグレンに頼んだの。とても安くて、グレンから借りたけど直ぐに返せたわ」
「安い鉱山から何処に収入があった」
「捨て鉱山だったんだけど、ダイヤモンドが採れたの。ダイヤモンドは一粒でも高額で取引されるから。お買い得の鉱山だったわ。でも元々は経営の勉強をする為に買ったの。賃金の安い従業員を雇って鉱山から出る石や砂は他国に売って。他国では石や砂や砂利の需要があったから。何事も実践でしょ?」
「確かに実践じゃないと分からないからな。でもそれは貴族学園に入って習ってからするもんだ」
「経営の本読んでたら自分で実践したくなったの」
「まぁ良いや。でそのミリー商店に行ってどうするんだ?」
「ミリー商店では私の服を作って貰ってるの。今迄は何とか自分で仕立て直して着ていたんだけど、当主の仕事だけでも大変なのにこれから貴族学園にも通わないと行けないから時間が無くなるの。学園から帰ったら当主の仕事をしないといけないでしょ?
雇ってる従業員は2人。デザイナーとお針子さん。だけど2人共平民だからやりたい事をさせて貰えなかったの。 勿論私の服を作るだけの仕事だけど、こっちから送るドレス、妹が捨てたボロボロのドレスや型落ちしたドレスだけど、それを好きな様に作って貰ってこっちに送って貰ってるの。
2人共腕が良くて才能もある。なのに私の服だけって言うのも勿体ないし、才能を眠らせておくのも勿体ないでしょ? でも2人には交渉する術がないの。騙されたり値切られてタダ同然にされるわ。 それに注文を受けた以上、経営しないといけなくなる。だけど経営する術もないの。
そこでチャーリー様に代表になって貰って経営して貰いたいの。 売り込みから交渉、従業員に支払う賃金、その他諸々全て任せたいって思ってる。 チャーリー様なら経営なんてお手の物だもの。 私はドレスを仕立て直して貰えれば、口出す事はしないし、隣国の状況が分からない以上、手を出す物も分からない。
ミリー商店をチャーリー様の好きな様に経営して貰って構わないわ。商店で得たお金をどう使おうと口も出さない。 と言うよりミリー商店の権利を渡そうと思ってるの」
「それはやめてくれ。経営はする。だけど権利はお前で良い。経営者はお前で俺は代表で良い。 俺の好きな様にして本当に良いだな?」
「ええ。好きな様にして貰って構わない。チャーリー様なら大丈夫だと信じてる。 ただ、2人の従業員の生活だけは護って」
「それは当たり前だ。2人だけは絶対に路頭に迷わせないから安心しろ」
「ありがとう。じゃあ交渉成立で良い?」
「ああ。よろしく頼む。エミリーヌ嬢」
「こちらこそよろしくね」
「で、隣国へは直ぐに行った方が良いか?」
「出来れば。だけどその前にお風呂と身嗜みを整えましょう」
「そうだな。だが俺は金が無い」
「何を言ってるの? 私はチャーリー様の人生を預かると言ったのよ? 私はチャーリー様に投資するの。投資には出費が必要だわ」
「投資か。俺に投資しても大丈夫なのか?」
「大丈夫。そこは疑う所がないわ。忘れてたんだけど、ミリー商店で何か始める為の資金は商店の口座に入ってるお金を使ってね。足りない時は遠慮なく言って欲しいの。 軌道に乗るまでは遠慮なく引き出して。 私はチャーリー様に全て任せると言ったけど、全て一人で背負い込む事だけはしないで。私達は言わば共同経営者よ? 表舞台で動くのはチャーリー様。そこは好きな様に経営して貰って構わない。けど、もし負債が出た時は一緒に背負うから。それだけは忘れないで」
「俺が良いとこ取りみたいな話だが、分かった。俺で解決出来る問題は勝手にやる。 解決出来ない時は必ず相談する。それで良いか?」
「ええ」
164
お気に入りに追加
2,346
あなたにおすすめの小説
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる